始めての食事
私の名前は南条明日香、今高校二年生。一切染めたことのない真っ黒な黒髪に少し明るめの焦げ茶の瞳。趣味は、お菓子作り、ティディベア大好き甘いもの大好きな背がちょっと低いのがコンプレックスな普通の女の子。
……すいません嘘つきました。
普通ではありません。普通ではなくなってしまったのです。ハーフサキュバスなるものになってしまったのです。ある事故にあってしまって死にかけたとき、事故をおこす原因になった彼女が実はサキュバスだったとかいう迷惑な話。私は、人間だったので、半分残っているそうでだから、ハーフサキュバス。
まだ、人間としての誇りもあったりしますが、今はかなりやばいです。サキュバスとしての行動をとってしまいそうです。サキュバス貴方は知ってますか。そうです、そのサキュバスです。
後、こんな少女漫画した自己紹介をするようなモノでもありませんとだけ言っときます。
あら、意外でしたか。それは、イメージを崩してしまいごめんなさい。
今は、半分くらい意識を持ってかれそうなので勝手に、言葉が口から溢れてしまうのです。
閉じればいい?……ですか、そうできればいいのですがね、行動も段々と制限されているようでして。ほら、私の顔が、背にあったような顔、ようは幼いのですよ。たまに、小学生といえ、中学生と間違えられたりします。それは、少々わたし的にはなんとも言い難いのですが、オマケ貰えたりしますからね……それでもやっぱりコンプレックスでしょうね。
コンプレックスなのは、貴方のように背が異常に高い人がいるからだとも思うのですがね。
これに関しては、誰のせいでもありませんからね。仕方ないです。
話が脱線しました。いえ、必要な事ではあるのですよ、男を落とすには素材にあった行動をすることが必要だと彼女は言っていました。
私がしないから、体が勝手にやるのだと。
全く持って、迷惑な話ですね。あのまま、殺してといて貰った方が何倍良かったか今そう思います。
やっぱり、死ぬのは怖いですので良かったのでしょうか。失ったものは大きいと思うのですがね、では貴方に聞いてみましょうか。
「ハーフサキュバスは好みでしょうか」
これでもかとにこりと私にとっては天敵ともいえるクラス1背の高い蜜月翔に問いかけた。
「はい……えっ」
おい、はっきりせんか。お預け状態で精神を保つのが大変何ですよ。
「なんか、すみません。あのどうしてこうなったのでしょうか、降りてもらえませんか」
降りれれば、どんなに良いのか。でも、体が動かないんだよね、そして、そろそろ限界。
「あ、もうだめだ」
「はっ」
「ごめんなさい、そして頂きます」
目の前にいる、この男のネクタイを引っ張り無理やり顔を持ち上げる。上半身に私が乗ってるからか下手に暴れない。そんなの、この一年で知ってる。彼は優しくてヘタレだから、振り落とすような事をして私を傷つけたりしない。こんな無理やりな状態でも。だから、私は彼を選んだろうか、どっちにしても迷惑だな。そして、最低だ。
「あの、南條さん」
私の意志では、もう体を動かせない。だから、無視ではないんです。本当に……ごめんなさい。
彼の持ち上げた頭をしっかり持ってその唇に私は近づいた。
そして、彼女がやったように舌をねじ込んだ。逃げようとする彼の舌をしっかり捕まえ絡め合わせる。
ほんの少し、彼の頬が赤くなっているのがわかる。ああ、人ごとのように言ってるが、私もかなり恥ずかしいのである。その証拠に、体中が熱くて溶けてしまいそうなのだ。
それと同時に、彼の生気が流れ込んでくる。久しぶりに感じる満足感、もっともっととせっつく私の中の私を必死に押さえ込んで舌を、そして唇を離した。
糸を引いたそれを名残惜しく思うのと、小さな罪悪感に襲われる。
「ごめんなさい」
立ち去りたかった。恥ずかしかった。しかし……。
暫く、惚けていた彼はその言葉で目が覚めたという感じで私の腕を強く握ったために出来なかった。
泣いてはだめだ、被害者は彼なのだから……。
「どうして、こうなったのかもっと詳しく教えてくれない」
生気を吸ったからか、青ざめている彼にそう言われては話すしかないのだろう。
「長くなるけどいい」
「勿論」
「あれは……五月のことだったの」
作者も主人公も瀕死、やっぱり短い