第二話 王都の欺瞞
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フランツ王国、ウィンデンブル城。
「よくやった。トーマスとその方ら」
「ははっ」
ここは、玉座の間。ススムを始末したとトーマス、エミリア、アランは王に報告していた。
家臣であるトーマスの表情は王の前だからか引き締まっているようだが、そうではないエミリアとアランは喜びの表情を隠しきれないようだった。
「ハハハ、仲間に裏切られるとは、あやつも思っていなかっただろうな」
体を揺らしながら、笑う王。しかし、その目は決して暗愚なそれではなく、鋭敏なものだった。
「はい、信じられないといった眼つきでございました。最後は、ようやく気付いたらしく、憎しみの目を向けていましたが、死人なぞ怖くはありませぬ」
トーマスが答える。
「しかし、そのほうらもよくやったな。エミリアとアランとやら。邪魔な輩を消してもらった礼にこれをやろう」
王は、金貨の入った袋を2つ投げる。エミリアとアランは袋のもとに駆け寄り、それを拾う。
「いや、もともと名声のためには、あいつは邪魔でしたから、大したことじゃありませんぜ」
「私もこんなにお金をもらえて、魔王を倒した英雄という称号も得られるなんて嬉しいです~」
「いや、それにしても、その方らご苦労であった。もう、帰ってよいぞ」
「へえ、じゃあ、それでは」 「では、私も失礼します」
玉座の間を出ていくアランとエミリア。それを見届け、トーマスは王に近づき、囁くようにして言った。
「陛下、あれでよろしいのですか?口封じいたしましょうか?」
「よいのだ、よいのだ。あやつらが何を話そうとも信じる奴なんておるまい」
王は、もう一度高らかに笑った。
「しかし、ススムがなぜ死んだか、どう民衆に説明しましょう?」
「なに、心配するな。名声を独り占めにしようと仲間に襲い掛かってきたので、やむを得ず、殺してしまったとでもいえばよかろう」
自分の王位を脅かす奴はもういなくなった。彼は、完全に安堵していた。
それから少し経って、王都の城前広場に高札が掲げられた。そこに、なんだなんだと続々群衆が集まる。
「なになに? 『逆賊ススム、名誉を独り占めせんと仲間を襲い、倒されたとのことなり』え? あの勇者様はそんなやつだったのか」
「仲間を襲うなんて最低な奴だな」
「仲間の方々も騙されてかわいそうな」
群衆は驚きや罵倒の言葉を発し、去っていく。するとまた、高札の周りに民衆が集まっていく。その様子をある男がみてほくそえんでいた。そう、トーマスである。
(簡単に騙されている、ふふ、杞憂だったようだな)
トーマスは、安心して自宅へと引き返し始めた。彼には、知る由もなかった。ススムがまだ生きていて、その復讐の矛先が彼に向いていることを。