第十三話 決行
「そうでございますな」
供の者たちもあいづちをうっている。別荘だと……? 人を裏切り、自分だけ……。殺す、殺してやる。
アランとその供たちが俺の横を通り抜ける。人数は計四人のようだ。俺のことには全く気付いていない。どうやら、この町を悠長に散策するつもりらしい。
俺は、遠巻きに後をつけ始めた。ここで逃して、どこでやるというんだ?結局、アランと供の一行は、町を適当にうろつき続けたまま夕方となった。すると、アランと供の一行は宿屋街へと向かい始めた!これこそ、天の助けというやつだ。
気づかれないようにとひっそりと尾行を続けると、アランと供の一行は、俺のたまっていた宿の隣の宿へと入っていた。見た限り、一番豪華そうな宿だ。だからだろう。
俺もその少し後に宿に入る。アラン達は、カウンターで主人と話しているようだ。
「おい、主人!この宿で一番いい部屋はどこなんだ?」
「は、はい。五階の貴賓室でございます」
「そうか、じゃあそこに俺。こいつらも五階の部屋に泊めるんだ」
「は、はい。承知いたしました。その、お名前は?」
「名前?イルノー・ヘイロンだ」
どうやら、お忍びらしい。供たちも次々と名前を告げていく。
供の奴らが五階に泊まるのは、少し不都合だが、まあ、いい。見たことのない奴らだが大方、アランが俺を裏切って、王都に帰った後、雇った奴らだろう。
アラン達が鍵を受け取り、去って行ったあと、俺もカウンターに行った。
「オルノー・スルームという。部屋は開いてるか?」
「はい、おひとり様で?」
「ああ」
「それでは……三階の十五号室へどうぞ」
俺も鍵を受け取り、三階へと向かった。
部屋に入り、心を落ち着ける。こんなにも早く復讐を決行できるとは……。俺は、嬉しくてたまらなかった。
しばらくして、夕食を食べるために食堂へと向かったが、アラン達の姿は見えない。まあいい、最後の晩餐が食べられないのは、かわいそうだが。
早々に夕食を切り上げ、部屋に戻った俺は、深夜になるのを待った。一秒一秒がとてつもなく長く感じたが、ついに時は来た。
俺は、忍び足で五階へと上った。五階はシーンとしていて、物音ひとつしない。
ランプの光を頼りに、貴賓室を探すと、すぐに見つかった。周りの部屋と比べて明らかにドアの大きさが違うのだ。”貴賓室”とドアにも書いてある。間違いない、奴はここだ。
俺はドアをめちゃめちゃに叩いた。しばらく叩き続けていると、ついにドアが開いた。
「誰だ、こんな夜中に……ぶっ殺すぞ!」
寝ぼけ眼で、卑怯な裏切り者、アランが姿を見せる。
「夜中にすまなかったな……俺だよ」




