第四話 現実
そういう夢を見た。そう、ああいうふうにあいつらを無邪気に信じていた結果がこの有様だ。まったく、ふざけている。
アランを始末してから、俺は何食わぬ顔で自分の部屋に戻り、そして宿の中が大騒ぎになっても平然と朝食を食ってチェックアウトした。
そして俺は今、王都へ向かっている。トーマスとエミリアそして国王もほぼ確実に王都にいるはずだ。そして必ずや殺してやる。
物思いにふけりながら、王都へと向かう山道を歩いてくると突然声が聞こえた。
「おい、にいちゃん……死にたくなかったら持ってるもの全部よこしな」
「俺は価値あるものなんて持ってない。あるのは、復讐心だけだ」
「は?なにいってんだ、おめえ?さっさともってるもんよこせや!」
出るとは聞いていたが本当に山賊が襲ってきた。人数は三人か。ふところの杖を取り出し、呪文を唱える。
「炎よ、現れよ!」
杖の先から飛び出した炎が襲い掛かってきた山賊に命中する。
「あちいい!あちっ!」
山賊が悲鳴を上げる。
「おい、貴様!死ねえ!」
仲間の様子に動揺したのか残りの山賊二人も襲い掛かってくる。
「大火!」
俺はもう一度呪文を唱える。この呪文はさっきの呪文の上位互換バージョンだ。安心しろ、焼け死ぬことはない。
「ギャア!」
またもや悲鳴を上げて倒れ悶える山賊連中。いい機会だ、こいつらに名前を知っておいてもらおう。
「覚えておけよ……俺は、ススム・オーノてえんだ」
いまだにもだえ苦しんでいる山賊をしりめに王都へと歩き始めた。この、大火っていう呪文……いろいろと使い道がありそうだ。




