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第一話 焦り
「なに? アランが死におっただと?」
「ハッ! 確実な情報であります」
二人の他には誰もいない玉座の間で話す王とアラン。あらかじめ人払いはしてあるのだ。
「しかもただ死んだわけではなく……苦痛に顔を歪めていたようです」
王は、少し表情を変えた。彼の心にわずかながら疑問が浮かぶ。
「まさか、まさかな……」
「陛下、ご安心を。ススムは私どもが確実に始末しました。もともと性格の荒い者、誰かから恨みをかって殺されたのに違いありませぬ」
トーマスがすかさず言葉を挟む。彼らからすればそうとしか思えないのだから。
「だと、よいのだがな。しかし、どういう状況で発見されたのだ?」
「ハッ! 朝食の時間になっても現れないのを不審に思った供の者が部屋を訪れると鍵が開いており、中に苦悶の表情を浮かべたアランが倒れていたようです」
「ううむ、一応、ススムが確実に死んでいるか調べておくのだ」
「ハッ! 承知いたしました」
一礼して出ていくトーマス。その後姿を眺めながら王は、少し焦っていた。
なぜ、アランが?……まあ、死んでくれて結果的には口封じにはなったが……ススムが生きている?いいや、絶対にそんなことはありえない。ありえるはずがない。




