第五話 追憶
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俺は今、パーレスの町に向かって歩いている。ときどき、魔物が襲ってきたりしたが、魔王を倒した俺にとってそんなやつらの攻撃は全く無意味。すぐ斬り捨てた。そんななか、俺は思い出していた。俺がこの世界に呼び出された時のことを。
どういうふうにこの世界に来たのかは全く分からない。というのも、目が覚めたら城にいたからだ。俺が寝ている間にこの世界に召喚されたのだろう。高一のときだった。
「おお、そなたが勇者殿か。この世界を魔王から救ってくれまいか?頼む!」
家臣たちに連れられ、初めて顔を合わせたとき、王は、こんなことを言って俺に魔王討伐を頼んできた。しかし、今思えば俺のことなどだだの使い捨ての駒のようにしか考えていなかったのだろう。だが、その時の俺はあの王がそんなことを考えているとはつゆ知らず、英雄になれると大喜びで承諾したのだった。もし、いまから、あの時に戻れるならば、過去の俺を張り倒し、絶対に拒否させただろうが、いまとなってはそんなことはできない。
「勇者殿の仲間になりたいと申し出てきたものが三人おった。ぜひとも、連れて行ってくれまいか?」
「俺は、アラン・フェロー。よろしく頼む」
「僕は、トーマス・クラークス。一緒に冒険させてくれない?」
「私は、エミリア・クイン。勇者さんよろしく!」
俺が魔王を討伐を承諾すると、王はこう言って俺に、あの裏切り者どもを仲間として紹介したのだった。王自らが俺の仲間を紹介するというのも、今から考えると何か、おかしかったと思えるのだが、そのときは異世界に召喚され冒険に出発するという興奮でそこまで深く考える余裕はなく、
「うん、こちらこそよろしく頼むよ!」
と挨拶し返したのだった。
それからは、城で一泊した後、王から支度金を渡されて、あいつら三人と一緒に冒険に出たのだった。結局、俺は最初から嵌められていたのか……だが、王の家族や大臣たちはこのことを知っていたのだろうか?まあ、それはまず、復讐を果たした後、確認することにしよう。
四年の間、あいつらを仲間だと信じ冒険し続けていて、今まで気にしていられなかったが、俺のもといた世界……日本の友達はどうしているいるんだろう、俺はふと心配になった。たぶん俺は失踪扱いにでもなって
いるだろう。心配して探してくれているはずだ。俺を召還したとき、王は
「ススム殿が魔王を倒した暁には、ススム殿のもといた世界には帰れることになっておる。もちろん、こちらに残ってくれていたほうが、儂としてはうれしいのだが。ハハハ」
などとほざいていたが、俺を騙したあの屑王のことなど信用できない。嘘かもしれないが、俺は必ず生きて帰る。屑王、裏切り者どもを散々苦しめて地獄に落としてから。
俺は、回想をやめて、歩き続けた。パーレスの町への道はまだまだ続く。いろいろと考える暇はあるが、一刻も早く、復讐を成し遂げたい。俺は、改めてそう思った。