第四話 旅立ち
魔王城正門前、俺は物思いにふけっていた。これからどうするべきかを。もちろん、あいつらには復讐を、つまり、地獄に突き落としてやらねばならないのだが、いきなり、王都に乗り込んでも見つかって、王に口封じされるのがオチだろう。
「うーんまず、パーレスの町に行こう」
俺はつぶやく。パーレスは、この城から最も近い町だ。魔王討伐のために派遣された軍や冒険者の活動拠点として有名だったが、魔王軍の侵攻開始後、しばらくして占領されていたところを、俺たち……いや、あの裏切り者どもと俺が冒険の終盤、街を支配していた魔王の腹心の大将を倒し、救ってやった町だ。小さな町だが、装備を整えなおして、休憩するぐらいの施設は整っている。あいつらの手が回っているかもしれないが、幸い俺は、変装の魔法が使える。バレないはずだ。もし、バレたとしたら……あいつらと一緒に地獄にいってやろう。
俺の家族や友達は、異世界にいるから何も心配はいらないのだが、王都にいるこっちの友達のことは心配だ。俺の仲間のふりをしていた屑どもとは違う本当の友達。いや、もしかしてあいつらも……いや、そんなことはない。絶対にあの屑どもの騙されるようなやつらではない。しばらくしたら、様子を見に行かなければ。迫害を受けたり、牢獄にいれられないといいのだが。
俺は、パーレスの町に向かって歩き始めた。まだ、体は少し痛む。だが、俺は歩き続ける。あいつらを殺すまでは。