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ひとときの幸せ……エッチな人は純粋無垢

おはようございます。

楽しんでいただけましたら嬉しいです。

     ◆

「あーちゃん大好きーっ」


開口一番! その声は喜びに満ち溢れていた。


僕が知っている一番穏やかな顔がぷにゅっと胸もとにひっついてくる。


姉貴は頭を突き出して『愛でろ』と催促してくるので僕の姉貴の艶やかな髪をすくうように良い子良い子すると僕の手の感触を確かめながら姉貴は頬を真っ赤にしてとっても上機嫌。


「姉貴、逢いたかったよ」


「うん! うちもあーちゃんに逢いたかったーっ、いっぱいいっぱい逢いたかったぞーっ!」

僕の口調は優しく暖色があふれていた。


そのやりとりを優しい眼差しで見ているひなたもゆーなもとびっきりの笑顔だ。


僕に素直に甘える姉貴、うっそりしながらも巨乳のひなた、大人なちびっ子ゆーな。


みんな家族。


大切な絆で繋がった家族。


姉貴の腰まわりを小さく抱きしめた僕。


姉貴は「ふあぁぁ」となにか言いきれない甘い吐息をもらし、耳まで真っ赤にして潤んだ瞳で上目遣い。


その温かい眼差しに僕は恥ずかしくなってニコっと笑った。


僕のその行動は姉貴への好意のあらわれだ。


ライクではなくラブ、姉弟ラブ。


禁断のシスコンの世界。


雪のように白く、青磁のように滑らかな姉貴の柔肌で感嘆の声が溢れるほど抱きしめられると心拍が破裂しそうなほど暴れ馬となる。


「……ううっ、みせつけすぎです……姉弟愛というよりも恋人。にぁ~~んといった感じ」


「もう、見せつけてぇぇぇ。姉貴さんもお兄ちゃんもぉぉぉ。ぷんぷん」


 ひなたとゆーなは顔を見合わせるとコクリと頷くとジト目で僕と姉貴を見つめていた。


――ふぁーっ、とっても幸せだぁーっ!――


姉貴もおっとりと首をかしげながら怪訝そうに僕を見る。


 姉貴の場合は超美人による小動物のような仕草あたりが過保護欲を刺激するのだが。


ところでここは仮設住宅の一棟。


姉貴たちの新しい住処である。


行政が災害救援法に基づき各コロニーの避難民に区画ごとに建設・貸与する

プレハブ工法によるユニットタイプ。


室内は台所と六畳・四畳半の二部屋。


思ったよりも劣悪な環境じゃなくて良かった。


「ぷぷぷ――っ。あーちゃん、魔女っ娘アニメうつらないよ」


 のどかだ。


世界が滅びそうなのにのどかな主張だ。


美しい黒髪をパサパサはためかせて六畳間のゴミ収集センターからゆーなが

拾ってきた旧箱型テレビをビシッと指差して必死に訴える姉貴。


それは無論、テレビが壊れて映らないわけではない。


そして魔女っ娘アニメが映らないのではなく『空船』の緊急放送を繰り返し流れているためだ。


「姉貴……僕とアニメとどっちが好き?」


僕は小声ながらもはっきりとした口調で姉貴に囁く。


姉貴はむむむっと困った顔。


弟は寂しいです……そこは即答なのでは……。


しゅんとした僕に『どうしたのあーちゃん』といった様子で僕の右腕を掴むとムニュと柔らかい二つのおっぱいの感触と体温が伝播させるようにギューッと抱きついてくる。


「め――っ、あーちゃん」


不毛な言い争いなどおこることもなくマイペースで一方的に僕は姉貴に注意される。


「そんなのきくのめーなの! あーちゃんはうちの宝物。好き好き好き、だぁぁぁぁい好きなの」


 僕は自覚している姉貴の想いを改めて認識した。


理性で抑えていた気持ちが姉貴の体温に侵食されてタガが外れる。


前向姿勢で僕のくちびるが夢中に姉貴の頬と首筋に吸いついた。  


灼熱的な僕の想いを姉貴のたまのような柔肌に刻んでしまう。


「もう、くすぐったいのぉ。あーちゃんからうちにごほーびのチュー」


 姉貴の嬉しそうな言葉に僕は自我を取り戻す。


僕は高鳴る鼓動と高ぶった精神を押さえ込みながらお互いの身体を剥離させる。


名残惜しそうな姉貴だが無邪気な姉貴に僕の黒い欲情をぶつけることはしたくない。


それは強い絆で結びついているほど臆病になってしまう。


「はいはーい。お兄ちゃんたらあたしたちの前でHなことは反対でーす。そんなにしたいのならあたしがいっぱいしてあげるよ。つるつる無毛プレイにハマっちゃうかも。あたしがしてあげたいと想う人はお兄ちゃんだけだよーっ」


 ゆーなは片手で挙手しながらちゃぶ台に牛さん印のマグカップをコトンっと置くと僕の顔を見上げる。大好きな僕が戻ってきたので上機嫌なのだろう。


てへへっと姉貴に負けないほどの無邪気な笑みを浮かべる。


短いながらも共同生活を続けていれば家族の絆も芽生える。


少しばかり過激だが嬉しい。


「……だめです。先生はつるぺた星人より巨乳……そう、わたしのようなメロン的おっぱいが好きなの。泳ぐカルピスをわたしのような薄幸の美少女を奴隷のごとく縛っておっぱいを揉みしだきながらぶっかける……そんな趣味の人なの」

 

 ――そんな趣味は持ち合わせてないぞーっ!――


いかにも物知りのような口調。


台所から姿をあらわしたひなたは僕に目配せを送るとおぼんに乗せていた湯呑をちゃぶ台に並べる。


ほんわりと湯気があがるとカカオの甘い香り。


「カ、カルピスプレイ……お兄ちゃんは、そ、そんな、甘ったるくてカピカピになるお金のかかるプレイが好きなの」

 

 ――コラーッ、ひなたの突飛なセリフを疑いもなく信じるなーっ!――


ガガガーンと激ショックを受けるゆーな、とっても憤りがにじむ声だ。


ひなたの戯言をどんな角度から理解すれば信じられるのだろうか!?


驚愕したゆーなはじーっと僕を見る。


当然ながらジト目が全開だ。


姉貴はお気に入りのヒョットコお面型のマグカップにひなたが入れたココア

を「ハフハフっ」飲みながらぽやーんと心までぽっかぽかに。


「こらっ、ひなた、僕はノーマルだ。そんな変態鬼畜すぎる奴隷プレイ&カルピスぶっかけなんていうな。乳酸菌が可愛そうだろ」


 僕の傍らに足がある幽霊みたいに飄々と漂っているようなひなたに僕は一喝するが、ひなたはゴロゴロと喉を鳴らしてうっそりと微笑む。

なんだかその表情はむらむらと欲情が沸き起こっている発情期のメス猫のようで怖い。


「あーちゃん、ココアおいしーよー」


 不埒な煩悩を言い合う二人に口の周りにいっぱいココアの跡をつけた姉貴は純粋無垢で可愛すぎて僕がときめいてしまう。


 僕はぼんやりと天井を眺めた。


見慣れない天井。


ここではじまる新しい生活。


緊張感が崩れてじんわりとあったかい気持ちが胸に浸透していく守るべき僕の居場所。


 僕は三人が再び機嫌が悪くならないようにぺろっと舌をだして微笑んだ。



いかがでしたか?

もう終盤戦になります。

最後までお付き合いいただきましたら嬉しいです(☆∀☆)

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