13日目・朝 1日遅れの
13日目はシスコ様よりツイッターにて、触手ランドセル幼女のイラストをいただきました!
ありがとうございます!
それと7時に出すつもりだったんですが、予約投稿しわすれてました。すみません。
夜通し飛んで、たどり着いたのは海辺の倉庫。
どうやら竜はここに住んでいるらしい。
中央にはたくさんの毛布が敷き詰められて、即席の寝床になっていた。
《とりあえず、オレの家ならしばらく大丈夫だろ》
《助けてくれてありがとう》
お礼を言えば、うるさかったから仕方なくだと言ってくる。
でも本当に助かった。
《それで、お前何で機関に捕まってたんだよ?》
寝床でくつろぎながら、竜が聞いてきた。
世界を元に戻したい。
そう思う者達にとって、アヤメの夫である俺は敵のような存在だ。
言ってもいいものか悩む。
でも、竜は確実に機関の関係者じゃないよな。
機関の施設もためらいなく壊してたし。
助けてもらったのに、詳しい事情を話さないのも変だ。
俺の置かれている立場や、アヤメや仁葉のこと。
話せる範囲で話すことにする。
《なるほどな。『人間化復活装置』の噂は聞いてる。エルフ共が開発して、行方不明になってるって聞いてたが、お前の嫁さんが隠したんだな。ふーん、そうか……》
竜は何かを考え込むように黙ってしまう。
言わないほうがよかったかな。
まぁ、もう言ってしまったものはしかたない。
《俺は小野っていうんだけど、名前教えてくれないかな?》
《竜でいい。オレ以外の竜なんてみたことないし、本名とか忘れた……そろそろ寝ていいか? 体力使ったから眠い》
名前聞いてなかったなと思えば、竜が適当な感じでそんなことを言う。
確かに、俺も眠かった。
モンスターも眠気があるんだよな。
でもお腹すいたな。
そういえば、体の中の空白にオレンジのキューブを10個だけ入れてあったっけ。
黄色60個と白色131個を手に入れたのに、それらは全部咲子さんが持っていた。
オレンジは食べるのもったいない気がするけど、仕方ないな。
1つだけ消化することにする。
《これどうぞ》
竜にもオレンジキューブを1つあげれば、ありがとよといって摘んだ。
残りのキューブのうち、5つは少年への報酬だ。
今のうち渡しておこう。
そう思って振り返れば、少年が仁葉のために寝床を整えてくれていた。
“ごめんね、巻き込んじゃって”
端末で伝えながら、キューブを手渡す。
「いえ、気にしないでください。竜に乗ってみたかったので、問題ありません」
“でも俺のせいで、元の場所にはたぶん帰れないよ?”
そのことは、一応依頼を出すときに説明もしていた。
機関はたぶん、俺を追ってくるだろう。
それを想定しながら、俺は少年を巻き込んだのだ。
もちろん巻き込んだ以上は、俺の全力をかけて守るつもりでいる。
非力な触手モンスターにできることって、少ない。
でも、それとこれとは別問題だ。
「元々帰る場所はないですよ。あなたや仁葉さんと一緒のほうが楽しそうだと思ったんです。この前もなんだか家族ができたみたいで……楽しかったし」
少年は照れたように言う。
そんなふうに思っててくれたんだと、嬉しくなった。
“ありがとう。これからもよろしく”
甘えてしまってるなぁ。
でも、俺1人じゃできないことも多いからありがたい。
謝るよりも感謝の気持ちを伝えて、握手をしようと触手を伸ばす。
俺の触手を握って、少年は微笑んでくれた。
◆◇◆
「お父さん、あのね……」
俺もそろそろ寝ようかな。
丸くなったところで、仁葉がもじもじしながら話しかけてきた。
トイレだろうか。
《竜さん、すみませんトイレはどこですか?》
《ここの外、仮設トイレあるぞ。適当に使え》
よかったトイレはあるみたいだ。
“トイレ、外にあるよ。パパがついていこうか?”
「もう、パパ! そうじゃないよ!」
仁葉はまっかになって、ほっぺたを膨らませる。
照れたような怒った顔も、これまた可愛いな。
仁葉とすごすようになってから、急速に親バカが進行してる気がする。
「これ、パパにあげる!」
仁葉がくれたのは、ラッピングされた小袋だった。
“今日、パパ誕生日じゃないよ?”
「バレンタインのチョコだよ! ウララちゃんと一緒に買ってきたの。バレンタインは好きな人にチョコをあげるんだよ!」
本当は昨日あげたかったんだよと、仁葉は言う。
バレンタインなんて、全く頭になかった。
“クラスの男の子にもあげたの?”
まだそういうの、パパは早いと思うんだ。
仁葉からチョコをもらった奴がいるのなら、しっかりと確認しておかなくちゃいけない。
「ううん。パパだけだよ! パパが一番だもん!」
ほんと、うちの娘可愛い。
そうだよな。パパが一番だよな!
チョコを体の中にしまって、しゃがんでいる娘に巻き付く。
《俺も仁葉が大好きだぞ!!》
好きを伝えるように、ぎゅうぎゅうと巻きつく。
幼女に巻き付く触手。
親子のスキンシップにしては、異質な光景だっただろう。
でも、仁葉も嬉しそうに笑いながら、抱きしめ返してくれて。
それだけで俺は、これからも頑張っていける気がした。




