6日目 収穫
6日目は須方三城様よりツイッターにて、触手ランドセル妖女のイラストをいただきました!
ありがとうごさいます!!
「パパ、どうしたの? 色が濁ってるよ?」
仁葉が心配そうに俺を見てくる。
鏡で見れば、確かにいつもより緑色が濁っていた。
アヤメの告白と、仁葉を生んだ理由。
あいつの寿命を聞かされて、一睡も出来なかった。
“しんぱいしてくれて ありがとう”
“でも だいじょうぶ げんきだよ”
端末を使って、仁葉に応える。
気分を切り替えて、仁葉のためにおにぎりをつくることにした。
触手で握るのも嫌だったので、ラップを用意する。
少し苦戦したが、コツを覚えればうまくいった。
ご飯をラップで包んで、それをさらに自分の体で覆えばいいのだ。
体全体を使って、形を作っていく。
端から見ると不気味だろうな……いや、考えないことにしよう。
ただの塩味のおにぎりだったのだが、仁葉はよろこんでくれた。
◆◇◆
今日は桃山さんと一緒に、蜘蛛が得たキューブを回収しにいく約束をしていた。
指定区域の側で待っているよう、蜘蛛には桃山さんから指示を飛ばしてあるらしい。
【分裂通信】の能力は、テレパシーのようなもの。
桃山さんいわく、距離は関係ないとのことだ。
蜘蛛が得ていたキューブは、オレンジが4個に黄色が15個、白が52個あった。
かなり大漁だ。
《自分の体を維持する分だけ、食べていいよとは言ってあるからね。これは余剰分だから俺達で分けても問題ない。でもまぁ、ご褒美は必要だよね》
桃山さんはそう言って、桃色の触手をうねらせた。
オレンジを2個、黄色を5個、白を25個。
桃山さんは自分の足下と、俺の手元に置く。
《この黄色5個と、白を2個は蜘蛛にあげようと思うけどいいかな?》
《はい》
これだけもらえれば十分だったし、頷く。
桃山さんは、俺に黄色2つと白1つを何故か手渡してきた。
自分は残りの黄色3つと白1つを食べてしまう。
今、蜘蛛にあげようと言ったばかりなのに。
《桃山さん!?》
驚いた俺の前で、桃山さんの体積が少しだけふくれた。
桃山さんの4分の1が欠けて、その部分がトンボの形になる。
《今のキューブを、このトンボに変換してみたんだ。前と同じようにして、これに味をつけてあげてよ》
言われるがままにキューブを口にする。
前と同じ……カワハギでいいかな。
想像したところで、俺の体の色が変化した。
キューブを食べてふくれた分をちぎって、桃山さんの作ったトンボを加工する。
「う゛ー、う゛ー!!」
《ももも、桃山さん!! 蜘蛛がなんか言ってます!!》
地に響くような声で、蜘蛛が体を揺らしている。
ビビった俺に、桃山さんは笑っていた。
《早く食べたいって言ってるんだよ。美味しいものがもらえるとわかれば、蜘蛛も張り切ってくれると思うからね》
桃山さんが、蜘蛛に食べていいよと合図を出す。
蜘蛛は偽トンボを糸で絡め取ると、それを飲み込んでしまった。
「う゛ー、うう゛ー!!」
頭を縦に勢いよく振っている。
彼の言葉はよくわからないが、美味しかったのだけは伝わってきた。




