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フラグ潰しの日々

 生徒会長に就任した俺は、副会長にクレアを指定した。

「ネトア酷い、どうして私が副会長にならないといけないの……?」

 知り合いが居ないんだから仕方がない。クレアは嫌がったが、俺を指定した罰だ。


 後は、百合ゲ展開入った時用に、という意味合いもある。

 かわいいよ、クレア。かわいいよクレア……。


「副会長なんて面倒な事を頼んでごめんね」

 心にもない謝罪を入れると、仕方ないなあ、と言ってくれた。クレアはチョロイン属性なのだ。押せばいけると思う。


 優秀なクレアを副会長にした事で、俺は結構自由な時間ができるようになった。

 仕事を勝手に終わらせてくれるのだ。なんて便利キャラなんだろう……。


 会長としての仕事はほとんどクレアに丸投げし、俺がお飾り役になる事で本当の仕事、フラグ潰しに専念できるようになった。

「ネトア、怪しい気分が高揚する薬が出回っているらしいよ」

「潰しておいて」


 学園内の事は学園長権限、生徒会長権限のごり押しで。

 学園外の事は、伯爵家のごり押しで。

 

 ある程度権力を握る事ができたため、ほとんどの事は圧力をかけて実現できる。

 現在、俺の年齢は十七歳。あと半年程度で十八歳。出演可能な年齢になってしまうのだ。できる限り、フラグを潰しておかないと。



「ネトア、人数不足だから新しく用務員を雇ったらしいよ」

 用務員……。嫌な予感がしたので、用務員室へと向かった。

「これはこれは。お美しい生徒会長様でございますねえ……へっへっへ」


「……」

 兄弟でシリーズ物になりそうな下衆い顔の用務員が居た。


 俺は同様を悟られないように笑顔を作り、頭を下げてすぐに学園長室に向かった。

「なんでアレを雇ったのよ!?」

「ネトア様、彼は優秀な人材なんですよ」


 そうなのか……?顔で判断すれば、○作にしか見えないんだが……。

 用務員室に仕掛けたマイクとカメラを確認してみる。


「くっくっく、まだ青いから手を出さねえが、あの嬢ちゃんを頂く時が楽しみだぜ」

 黒だった。俺は学園長に、恨みを買わない程度に扱い、そっと他の学園へ移すよう指示をする。



「ネトア会長、最近学園裏の山中に奇妙な生物がいるとの事です」

「奇妙な生物……?」


 クレアからそう言われ、現場を見にいく事にする。

「あ、あれです。あれが奇妙な生物ですね」


 その生き物は緑色でぐにぐにと姿を変えながら、山の中を這うようにうごめいていた。

 そのリアルで存在しなさそうな物体を観察しながら、ごちゃん端末で書き込みをしてみる。


『スライムっぽい生き物がいるんだけど、どう思う? 悪役令嬢』

『増やそうぜ! ゼウス』


 これがファンタジー世界ならお友達だったり、人間になりたい友情物語があったりするのかもしれないが、ここはエロゲなのだ。

『うん、大体解った、駆除するわ 悪役令嬢』

『勿体ないな 名無し』

『酷いね、エゴイストだよっ カミカ』

 俺は非難のレスを浴びながら、スライムを駆除していく。


「駆除ってどうやるの?」

 クレアが尋ねてくるので、考えてみる。


ひのきのぼうってさ

檜の棒って読むじゃん?

でも、火の木の棒って読むと、蛮族みたいでロマンじゃね? カラス


 レスについた通り燃やしてみる事にした。火の付いた棒を近づけると、スライムの体液で消されてしまった。

 ごちゃんには、クソワロタwwwと苛立たせるようなレスが付いていた。


 次に水をかけてみた。一回り大きくなっただけだった。


 塩をかけると、少し動きが鈍くなった。これならいけるかも?


「クレア、塩。塩を持ってきて」

「何もったいない事してるの!塩って貴重なんだよ?」

 物を大切にしろ、とクレアにめちゃくちゃ怒られた。


 それから、色々と試したがどうしてもスライムを駆除する方法が思いつかない。

「害ないからほっといていいんじゃないの?」

 クレアが飽きたのか、帰りたそうな顔をしていた。

 今は害ないけど、俺が十八歳になった時に、こんなのに捕まったら嫌すぎる……。


 俺はまだ本気を出していない、と言いたげに、スライムが動いていた。

『物質具現化でスライムを駆除する物を出せば良くね? ミスリル』


 採用だ!物質具現化!


 スライムを駆除する物、と曖昧なイメージで具現化した。

 出てきたのは一回り大きなスライムだった。

「……」


 その一回り大きなスライムは、小さいスライムを包み込み吸収した後……逃げていった。

 逃げていったスライムを追う気力はもう無かった。


『スライムを駆除しようとしたら、一回り大きなスライムが出てくる糞能力をどう思う? 悪役令嬢』

『最初のは駆除したんでしょ?それならいいじゃん カミカ』

『その一回り大きなスライムを駆除する時はどうすんだよ…… 悪役令嬢』

『もう一回り大きなスライムを出せばよくね? 名無し』


 そのスライムが邪魔になったら、もう一回り大きなスライムを出すんだろ。もういいわ……。


 煽るレスにイライラしながら、俺はごちゃん端末を閉じた。


読んで頂きありがとうございました。

咳と喉の痛みくらいまで症状がおさまりました。

気付くと、ブクマが増えていました。ありがとうございます!

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