フザケテマジメ
目を瞑り鼻から大きく酸素を取り込み、肺を満たす。そしたら大きく吐き出せ。
頭の中はクリアになったか? 思考は正常か? 明瞭か? お前にはどこまで見えている?
集中できないなんて言い訳はさせないぞ。何が気になろうともそれはお前がどう捉えるかでいくらでも変えられるし、いくらでも変えてきたじゃないか。
考えないことを考えろ! 魂の叫びに耳を傾けるな。塞げない耳など最初から無いのと同じだ。目を逸らすな、直視してみせろ!
お前が選んだレールの上はさぞ走りづらかろう。それでも走り出したのはお前だ。前だけを向け、後ろには何も残されていない。お前が吐き出した残骸のみだ。振り返るな、ひたすら先をゆけ。
それでも手が止まるなんてのは俺が許さない。
動き出しは一瞬だ。その瞬間まで脳をリセットし、溜めに溜め込んだものを出し尽くせ。お前の視力は現実を映す必要のないものだ。見るのは向こう側だ。いいな忘れるなよ。
なあに、安心しろ。通常運転の脳みそなどいくらでも換えがきく。前を向く決意にきっと応えてくれる。
堕落した脳みそを高性能エンジンに入れ替えてやるよ。100万馬力だ、後のことなんて考えるな、動き出したら止まれないし、止まらせない。
燃費の悪さなど気にするだけ無駄だ。お前の考えうる最高をそこに凝縮しろ!
思考回路が擦り切れるまで先を行け! お前の腕は後からちゃんと追ってきてくれる。
目に入るものをどう取り扱うかはお前次第。端に移る数文字の紅点は謂わばニトログリセリンだ。取り扱説明書は読んだか? 十分に気をつけてるんだぞ。
お前の背中を強く押して、支えてくれるものだが、それにお前はどこまで応えられる?
いつだって危ないことが好きなお前だ。クレイジーなエンジンにはそれに相応しい燃料がある。
使うのはお前だ。
だが一つ言っておこう。それを使いこなすことができたならば、お前はどこまでも走り続けることができるはずだ。燃料はいつだって無限にあるじゃないか。見ないふりをするのはもうやめだ。
ガラス片のような燃料を掻き集めたら踏み出すしかない。
亜音速を超え、音速を超え、物理を超越する。現実世界を置き去りにしてくれる速度を生む。極限の思考回路は煙を上げながらも最高のパフォーマンスで応えてくれるだろう。
その時にこそ後ろを振り返れ、吐き出したものが残骸ではなく宝物に変わっているはずだ。お前の後ろには培われた財産が転がっている。それを回収するのはもっと後の話だ。
きっと一つ残らず拾ってくれる人が現れるだろう。
だったらお前のすることは最初から何一つ変わっちゃいない。前だけを向け! 不細工で、無様で、みじめでもお前は止まる事を許されない。
立ち竦んだらまた俺が尻を蹴っ飛ばしてやんよ。だから何も心配はするな。
ふんっ、もうエンジンを温めているのか。やれやれだ。
忘れるな一度踏んだアクセルを少しでも浮かせばお前の速度は先を走り続けることができない。止まってしまうだろう。だから踏み続けろ、うなりを上げたエンジンがぶっ壊れるまで世界を越えて行け!
スタートの合図は必要……ないな。
あぁ、今日も行って来い。
画面に向かう背中を悲哀に満ちた面持ちで眺め、今日も背中を押す。
俺もまだまだアマちゃんだな。どうしても諦めろとは言えないんだから。部品の変えぐらいは俺がしてやらないとお前はいつまでたっても走りだしゃーしない。
燃え尽きる最後まで俺が見ててやるよ。最後の最後までな。だから、どこまでも走り続けようぜ。もうお前の足は指針を得ているんだ、真っ直ぐじゃなくてもいい、蛇行してもいい。方角は合ってるんだ。
暗闇の中でお前の背中を押してくれる人が現れるその日までは、隣にいつもいてやるよ。
まったく世話の掛る俺だ。
さて、こんなもう一人の自分がいたら面白いだろうな。と思って書いた殴り書きです。
作者目線の主観によるものです。
頭のおかしい子だと思って暖かく見守ってくださいな。