第三話 目覚め
読みやすさを重視して一話一話の文の量を少なくしています。
どれくらい意識を失っていたかわからないが俺は、目を覚ました。あれ、俺は死んだんじゃないのか? もしかして、ここは……天国? 俺は最初そう考えて、周りを見回してみた。だがそうではないことは、すぐにわかった。魔王が目の前に倒れている。ここは、魔王城だ。
「うーん」
思わず俺は呻いた。まだ少しフラフラする。なぜ、俺は助かったのだろう。俺は、不思議に思った。だが、少しして俺ははたと思い出した。そうだ、あのお守りのおかげに違いない。冒険の途中、魔物たちに襲われていた村を守ってあげたことがあった。すると、村に古来から伝わるというお守りをお礼に貰ったのだった。
「これは、持ち主の命を一度だけ、助けてくれるという伝承があります。是非とも世界を救う勇者様がおもちください」
村長がそう言っていたことを思い出した。伝承のことは信じていなかったが、模様も綺麗だったので持っていた。まさか本当のことだったとは。俺は信じられなかった。しかし、俺は助かったことが無性に嬉しかった。
あいつら……俺の信頼を裏切り、殺そうとした、かつての仲間。いや、今となってはだだの裏切り者、屑野郎だ。絶対に復讐してやる。殺してやる。ふざけるんじゃんない!!
ふと、お守りを探してみる。だが、どこにも見当たらない。もしかしたら、俺の身代わりとなって消えたのかもしれない。これは、神のお告げかもしれない、あいつらを殺せという。
俺は、立ち上がり歩き始めた。体は、あちこち傷ついているが、そんなことは構わない。早く、早く、一刻も早く……あいつらに地獄を味わわせてやるんだと。