第十四話 一人目
「お、お前は……ススム! い、いや。そんな馬鹿な!お前は、この俺が……」
「殺したはずってか? 俺は、生きてるよ……この通り。お前らを殺すために、な」
アランの顔が引きつっている。
「ま、待て。お、俺はやりたくて、や、やったわけじゃないんだ!」
後ずさりしながら、弁明しようとするアラン。
「言い訳はたくさんだ……早く、地獄に落ちろ」
「は、話を聞いてくれ! あ、あれの首謀者は、こ、国王なんだ。俺は、脅されて仕方がなくやっただけなんだ!」
「それは……本当か?」
「あ、ああ。あ、あの王が……お前を殺さないと、一緒に殺すぞって……ほ、本当だって。許してくれよ!」
必死の表情で、命乞いをするアラン。だが、それが本当でも……許せるとでも思っているのだろうか?
無言で杖を取り出す俺。
「ス、ススム。な、なにを?」
さらに後ずさりをするアラン。
「分からないのか? ただ、お前に復讐するだけだよ……」
杖をアランに向け、魔法を唱えようと一瞬、気を緩ませた瞬間……
「ノロイんだよ、お前はあああ!死ねや!」
アランが背後にあった剣の鞘を手に取り、俺に斬りかかってきた。このままだと、確実に俺は死ぬだろう。斬られればの話なんだけどな。
斬撃を素早くかわす。さっきから、妙に後ずさりをしていたので、大方こんなことだろうと、警戒していたのだ。やっぱり卑怯だな、この裏切り者……
俺は、すぐさま魔法を唱える。すると、アランが苦しみだした。
「ギ、ギャアアア! お、お前。なにをしたんだあああああ!?」
「串刺しの呪文だよ。俺がこの魔法を解かないと……お前は死ぬ」
串刺しの呪文……かつては、罪人の処刑に使われたらしい。体を串刺しにされたような痛みが全身に走り、唱えたものが魔法を解かなければ、やがて受けたものは、悶え、苦しみ、断末魔を上げ、やがて死ぬ。
この魔法を使えるようになったのは、魔王を倒す冒険の最後のほうだった。だが、即効性があるわけでもなく残虐な魔法だったので、俺は使う気にもならなかった。だが、こんなところで役に立つとはな……
「た、助けてくれええ! やめてくれ!」
「やめたら、また斬りかかってくるんだろう?」
冷たく答える。
「も、もう、そんなことしない。だ、だから、ああ、痛い、痛いいい!」
「分かった。じゃあ、解除してやろう」
「あ、ありがとう!」
俺は、杖に手をかける。そして、杖をアランに向ける。
「魔法解除! とでも、してくれると思ったのか?」
俺は、杖をもう一度しまい、アランを蹴り飛ばす。
「そ、そんなあああああ!!!!!」
「地獄でそのまま叫んでな」
俺は、悶えるアランをそのままにして、部屋から去った。供の者はだれも駆け付けてこない。供の意味があるのだろうか。ハハハハハッ!これでやっと一人目だ。安心しろ、アラン。そのうち友達もそっちに行くさ!
朝、九時。アランのいる貴賓室の扉の前に、供達が集まっていた。
「アラン様! アラン様! 朝食のお時間です!」
ドアの前で呼びかけてみるが、返答はない。不審に思い、ドアを叩いてみる。
「アラン様! アラン様! 大丈夫ですか?」
もう一度呼びかけてみるが、それでも応答はない。試しに、ドアノブを手をかけてみると……開いた。
ゆっくりと部屋の中に入る。
「ひ、ひいいいい。ア、アラン様!」
すると先頭にいた、供の一人が悲鳴を上げた。彼の目に映っていたもの……それは、苦痛に顔をゆがめたまま息絶えていたアランだった。
突然ですがここで一区切りとして、第一章完ということにしたいと思います。第二章も一週間、遅くとも二週間以内に投稿したいと思います。これからもお読みいただけると嬉しいです。ここまでの感想もいただけると励みになります。




