第二話 調査の手
王との密談の後、トーマスはパーレスの町へ駆けていた。馬に乗れば、だいたい一週間で着く。
町へ到着すると彼はすぐにアランが宿泊しそして死に至った宿屋へすぐ行った。
トーマスの姿を見ると宿屋の亭主がすぐに近づいてきた。
「お待ちしておりました。国王陛下からのお使いの方で?」
「ああ、そうだ」
「ここではなんですから……奥へどうぞ」
亭主に案内され奥の応接間に入るトーマス。
「どうぞ、この席へ」
椅子に座るとトーマスはさっそく本題を切り出した。
「さっそくだが……アランがこの宿に泊まった時、なにか不審な点はなかったか?」
「はあ、アラン様がこちらに泊まった時は、偽名をお使いになっていました」
「偽名?」
「はい、イルノー・ヘイロンとおっしゃっていました」
「なるほど……」
偽名を使っていたのはお忍びの旅でもしたかったからだろう。特に気になることではない。
「他にはなにかないか?」
「はあ、特に後はなにも……」
「そうか……夜中にアランは殺されたらしい。物音はしなかったのか?」
「はあ、なにぶん部屋が離れているもので……お供の方も長旅で熟睡していたそうで……なにも聞こえませんでした」
「ううむ」
「ただ……」
「ただ?」
「二階に泊まっていたお客様から夜中にドアを何回もたたく音と口論らしき声が聞こえたとの話がありました、しかし、夜のことで記憶も曖昧だと……」
「なるほど、分かった。すまなかったな、忙しいところに」
「いえ、お勤めご苦労様です」
席を立ちトーマスは外へ出た。
「この一件、誰の仕業だ? やはり、アランに恨みを持つ者の復讐?ススム……まさか、まさか。あいつは俺達が葬った。亡霊でもない限り無理だ」
トーマスが小声で呟いた。




