3日目・昼 姿が見えない理由
3日目は銀月様よりツイッターにて、触手ランドセル幼女のイラストをいただきました!
ありがとうごさいます!!
(それと10日目分までイラストいただきました。ありがとうございます)
今日は日曜日。
俺は仁葉と一緒におでかけすることにした。
「皆ね、おやすみの日にパパと遊んだりするの」
昨日の夜、仁葉と会話していたんだが。
遠慮がちに、俺と遊びたいなってサインを出してきた。
娘がいたことを知らなかったとはいえ、今まで何もしてやれていない。
ささやかな願いくらい、叶えてやりたかった。
でも、今はモンスターだらけの世界だ。
加えて、俺は置かれた状況をまだよく理解してない。
外に出て、危険な目に遭うのは避けたかった。
けど、仁葉と家の中にいても、情報が集まるわけでもないんだよな。
今俺に必要なのは、情報だ。
アヤメから色々聞けるならいいんだが、こっちから電話をかけても繋がらない。
仁葉が言うには、毎日夜にしか電話はかかってこないらしい。
しかも、よくよく聞いてみれば。
アヤメは隕石が墜ちてきた後から、一度も仁葉の前に姿を現していないようだ。
こんな小さい子を一人で過ごさせているのか。
でもまぁ、あいつにも何か事情があるのかもしれない。
そんなことを考えていたら、続いて仁葉がこんなことを言った。
「ママはね、色んなものに変身できるの。だから色んなものに変身しちゃって、自分が誰だかわからなくなってるんだって。夜だけ、元のママに戻って電話ができるの」
アヤメは確か昔、自分は不定形モンスターだと言っていた。
何にでも変身できて、自分の姿がわからない……そんなことを言っていた気がする。
「だから、パパがきたら一緒にママを探してねって言われてるんだよ!」
そう言って、仁葉はぎゅっと俺の触手を握ってきた。
「ママが見つかったら、皆でいっしょに遊園地いこうね! 絶対だよ、パパ!」
本当は、アヤメがいなくてずっとひとりで不安だったのかもしれない。
仁葉は、泣くのを我慢しているように見えた。
《もちろんだ》
だから俺は、仁葉の手を触手で強く握り返した。
少し考えて、俺は仁葉の担任の先生と会うことにした。
先生というからには、大人の人なんだろうし、話を聞きたいと思ったのだ。
その後で少し遊びにいこうなと、仁葉と約束した。
仁葉のスマホから電話をかけて、会う約束を取り付けたんだが。
声は、大人の女の人のものだった。
お昼を食べ終わってから、仁葉と先生の家に行く。
エレベーターに乗ると、3階のボタンを仁葉は押した。
《もしかして、先生って同じマンションに住んでるの?》
「そうだよ! 何かあったらすぐに来てくれるの! パパやママと離ればなれになった他のお友達も、このマンションに住んでる子多いんだよ」
部屋は仁葉がわかるからと、先生は言っていた。
けどまさか、同じマンション内だったなんて。
仁葉は先生に色々お世話になっているようで、ご飯の世話もしてもらっていたようだ。
大人の人がいてくれたんだなと思うと、少し安心する。
「ここが先生の家だよ!」
仁葉がチャイムを鳴らせば、ドアが開いた。
「いらっしゃい、仁葉ちゃん」
出迎えてくれたのは、二十代くらいの女性。
背中に蝶のような羽が生えていて、耳が長くとんがっている。
マンガとかに出てくる、エルフによく似ていた。
「さぁ、お父様もどうぞ中へ!」
《失礼します》
美人だし、モンスターって感じがしない。
俺も触手よりは、エルフがよかったなぁ。
そんなことを思いながら、部屋に入った。