海でポイント稼ぎ
結構、間が空いてしまいました。ごめんなさい。
バレンタインデー付近で、別の完結作品の追加をしたのと、
出張前でお仕事が忙しかったのと
出張中でネット環境が悪かったのと
……すいません、言い訳です。ごめんなさい。
マリエの水着を略奪し、着替えてから海辺へと出る。
クレアは既に水着に着替えていた。俺がマリエから水着を奪っている間に着替えられてしまったのだ。
いかにも夏というチリチリと肌を焼く陽射し。男性時代と比べて肌が弱くなっているみたいだ。
「日焼け止め塗る?」
そういって、クレアが日焼け止めクリームを手の平で伸ばしている。
お願い、と言おうとした所で、マリエが意を決したように急に立ち上がり、
「せっかくの海、これは水着、これは水着……」
そう言ってマリエは自分の服を脱いでいく。って、海辺で何してるの!?
「ちょ、マリエ……。更衣室あっち、更衣室あっちだから」
そういうと、マリエはやさぐれた顔をして
「いいんです、どうせこんな水着を着ないといけないんですから。どうせ着替えても裸を見られているような物ですから」
へっ、と卑屈そうな顔で悪態を付くマリエに少しイライラしつつも、具現化した水着を出してあげる。
「次からはちゃんとしたの持ってきてよ?」
「ネトア様、ありがとうございます!すみません、ついネトア様を脳内着せ替えしていてエスカレートしたみたいで……」
脳内着せ替えという言葉に、気持ち悪さを感じながらも、まあいいかと更衣室へしっしと追い払う動作をする。
「じゃあ、ネトア横になって」
いつの間にか準備されていたパラソルに横になり、クレアに日焼け止めを塗ってもらう。
水着の上を外し、日焼け後が残らないように満遍なく背中に塗りたくってもらう。
そこで露出ポイントが微々たる物だが少しずつ溜まっていくのを感じた。
『露出ポイントが溜まっていくんだけど? 悪役令嬢』
『水着って露出じゃね? 名無し』
露出なのか?
露出の定義は……とログをあさってみる。
『自宅以外の他の人が来るような所で、見られたら恥ずかしい事をする、でいいんじゃないかな。
見られるかどうかは別の問題で、見られないような小さい露出でもいいと思うよっ カミカ』
水着も露出に入るのか。
見られたら恥ずかしい事をしているんだろうか。
『その辺はグレーゾーンだねっパッチがあたる前のバグかもしれないから、今のうちに稼いどけば? カミカ』
いや、それよりパッチって何だよ。嫌だよ修正パッチが当たる世界とか修正パッチが必要な世界って嫌だぞ。
『まあ、ボーナスステージだと思えばいいんじゃない? 名無し』
俺が一日、スカート上下運動をして稼げる露出ポイントが500くらいだ。
水着で、十分立っている程度でそれが溜まっているのだ。ぶっちゃけすごく美味しい。
露出ポイントから変換する奇跡の実行は、かなり役立つ物が多いのだ。
そうか、ボーナス。稼げるだけ稼いでみるか。
「クレア、横も塗って」
そう言って、俺は水着の上を抜き取り、身体を少し持ち上げる。
露出ポイントが溜まる速度が二倍程度になった。
「下も塗ってくれる?」
下の水着をずらして、日焼け止めを塗りたくって貰う。
さらに露出ポイントが溜まる速度が倍になった。これだけで、普段の一週間分くらいの露出ポイントは溜まったな……。
「もういい、ありがとう。次は私が塗ってあげる」
露出ポイントを貯めた後はクレアへのおさわりタイムだ。ひゃっほう、と水着を止めて振り向くと。
「じゃあ、ネトア。お願いするねー」
アロワ(男の娘)が居た。手を見ると日焼け止めが付いている。おそらく塗っていたのはアロワだったんだろう。
クレア、クレアはどこに……?
「……あぁ」
クレアは、というとラレアと一緒に海で遊んでいた。もう一度アロワを見ると、じゃあお願い、と今まで俺が寝ていた所に横になった。
アロワにクリームを塗られた、というのも特に気にはならないが、クレア(美少女)へのおさわりタイムがアロワ(男の娘)になってしまった事に、失望する。
『見た目が美少女ならいいじゃん……ゴツゴツしたおじさんに塗るよりも幸せだと思うけど? ミスリル』
『いや、確かにこれはこれで悪くないけど…… 悪役令嬢』
悔しくなって、足に日焼け止めクリームを塗ってアロワを踏んでみた。
「痛い、痛いよネトア……」
「ん?どうした?これが気持ちいいんだろう?私にいじられて、この白い粘液でベトベトにされたいんだろう?」
足で踏みながら、痛がるアロワに少しだけテンションがおかしくなったのは仕方がない事だと思う。
海の中に入り、水着をそっと外してみると、すごい勢いで奇跡ポイントが溜まっていくのが解る。
「きゃっ、水着が流されちゃった」
『ワロタwww カミカ』
『自分で外した上に持っててそれはねーだろ ゼウス』
うるさい、言ってみたかっただけなんだ。
露出ポイントが、三万ポイントくらい溜まった。これだけあれば、十分だろう、と水着を付ける。
これで暫く、露出ポイントを稼がなくてもすむ。
ん、何だか水着の中に変な感触が……。
水着の中から変な感触の物をつまみ上げると、変なクラゲのような生き物が暴れていた。
クラゲのようなと言ったのは、それが明らかにクラゲではなかったからだ。
クラゲのような半透明な生き物だった。
クラゲのような感触の生き物だった。
「ゲッゲッゲ……」
が、それはクラゲとは言いがたい。
映画に出てくる宇宙生物のような顔つきをしていたのだ。
驚いて手を放すと、お腹の中に融合されるようにして入っていく。
「ネトア、どうしたの?」
クレアが泳いで近づいてくる。
……うん、何かしら嫌な予感がする。
海から上がった後で、書き込んでみる。
『エイリアン風なクラゲいたけど、あれ何?お腹の中に入っていったんだけど、どう思う? 悪役令嬢』
『妊娠おめ! カミカ』
『エイリアン出産まで一年後くらい?その時には十八歳超えてるし、危ない表現もなかったからセフセフ 名無し』
セフセフじゃねーよ!えっ、何なの?
このまま待ってたら、さっきのエイリアンもどきにお腹から食い破られたり、
ひぎぃと叫びながら大量のエイリアンを産みおとしたりしないといけないの?
『まあ、エロゲだしねっ カミカ』
『前触れもなく、すぐに白目向いてアヘ顔絶頂ってさ
リアリティ無いじゃん?でも、エロゲでは、一般常識のようにあるじゃん?
エイリアンっぽいのが、体内に溶け込んだ後、受胎していたってさ
リアリティ無いじゃん?でも、エロゲでは、そうなりそうじゃん?
それとも何なの?あのお腹に融合したエイリアンはどうなるの?
寝てるうちに、はがれましたってなるの?ないと思わないの? ミスリル』
ミスリルがくどい……。
今日ためた露出ポイントで奇跡を検索してみると、項目にあった。
『海イベントで、エイリアンクラゲの融合を無かった事にする 5000露出ポイント』
具体的すぎる。絶対、水着イベントのポイント吸い上げるために用意しただろ……。
「ゲェェェッェェ」
俺が奇跡を実行すると、苦しそうにうめく声がお腹から聞こえた。
本当に何なの、この生き物……。
『エイリアンなんていなかった! 悪役令嬢』
『勿体ない…… 名無し』
まあいい。3万ポイント貯めてるんだ。5000ポイント使っても、まだ25000もある。
『全員にかけたのかなっ? カミカ』
…………全員、だと……?
「ゲェェェッェェ」
「ゲェェェッェェ」
「ゲェェェッェェ……」
クレア、ラレア、アロワ、マリエ、クレアの侍女、俺。全員合わせて3万ポイント。
露出ポイントは、今まで貯めていた分も含めて根こそぎ持っていった。
『露出ポイントが無くなったわ 悪役令嬢』
『また貯めればいいんじゃね?もっとハードに露出しようぜ! 名無し』
ごちゃん端末を、キーボードクラッシャーのごとく、机に叩き付けた。
翌日、海から帰りの車に乗る。
「楽しかった、またいこうね」
そういうクレアの横顔を見ながら、
また来てもいいかな、と。
そう思った。
読んで頂きありがとうございました!