第八話 宿
いろいろと立て込んでしまい、だいぶ更新が遅れてしまいました。本当にすみません。最後までお付き合い頂けると幸いです。
しばらく歩き続けると、宿屋が数軒見えてきた。冒険者や旅人風の身なりをした人たちが次々と入っていく。
俺は適当に、一番前の宿に入った。奥のカウンターにこの宿の主人らしき男が見える。50歳ぐらいの髭をたくわえた男だ。
「今日泊まりたいんだが」
「へえ、部屋は開いております。おひとり様で?」
「ああ、名前は……オルノー・スルームだ。」
俺は考えていた偽名を主人に告げた。
「はあ、スルーム様で……では、鍵を」
主人は怪しむ様子もなく、俺に部屋の鍵を渡してきた。
「二階の七号室です。どうぞごゆっくり」
俺は鍵を受け取り、二階へと上る階段へと向かった。木がキシキシと鳴る、螺旋状の階段を一歩一歩上り二階へ着いた。
「えーと、七号室はこっちか……」
俺は、二階の廊下を右へと向かう。七号室は、ここか。
鍵を差し込み開ける。ガチャッ、キーという音と共に扉が開く。
まあ、こんなものかという感じの質素な部屋だ。まあ、この王国では、豪華な宿など、王都やその周りの大都市ぐらいにしかないのだが。
ベットに飛び込み、寝転がる。英雄として称賛され、魔王を倒したのに、この有様……。酷いものだ。だが、どうしようもない。頑張らねば……復讐のために。