第十話 エミリア邸
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「シャロイがもう突き止めたようだぜ。地図を持ってきてくれた」
待ちくたびれ、日まで暇で死にそうだった俺に、ようやく朗報が届いた。アランの武器屋に名探偵が訪れ、エミリアの家付近の地図を持ってきてくれたらしい。さすが、名探偵。殺人事件以外にも大活躍だ。
「これだ」
トムが地図を渡してくる。羊皮紙のような材質の丸まっている地図を開くと……エミリアの家付近の詳細な情報とそこへのおおまかな情報の書かれた地図だった。
ふうむ。住んでるところは、王都の大通りから少し離れた大豪邸。静かすぎもせず、うるさすぎもしない
いいところだな。まったく、ふざけている。
「どうする?今夜、斬り込むのか?」
トムが尋ねてくる。それは当たり前だ。あの屑女! 殺してやりゃなきゃ気が済まない。できるだけ早くに。
「もちろん、そうする」
「そうか……じゃあ、これをやるよ。役立ててくれ」
物置部屋からトムが剣と鎧を持ってきた。銅の剣と革鎧のようだ。
「俺が昔、使ってたやつだ。もう、俺は使わないだろうし、お前も武器が杖だけってのもすこし不安だろうしな!」
俺に剣と鎧を手渡し、笑うトム。
「ありがとう、トム。これで、あの屑女を叩き斬ってやる!」
俺も礼を言って、それらを受け取った。
それから、深夜になるまで待った。サンドイッチ(この世界での正式名称はサンドらしい)と茶をトムに御馳走してもらい、準備を整えると、俺は、出発した。
トムは自分も加勢しようと申し出てくれたが俺は断った。そこまで迷惑はかけられないし……裏切り者は自らの手で葬り去る。それが俺の考えだ。
光の魔法で地図を照らしながら見つつ、俺はエミリアの家へと急いだ。深夜なので大通りでも人通りはあまりない。だが、油断は禁物だ。一応、家を出る前に変装魔法を掛けておいた。
大通りを抜け、横道に入る。エミリアの家を……ようやく、見つけた。
家の周りには少しシャレた感じの喫茶店が一軒あるだけのようだ。しかも、夜なので閉まっている。
いやしかし、本当に大豪邸としか言いようがない。欧米の金持ちが住んでいるような家だ。これも……俺のおかげといっちゃあ、おかげなんだろうが、感謝される気には全くならない。
家へさっさと侵入しようと思い、目を向けたが……どうやら、警備兵がいるようだ。さすがに無防備というほど、馬鹿ではなかったみたいだな。
くさりかたびらを着て、眠そうに立っている二人の警備兵。どうやら、危機意識はそこまで無いようだな……
エミリアのことを殺すのは、全然ためらうつもりはない。だが、何の罪もない王城から派遣されたらしい兵士を殺すのは、さすがに忍びない。
そう考えた俺は、何食わぬ顔でエミリア邸へと歩き始めた。当然のことながら、警備兵が気付く。
「ん? おい、お前。こんな、夜更けに何を……」
二人が突然、倒れる。眠りの魔法で眠ってもらったのだ。しかも、ある程度の魔法使いなら使える、通常の眠りの魔法ではなく、より効果の強い、闇の眠りの魔法だ。これで、一日はここで寝ていることになる、いい夢を見てもらおう。
俺は入口の門の鍵を警備兵の一人から拝借すると、敷地内に凛然と闖入した。難解な言葉で装飾したくなるほど……爽快だ!
さあ、エミリア。待ってろよ! 今すぐ、俺が行くぜ!




