第八話 再会
茶を飲んでから、俺は夜になるまで待ちに待った。友達に会えると考えると、嬉しくもあるが同時に心配ではある。
太陽が沈み、夜になった。俺は変装魔法をかけて、トムの家を出た。酒場への道はなんとなくわかる。家の明かりを頼りに大通りのほうに歩いていくと、喧騒がまた戻ってきた。しばらく視線を巡らすと酒場が見えてきた。人は大勢はいっている。どこの町でもやはり酒場は大人気だ。
扉を開けて、カウンター席に座る。マスターにカクテルを注文し、まわりをゆっくりと見回す。屈強な体つきをした冒険者風の男、長身の旅人風の男……いろいろな人物がいるが……
どうやら、ロンはいないが……いた! いたいた! 優男風だが意志の強そうな瞳をしたあの男……確実にアンドリューだ。だが今、俺は変装している。このまま普通に話しかけてもわかってはもらえないだろうし、かといって変装魔法を解除したら王の密偵に気づかれるってことがないとも言い切れない。
そうだ、いいことを思いついた。
「あのー?」
「はい?」
アンドリューに話しかける。
「あなた……家族を養うために冒険者の仕事をしていらっしゃるんですよね、尊敬してました」
「ありがとうございます! ですが……失礼ですがとちらさまでしたか?」
こういう反応が返ってくるのは想定済みだ。そこで、俺は耳元で囁くようにして話し始める。
「私の名前は……ススム・オーノです」
「え?」
アンドリューの戸惑った反応、そりゃそうだろうな。
「変装魔法を掛けているんだ、事情があってな……これだけは伝えさせてくれ、俺は仲間を裏切ってなんかいない! 裏切られたほうなんだ」
アンドリューも小声で俺に返事をしてきた。
「俺はススムのこと、ずっと信じてたよ。何か手助けできることあるか?」
「いや、大丈夫。トムの協力が得られている、迷惑かけたくないんだ」
「そうか、気をつけろよ!」
俺はアンドリューから離れると、カクテルを飲み干して、代金をマスターに支払い、そっと店を出た。店内のほかの客の会話が耳に入る。
「やっと平和な世の中が訪れたよな! これも王様のおかげっていうもんよ!」
「そうだよな、昔から俺たち平民のことをよく考えてくださったし」
「それに比べて……あの勇者は……」
なんなんだ、好き勝手言いやがって。いい加減にしろよ……誰のおかげで平和になったと思ってんだよ!あの屑王一人で魔王を倒せたとでも思ってるのか?
俺は、怒りを心のうちにしまい、静かに店を出た。




