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11日目・昼 出会い

11日目は禅様よりツイッターにて、触手ランドセル幼女のイラストをいただきました!

ありがとうごさいます!!(ちなみに13日目までいただいております。ありがとうございますね!)

 仁葉ヒトハを教室まで送り届けて、隣の席の桃山さんと二人きりになる。

 前に蜘蛛がゲットした分け前を渡すのと、青キューブの価値を知るためだ。


《はい、これ分け前です》

《ありがとう》

 青のキューブを渡すと、桃山さんは嬉しそうな声を出す。


《青のキューブはレアだって言ったよね。食べると、体が強化されるんだ。俺も元々は3本しか触手がなくて、もっと小さかったんだけど。今じゃこの通りだよ》

 桃山さんは、8本ある桃色の触手をうねらせた。


《今の俺の下半身、犬みたいだろ? これも青のキューブを食べたおかげなんだ。何がどれくらい強化されるかは、食べてみるまで謎だけどな》


 さっそく桃山さんは、青キューブを食べてしまう。

 子犬くらいだった大きさが、中型犬くらいになった。



 なるほど、自分を強化するキューブか。

 余計にモンスターっぽくなるっていうのは、複雑なんだけど。

 でも、このご時世だとそうも言ってられないよな。

 交換に出すより、自分で食べたほうが活かせそうだ。


《じゃあ、俺も食べてみますね》

 桃山さんに宣言して、青のキューブを取り出し……吸収する。

 緑の触手がにゅるりと1本増えた。


《おぉ、触手が増えた!》

 しかも大分太くなってる。

 人差し指くらいだったのが、麺棒くらいの太さになっていた。

 これで重いものも、持ち運びできそうだ!


《そうだ桃山さん、俺これから蜘蛛のところに行くつもりなんですが。桃山さんはどうしますか?》

《いや、今日は研究所に行く予定なんだ。南地区の方で、モンスターが大量発生しているそうだよ》


 有益な情報をもらい、桃山さんと別れる。

 少年を呼んで、この間のようにお手伝いを頼もうかな。


 でも、最近呼び出しすぎだよな。

 なんだかんだ言っても、学業のほうが優先だろうし。


 喫茶店へ行って、メニューを見る。

 ちょっと最近使いすぎたから、キューブが少ないんだよな。

 現在キューブはオレンジが1個、黄色が5個、白3個だ。


 少年のほうが慣れてるし、色々わかってくれてるから楽なんだけど。

 今日は、モンスター駆除や護衛をしてくれる子を選んだ。


 2時間でオレンジ1個と黄色2個。プラスで、モンスターを倒した成果の3割。

 高いけど、空も飛べますって書かれてるのが気になったんだよな。



「おまたせしました! ヒマリと申しますっ!」

 やってきた子は、小学校高学年になりたてといった感じ。

 色素の薄く長いツインテールに、くりくりとした瞳が素直そうな女の子だ。


 彼女の背中のランドセルからは、緑色に発光する羽。

 いや、よく見ると……あれも触手みたいだ。


「あなたが依頼主ですね。よろしくおねかいしますっ!」

 元気のよい挨拶をして、ヒマリちゃんが俺を抱き上げる。

 外に出たところで、おもむろに走りだした。


 ふわり。浮遊感がした。

 街がどんどんと小さくなり、風が俺の体に当たる。


 凄いな……空を飛べる触手もあるんだ。

 途中で豚肉を少しだけ購入して、それから蜘蛛の元に向かう。


「ででで……でかいっ!」

 ヒマリちゃんには、事前に蜘蛛は平気か確認してあった。

 大丈夫ですよと言ってたわりに、声が震えている。


 まぁ、ビルの2階建てくらいの大きさあるもんね。

 人が余裕で背中に乗れるしさ。


 今回の蜘蛛の収穫は、オレンジ3個、黄色22個、白72個だった。

 言いつけを守って、雑魚から狩っていたらしい。


 オレンジ1個、黄色10個、白35個。

 俺と桃山さんで、それぞれもらうことにする。

 残りのオレンジ1個、黄色2個、白2個は蜘蛛へのご褒美にした。


 ◆◇◆



 端末で、モンスターの出現情報を確認する。

 南地区には、赤い丸がいっぱい点滅していた。

 

 蜘蛛の背にのって近くまで行けば、うようよとモンスターがいる。

 よりどりみどりというか、多い。

 一度モンスターが出ると、大量発生しやすいって行ってたっけ。


 ここは元々、オフィス街だったんだよな。

 隕石が落ちたのは平日の昼間だった。

 その時間、仕事をしていた人が多かったんだろう。

 

 ヒマリちゃんに手伝ってもらって、テイストコピーで加工した肉を落としていく。

 これで撒き餌は完了だ。


「なるほど、そういう狩りの仕方なんですね」

 感心した様子で、ヒマリちゃんが言う。


 “君は、どうやって狩りをしているの?”

「わたしですか? ふふ、見ていてくださいね!」

 端末で尋ねれば、ヒマリちゃんが触手の羽を広げた。

 目的は、眼下の芋虫型のモンスターのようだ。


 蜘蛛から飛び降り、ヒマリちゃんは芋虫モンスターの頭上まで移動する。

 ヒマリちゃんの触手から、薔薇を思わせる棘がいくつも放たれた。

 まるで弾丸のように、芋虫型モンスターへと突き刺さる。


「ギェェェェ!!」

 芋虫は悲鳴のような雄叫びを上げて、転がった。

 空に向かって、青い液体を吐く。


 ヒマリちゃんがそれをさっとよけ、青い液体はビルの外面にかかった。

 じゅっと音を立てて、あっという間に外壁を溶かしてしまう。


「トドメです!!」

 ヒマリちゃんの一声で、また棘を放たれた。

 芋虫モンスターの体に棘が食い込む。

 モンスターはじたばたと体を動かして……やがてキューブになった。


 なるほど、こうやって倒す子もいるんだ。

 飛べると攻撃が当たらないから、便利かもしれない。



 肉をばらまいた後は、少し離れた場所で蜘蛛と一緒に狩りをする。

 ヒマリちゃんは別行動で、モンスターを狩ってくれるそうだ。


 蜘蛛は強いんだが、獲物の場所がわかるわけじゃない。

 元々巣を作って、獲物が来るのを待つタイプだからね。

 でも獲物の場所さえわかれば、こっちのものなんだよ。


 蜘蛛がしゅるしゅると糸を放ち、出会うモンスターを糸巻きにしていく。

 圧倒的すぎて、俺がやることはない。


 俺ってば、虎の威狩る狐みたいだよね。

 蜘蛛ってば本当にいい子だ。


《お前は強くていい奴だな》

「キシャー!!」

 俺に褒められてテンションが上がったらしい。

 蜘蛛が雄叫びを出したそのとき、「キャー!!」という女性の甲高い声が聞こえた。


「や、やだっ!! 蜘蛛こないで!! なんで……なんで化け物いっぱいなのぉ……」

 破壊された瓦礫の影に、誰かいた。

 スーツを着た外国人の女性……いや、エルフみたいだ。


 なるほど、モンスターとして目覚めたけど、俺みたいに自我があるらしい。

 保護して、指定区域まで連れていった方が良さそうだ。


《蜘蛛、あの子をお前の背中に乗せて》

 指示すれば、蜘蛛は糸をエルフに向かって吐く。

 うまく糸をつり上げて、自分の背中へと放った。


《大丈夫、怯えなくていいから》

「ひぃい!! 化け物が喋った!!」


 地味に傷つくなぁ。

 まぁ、今の俺は触手だから仕方ないけど。


 エルフもモンスターだから、俺の声は聞こえる。

 彼女を安心させるため、安全な場所へ移動するよう蜘蛛に指示した。


《俺は元人間だよ。隕石が落ちて、人間は皆モンスターになったんだ》

 同じ人間がいたら落ち着くかなと、ヒマリちゃんを呼び戻す。

 エルフへの説明は、ヒマリちゃんに任せることにした。

 今回登場しているヒマリちゃんは、4日目にもらった紅のつきなみ様のものを参考にさせていただいてます。それと桃山さんは、8日目にもらった佐伯さん様からの触手となります。

 お二人ともありがとうございます!

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