生徒会制服
さて、今日も生徒会でフラグ潰しだ、と生徒会室に入ると……いきなりクレアに衝撃的な言葉を投げかけられる。
「ネトア、生徒会の制服が出来たらしいわ」
『生徒会の制服!?何それwww カミカ』
『何その設定w絶対受けねえだろwww カラス』
クレアがにこやかに微笑んで、生徒会の制服とやらを身にまとっていた。
「……そう、制服」
タイツだった。足だけのタイツではなく、全身だ。
全身タイツ、という変態的な格好で美少女クレアは微笑んでいた。
女神の微笑みも、お笑い芸人のようなタイツで魅力が三割減の残念さだった。
「この学校の服は自由だよね?」
風紀を乱さない程度、とはあるものの服自体は自由なはずだった。
「生徒会は今年から制服になったらしいよ」
赤色で身体の形がくっきりと身体のラインが出ているクレア。
今からロボに乗ります風なタイツだった。
そして、そんな露出狂じみた制服を着ているのに、クレアは平然としていた。
「何だか、生徒会役員特権とやらで制服が支給されたらしいんだ」
ラレアも気に入っているのか、黒色のタイツを身に着けている。
黄金のダブル天然コンビは、羞恥心のかけらも見えない様子で、全身タイツを着こなしていた。
エロゲフラグが立ちそうな気がするタイツを眺めてみる。
まあ、クレアとラレアが身に付ける分には、目の保養になるから構わないんだけど。
「はい、これネトアの分」
「やっぱりあるんだよな」
生徒会の制服って言ってたもんな……。
クレアがどうぞ、と俺の分を渡してくる。取り敢えずこの制服を廃止させるのは後回しとして、一度は袖を通さないと二人が納得しないだろう。
着てもないのに反対とか、クレアは怒りそうだ。
クレアが赤。
ラレアが黒。
それなら俺のは白だろう、何となくだけど。
白か、透けそうだよな……。そう思いながらも、一応と袋から引っ張り出す。
裏切られた。
いい意味ではなく、悪い意味そのまま。
方向性を保ったまま、その制服は俺の想像を突っ切っていた。
「……うん」
無色。出てきたタイツは、透明だった。
何これ、裸の生徒会長?
ラップ巻いてるだけで歩きまわる生徒会長?
「さあネトア、袖を通して。今日はこれから風紀委員会との打ち合わせがあるから」
それ付けたら俺自身が風紀を乱しまくりだろう、というタイツを持ち迫ってくるクレア。
「全く、服が嫌だなんて。ネトアは子供なんだな」
笑うラレアを睨みつけ、俺は再度透明の服を手に取ってみる。
何度手に持ち直しても透明だった。
持った先の手相が見えるくらいのクリアーな透明だった。
「いや、無理だから、こんなの着れないよ?」
「制服は最新兵器技術を使ってて暗殺から身を守ってくれるらしいよ?」
暗殺されるような役職じゃないし、何無駄な物を作ってるんだよ。
あと、なんで透明なんだよ!服を透明にすんな!
『生徒会長の制服が透明な全身タイツなんだけどどう思う? 悪役令嬢』
俺がごちゃんに書き込むと、すぐにレスが付いた。
『着てM字開脚している所を見ないと、どんな服なのか判断がつかん。 ゼウス』
無駄なレスだった。消えろ、と書き込みごちゃん端末を閉じた。
「ネトア、どうしたの?さあ速く着て。動きやすいよ」
タイツなんだから動きやすいだろうよ。
ないわ……。動きやすくてもタイツで動き回る生徒会とか無いわ。
そして、この怪しげなタイツを持ちながら、この先の展開を考えてみる。
「これって、女性しか着られなかったりする?」
「良く解ったな、これは女性専用らしいぞ」
驚いたようにラレアが言う。
開発者の名前を聞くと、校長だった。アイツか……。
俺は校長へと直接話を聞きに行く。
「この服は女性専用って事なんだけど」
「そうだが……?」
「もちろん、これは最新兵器技術を使ってとか聞いたんだけど、守秘義務があったりするの?」
俺が突っ込むと、校長はきまずそうに目を逸し頷いた。
「確かに、そうだが」
「私達、この制服を着る生徒会は寮か何かに入って管理されたりする?」
俺がジト目で校長を睨むと、校長は狼狽えたように剥げかかった額に汗をかく。
「……うむ、うむ。確かにそうだ」
嫌そうなフラグが立ってくる。どの程度までのフラグかを確認してみる。
「男性が着れないなら、男性設備は無いんでしょう?」
「勿論だ。女性専用兵器にどうして男性寮が必要になるんだね」
『大体読めてきたね カミカ』
『お約束だよね 名無し』
『一応確認してくる 悪役令嬢』
「もし、着る事ができる男性が現れたらどうします?うちの学校とかで……」
「その場合、すごく貴重なサンプルだね。男性寮が出来るまで君達と同じ寮で生活を……」
着れる男発見からの半同棲のハーレムエロゲ。
監視され弱みを握られたりするエロゲって所か。
もしかしたらバトル展開もあって捕まると……って所までか。
「……この醜い豚」
結論、そんな展開は要らない。以前奇跡で取ったスキルを使用する事に決めた。
「この制服は辞めなさい……透明な制服はありえない」
そして、制服案は取りやめとなった。
「ネトア、制服無しになったんだね。少し残念かなあ」
クレアは割りと気に入ってたのだろうか。自分のタイツを名残惜しそうに撫でている。
生徒会室に戻ると、ぱっと見美少女男性のアロワが透明な制服を着ていた。
ただ……悲鳴をあげるような事ではなかった。
別にアロワのアレが小さいとか
ぱっと見女性で嫌悪感が無いとか
そういう事ではなく……
「おかえり、ネトア」
アロワは服の上から羽織っていた。
「ネトア。この透明のタイツ凄いね、力が湧いてくるようだよ」
「そう……良かったわね」
『いきなり着れる男がいたな 名無し』
『男の娘の性別は男性じゃなくて、男の娘だからね カミカ』
『どうでもいい。どっと疲れが出たわ 悪役令嬢』
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