第九話 心機一転
やはり、一話一話の文の量は少ないでしょうか?落ち着いたら、加筆などもしていきたいと思います。感想も首を長くして待っておりますので、どんどんお寄せください。
俺は、その晩、早く寝た。といっても、テレビもパソコンもラジオもゲームもないんだから、暇で暇で仕方がないからなのだが……
目が覚める。この世界には腕時計がなどないので、時刻を確認するには、大体の町にある時計台を見るしかない。高級ホテルや貴族の屋敷、王城などにも時計はあるが、この宿では……無理である。
ベッドから降りて、まず、清潔の魔法を唱える。この世界ではあまり、水が手に入らないため、風呂にゆっくりと浸かれる機会は少ない。なので、この世界の住民たちは、清潔の魔法と呼ばれる魔法をつかって体や髪を清潔に保つのだ。この魔法はこの世界に住むものなら誰でも使うことができる。
その後、一階に降りた。食堂で朝食を受け取り、椅子に座って食べる。パンとチーズ、スープという質素なものだ。これが前なら……とつい思ってしまうが仕方がない。うまい食事は復讐完遂後に死ぬほど食おうと心に決めた。
部屋に戻ると俺は荷物をまとめ、部屋を出た。一刻千金、Time is moneyである。さあ、宿から出ようと思ったが、新聞を読もうと考えを変え、ロビーにある椅子に座り、新聞を手に取った。
”パーレスタイムズ”とある。ここでは、活版印刷の技術がもう開発されているらしく、新聞が情報源となっている。どれどれ、一面は……
”謀叛人、ススム・オーノ、正義の前に倒れる”
”国王陛下御演説。必ずや、平和な時代にするとのお誓い”
まあ、案の定だ。こんなもんだろう。だが、この記事を書いた記者は、これが本心なのだろうか?そうではないことを祈りたい。とはいえ、新聞、雑誌の類は検閲を受けているはずなので、俺を擁護する記事を執筆しようものなら、すぐさま牢獄にぶちこまれてしまうだろうが。
俺は、新聞をもとあったテーブルの上に置き、外へ出た。まず、薬屋に行くべきだろう。回復魔法が使えるとはいっても、MPが尽きたら終わりだ。
この世界には、HPやMP、攻撃力、防御力、素早さ、魔法攻撃力、魔法防御力といった概念があり、人それぞれによって、その値は違う。ステータス魔法を使えばその値はだれでも自分の値を確認することはできるが、兵士や騎士、冒険者でもない限り、ステータスは極めて低い。なざなら、魔物と戦闘することがなく、レベルをあげる機会がないからだ。
MPは、魔法を使う力がどれくらいあるかということを表すものである。これは尽きたら、攻撃魔法はおろか、回復魔法も一切使うことができなくなる。なので、回復魔法の使えない、駆け出しの冒険者や一般人以外でも回復薬を常備しておくのは、大切なことなのだ。
俺は、薬屋の向かって歩き出した。人通りは昨日と変わらずそこそこある。えーと、薬屋はどこだったっけかな……。