プロローグ
ああ、やってしまった。
山道のガードレールを飛び越えて俺は崖下へと身体を投げ出される。
買ったばかりのリッターバイク、絶対これでスクラップだろ。
ローン凄く残ってるのに……
彼女も居ない歴=年齢。楽しい事もあまりない人生だったな
数々の思い出が浮かんでは消え、浮かんでは消える。
地面が近づき、俺は崖下の岩に叩きつけられ、その上にリッターバイクが顔の上に……。
「……お嬢様、お嬢様」
「……お嬢様?」
俺はぼんやりとした頭を振り、辺りを見回す。
ここは、ジャヴァ国、伯爵家。ビーンズ家の庭だ。侍女のマリエが不安そうな顔でこちらを見ている。
ん、ジャヴァ国?伯爵家?マリエ……?
「思い出した……」
俺は転生したんだ。
死んだ直後、神様っぽいのと会った。美少女だったような気がする。
俺は彼女に、いい事が全然無かった、と愚痴った。
「俺は、俺は、エロゲに出てくる主人公のような人生が送りたかったんだ!!!」
彼女は同情してくれて、転生させてあげる、と言った。
「エロゲがどういうのかは解るから大丈夫、エロゲの主人公に転生させてあげるよっ!」
そして転生した。
俺は自分の姿を見る。膨らんだ胸、ほっそりとした腰。女だった。
俺はエロゲーの女主人公に転生してしまったようだ……。
違うぅぅぅ、俺はエロゲーの主人公になりたいと言ったが、美少女の幼馴染とか、美少女の先輩とかとイチャ☆ラブなエロゲーに転生したかったんだ。
何、俺が女で主人公って……どういうエロゲ。これなんてエロゲ?凌辱物とレズ物くらいしか思い浮かばないんですけどぉぉぉ!?
「……お嬢様、どうしたんですか?急に頭を振ったりして……」
俺ははっと気付いた。そうだ、チート、チートは無いか……?
こういう転生系のストーリーでは、必ずチートがあるはずだ。
俺は試してみようと、マリエに向かって色々と質問する。
「マリエ、私は魔法がどのくらい使えるの?」
「……何を言ってるんですか?魔法なんてある訳ないでしょうに……」
「……マリエ、私は剣術とか凄いよね?冒険者とかできるかな」
「剣……お嬢様はそもそも運動神経皆無でしょうに。それにお嬢様には剣術なんて必要ありませんよ」
「…………マリエ、私には、どんなチートがあるの?」
「チート?何を言ってるんですか?」
チートは無かった。そうだよね、ファンタジー世界じゃなくてエロゲ世界だもんね……。
俺はとぼとぼと自分の部屋の中に入った。
俺は転生する時に神様と会っていたはずだ。思い出せ、何かチートやら有利な能力をもらっているはずだ……。
「ねえ、チートとか居る?」
「エロゲの世界に入れるなら、もう俺チートとかいらないわ」
断っていた。俺は嫌な汗が噴き出すのを感じた……。
断ってるじゃん、俺。どうしよう……。もっと、もっと何かを思い出せ……。
「何見てんの?」
「する?これはごちゃん。神々の掲示板だよっ」
「ごっどちゃんねる!?お前俗っぽい神様だな」
「結構面白いんだよ。ボクはコテハンなんだからねっ」
そういって神様っぽい少女は、『雑談』カテにスレッドを立てる。
『今、事故死した人の魂がエロゲの世界に転生させろって言ってるけど、俺どうしたらいいの? カミカ』
『市ね ゼウス』
『消えろ 名無しの神』
『その事故死した人の魂とは、貴方の空想上の存在では無いですか? 名無しの神』
『終了 名無しの神』
役に立たない意見しか返ってこない。このスレ始まる前に終わっていた。
『実はJKです。役に立つ意見があったらおっぱいうp! カミカ』
「盛り上げようとすんの!?って、JKって何言ってんのお前!?」
どう見ても女子中学生以下の容姿だったカミカ。
「常識が無いカミカ。JKだから問題無いよ」
「おっぱいうpって何言ってんの。それにJKでも児ポにひっかかるぞ」
「ボクのだとは一言も言ってない!」
ろくな情報を思い出せなかった。終わった、俺終わった。
エロゲ世界のチート無し女主人公とか、幸せな人生を送れる気がしねえ……。
ふと、部屋の中のパソコンが目に入った。そして俺は一つ思いつく。
まさかな……と。記憶のアドレスを打ち込んでいく。
しばらくして、ページが開かれた。
~GODちゃんねる ごちゃんねるへようこそ~
読んで頂き、ありがとうございました。
星馴染です、よろしくお願いします。
神々の掲示板は、だいぶん前に思いついていたネタです。
ネタのメモ書き程度しかないので、綺麗に終われるよう頑張りたいと思います。
まあ、私が書く物で綺麗に終わる物は殆ど無いんですけどね……ハハハ。