第五話 王都
山賊どもを倒してから俺は、野宿をしながら王都へと急いだ。途中の街で休むことも出来たし、そっちのほうが体力的にはいいのだろう。だが、そんなことは俺にとって関係はない。ただただ、あいつらを地獄に突き落とす、それだけだ。
二週間も野草や果実を食い、川の水を飲みながら王都へ向かう。途中、旅人と会うこともあったが俺は変装魔法をかけている。だから、バレることもなかった。この魔法を解くのは、あいつらに復讐をするときだけに限る。
ようやく王都の入り口が見えてきた。まず、友達のところを訪ねよう。トム、まずはトムのところからだ。あいつの家は、王都の外れの一軒家。酒場で知り合った元冒険者の明るいやつだ。勇者という身分を明かすと一気に縮こまってしまう人もそれなりにいた。だが、あいつは違った。勇者と知った後も軽口を叩き、フレンドリーに接する。うざくもあったがそれがあいつのいいところである。今は、王都の商店街で武器屋をしているといっていたな。
今、最も心配しているのはあいつや他の友達が大変なな目にあわされていないかということだ。あの裏切り者どもがなにを企んでいるかわからない。口封じをしようと暗殺、投獄、追放などしようと、あるいはしていたとしても不思議ではない。もし、そんなことをしていたなら……もっと苦しんでいただけるように尽力せねばならない。
門を通り抜けると大通りだ。活気にあふれている。だが、こんなふうに平和に生きていけるのは俺のおかげでもあるはず。みんな、俺のことをどう思っているのだろうか?
冒険の始め、俺たちというのも虫唾が走るが、俺とあの裏切り者どもはここで経験を積んでいた。ここの周りは旅人や商人が往来するだけあって強い魔物は出てこない。もし、出てきたとしても軍総がかりでたおされる。だから、駆け出しの冒険者はこのあたりで経験を積んでから本格的な冒険に出発するのだ。
朝早くから夕暮れまで魔物と戦い続けて、街に戻ると、宿屋のロビーや酒場にはいろいろな人がいた。そこで俺はいろいろな人と友達になった。家族を養うために危険を冒して金を稼げるクエストばかりこなす冒険者のアンドリュー、最強を目指す剣士、ロン。トムもそのなかの一人だった。それなりに名の知れた冒険者だったが親の営んでいる武器屋を継いで、冒険者を止めたという親孝行なやつ。
俺はそんなことを考えながら、トムの家へ向かい始めた。一回遊びに行ったことがあるから道は分かる。どうしているんだろうな、あいつ?無事でいてくれよ……




