コウモリのサンバイザー
開いて頂きありがとうございました。
まともな話を作れ、と寝る前に書き込んだ所……翌日には、修正しました、と書き込みがあった。
だから直せるなら全部直してからリリースしろってば!
『今回のでバージョン0.07か? ゼウス』
『違うよっ、ネトア転生の時に0.10にしたから、0.13だよっ カミカ』
『β版じゃねえか!! 悪役令嬢』
俺はβテスターかよ……。
この世界の出来が悪いのはβ版だったからなのか。
『泣けてくるわ 悪役令嬢』
『泣きゲーだからねっ カミカ』
絶対に違う!
「おはよう、ネトア」
いつもは白色のドレスを着ているクレアが、真っ黒な衣装に代わっていた。
「……おはようクレア」
クレアの服が変わっていた。エロい方向に……。
うん、この衣装変更は評価できる。
真っ白いクレアの透き通るような胸元が、大きく開かれているドレス。
そして下。白のゴシックスカートもチラチラと白い足が目に入り大変よろしい物だったが。
「どうしたの?ぼーっとしてるけど?」
今のクレアは黒のきわどいローライズパンツ。いや、ローライズショーツだった。
足の付け根、処理していないと危ないくらいのローライズショーツだけを身にまとったクレアは、危ない恰好で歩き回っていたのだ。
何これ、パンツじゃないから恥ずかしくないの?
エロい……。虹だと見慣れた格好でもリアルでやるとこんなにエロい格好になるのか。
「今日は暑いね、ネトア」
パタパタと手で自分を仰ぐクレアは自然に誘うように上着に手をかけて、そっと脱ぎはじめる。
黒の透けているような下着があらわになり、教室からおおっ、と声が漏れる。
下着もはずそうとしているクレアの手をそっと止めて……自分が見る分には構わないんだけどさ
『ちょっと、おかしくない?これどういう事なの? 悪役令嬢』
『洗脳じゃね? ゼウス』
『ああ、これ洗脳だわ。ヒロインが洗脳される奴 名無し』
洗脳……って、何でだよ!?そんなバカな事が……とクレアの方を見ると、
ゴゴゴゴゴゴ、と音をたてそうな禍々しい……
具体的には某ゲームでみたようなコウモリの羽っぽいデザインのサンバイザーがクレアの首にかかっていた。
……オル○!?
首を傾げ、どうしたの?と言うクレアから、すっとサンバイザーを抜き取ってみる。
「え……え、えええ……!?」
無言で半裸になっている自分の身体を抑え、うずくまり悲鳴をあげた。
何事かと人が集まる所を、ひぃ、ゃぁぁぁ!?
と叫びながら逃げるように走り去っていった。
『ちょっ、昨日一日かけて作った洗脳アイテムを取っちゃダメだよっ! カミカ』
お前が洗脳したのかよ!?何のために洗脳したんだよ!!
あと一日かけてって、パッチってこのサンバイザーだけかよ!?
何なのこれ。CG変えたからこれでいいだろって態度のメーカー(カミカ)は……。
「ん、どうかしたのかな?」
クレア騒動の後、微妙な空気に包まれた教室の空気を読まず、
「剣に関する事なら私に相談してくれ」といつもと変わらない全快発言をするラレア。
こっちも洗脳されているのか、と思ったが、いつもと変わらないラレアだった。
『主要人物以外にパッチを当てる余裕は無いんだよっ カミカ』
同じ学校に通っていて
オークイベントをこなして
生徒会に入ってて美少女剣士設定のおかしい発言をするラレア。
モブにすんなよ!
あと主要人物じゃないならもっと緩い設定にしろよ!!
ラレアが立ちすぎて他のキャラが霞んでるだろ……。
『もちろん、攻略キャラではあるんだよな? ゼウス』
『続編では攻略可能になるのか? ミスリル』
おい、待てよ……続編とかあるのか?
この世界が終わった後、続編世界にもう一回転生とかさせられたりすんの?
まあ、ラレアが攻略可能かどうか。
続編世界があるかどうか。それは置いておくとして……
「む、どうしたんだネトア?」
他の人にも有効なんだろうか、と。
そっとクレアから抜き取ったサンバイザーをかけてみた。
急に目から力を失ったラレアは、キョロキョロとあたりを見回してから、教室の外へ歩き出した。
「一応尋ねてみるけど……もう授業始まるけど、ラレアはどこにいくの?」
洗脳サンバイザーをかけた義務として尋ねてみる。
「……洗脳されたから、ちょっと露出が激しいエロい服に着替えてくる」
洗脳されたから仕方がないんだ、と言うラレアを、そっと見送った。
『……洗脳ってそういう物だっけ? 悪役令嬢』
『洗脳前と洗脳後で格好が一緒だと、どっちか解らないからねっ カミカ』
区別を付けるためだったのかよ……。
読んで頂きありがとうございました!