第十一話 告白
お気付きの方も多いと思いますが、第四話を第二話に統合して、タイトルも王都の欺瞞に変更しました。いくらなんでも、あれは少なすぎだろうと思ったからです。いかがでしょうか。
「まだ自己紹介をしていませんでしたね! 私は、ジャンヌ・フォリエルといいます!」
薬屋へ向かう途中、俺はこう、話しかけられた。そういえば俺もまだ、自己紹介をしていなかったな。ここで、本名を打ち明けるってのもさすがにまだ早そうだし……
「俺は、オルノー・スルームっていうんだ」
また、偽名を言った。この偽名ってどうなんだろうな。まあ、急ぎで考えたもんだから仕方がないんだけど。
「へえ、オルノーさんっていうんですか!」
ジャンヌは、疑うこともなく、信じているようだ。
そうこうしていると。薬屋の前に着いた。店構えは、この町のなかでは、なかなかのものだ。
「狭い店ですけど……家への入り口はこっちです。ついてきてください!」
「ええ?いいの?」
「オルノーさんは恩人ですから。ささ、こっちへどうぞ!」
店の中を通り抜け、カウンターの奥の扉を開けると、二階へと上る階段が見えた。
「私達は、上に住んでいるんです」
「私達?」
「母と一緒に住んでいるんです。父が亡くなってしまって……私と母でここを切り盛りしているんです」
彼女はこういうと、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
二階に上がると、扉がまた見えた。ジャンヌが空けると、そこは、まあまあの広さのリビングルームだった。すると、奥の部屋からか、女性の声がした。
「ジャンヌー? 帰ってきたの?」
「うん、ただいま。お母さん」
奥から声の主が現れた。第一印象は……ジャンヌに似ているなあという感じだ。でも、ジャンヌより、少し勝気な雰囲気がした。
「あら? そちらの方は?」
「こちらは、スルームさんっていうの。私が困っていたところを助けてもらっって……」
「へえ、そうなの。この度は、娘がお世話になりまして……」
「いやいや、当然のことをしたまでですよ」
またもやお礼をされてしまった。なんとなく、照れるな。
「いま、お茶を入れますので、少しそこに座って待っていてくださいね」
そういってジャンヌのお母さんは、奥の台所のほうへ消えていった。
俺とジャンヌはテーブルの前のソファーに座った。
「スルームさんは、お仕事、なにされてるんですか?」
「俺は……冒険者をしているんだ」
「へえ、冒険者ですか……最近、魔王が倒されて、魔物もあまりでなくなりましたね」
やはりそれぐらいの情報はとっくに伝わっているか……。ここで一つ探りを入れてみよう。
「その魔王を倒した勇者様が、実はただの反逆者だったとか聞いたんだけど……」
ここで、ジャンヌのお母さんがお茶を運んできた。
「お待たせしてしまいました。どうぞ、私は奥に行っていますので、ふたりでごゆっくり……」
「ありがとうこざいます」
戻るとき、少しニヤけていた気がする。
「そうそう、その話なんだけど……」
「はい、そうらしいです。でも私にはどうにも信じられないんです」
「ええ?どうして?」
「はい、実は勇者様たちが、魔王軍からこの町を取り戻してくれたんです。そのとき、勇者様の姿を見たんですけど……必死に戦っていて……仲間の方を裏切るような人には見えなかったんです!」
俺、つまり、大野進をどうやら信じてくれているらしい……一か八か、打ち明けてみるか。でも俺は、心の底から信頼していた、仲間だと思っていたやつらに裏切られた……。でも、この子はきっと違う。もう一度人を信じてみよう。
「実は、俺がその勇者、ススム・オーノなんだ」




