恋人?いいえ幼なじみです
side康也
朝方に引っ越し屋さんがやってきて後のことを頼むと俺は大学に向かった
「こうちゃーん!!」
アパートから大学までは徒歩10分で着く距離だ。行くときに渡る信号機が赤で止まってると背後から聞き慣れたあだ名で呼ばれ振り返ると
「こんな所で会うなんて奇遇だね!!」
白髪で明るい紫色の目をした俺の幼なじみ……早野 咲がいた
「奇遇って…一緒の大学なんだから会うなんて珍しくないだろ」
咲とは幼稚園からの付き合いで中学や高校の時も仲違いせずに仲良くいた。その時、悪友に「お前、凄いな。幼なじみって長い時間、一緒にいるからウザく感じるんだがな」って言われた。実際の所、咲をウザく感じたことは一度も無い。
ん?理由か?それはだな……咲は吃驚するほど可愛くて男の好きな場所は凄く大きい。どこだって?…解ってるだろ?
「そうだったねぇ。またこうちゃんと一緒だと思うと凄く嬉しいよ!!一緒のクラスだと良いね!!!」
明るい笑みを浮かべて俺に言ってきた。おい…咲よ。周りを見てみろ、お前の笑みで顔を赤らめて鼻から赤いモノを出している男子がいるから…だからその笑みは控えろ。何時か某アニメの様に赤い海が出来上がる可能性があるから……
「どうかしたの?こうちゃん」
首を可愛らしく傾げる咲に周りにいる男子の鼻から大量の赤いモノが噴き出した
「あ…いや何でもない。それより、一緒のクラスだと良いな」
とりあえず見なかった事にして先ほど咲が言った言葉に答える
「ねぇ!!こうちゃんもそう思うよね!!!」
何が嬉しいのかは解らないが咲は満面の笑みを浮かべて俺の数歩先を歩く。俺はまた赤いモノを噴き出した男達を見てため息を吐いてから咲のあとを追う様に歩く
今日の授業がすべて終わり家に帰るためにカバンに荷物を入れてから教室から出る。
「こうちゃん!!一緒に帰ろ!!!」
廊下を歩いていると朝と同じ様に背後から声が聞こえ振り返ると、やはり咲がいた
「まぁ良いが」
俺の言葉を聞くと俺の隣まで走ってきて一緒に歩く。家路を歩く中、特に話す事もないため黙って歩く。チラッと咲を見ると目が合った。咲は笑みを浮かべて俺を見る
「あ~…なぁ咲
お前ってたしか親戚の家から大学に通ってるんだったよな」
俺は気になった事を咲に訪ねてみた
「うん!!そうだよ!!!偶々、林叔父さんの家が大学に近かったから頼んでみたら歓迎されたんだ!!!」
まぁ咲みたいな子なら歓迎だろうな。それに昔、林叔父さんに会った事があったが、あの人と叔母さんは優しい人だと覚えていた。たしか叔母さんが子供出来ない体らしく咲と友達の俺等を可愛がっていてくれたしな
「良かったな。咲」
俺は優しい感情になり多分、笑みを浮かべてるであろ顔を先に向けながら言うと、咲も満面の笑みを浮かべ
「うん!!」
答えてくれた。夕焼けが咲を照らしまるで1つの絵のようで俺は暫く、その場に固まってしまったが咲が歩き出したのと同時に意識を取り戻し俺も歩き出した。だけど何故か咲の顔は赤かった。……まぁ夕焼けのせいだろ
side咲
今日は良い日だろう。朝に幼なじみであり特別な思いを寄せてる男性……こうちゃんと出会い今も一緒に帰ってる。でも今日はそれだけじゃない。こうちゃんが私の家の事を訪ねてきたから答えると見惚れる程に格好いい笑みを浮かべて「良かったな」って言ってくれたから嬉しくなって頬を緩めて答えるとこうちゃんは固まった
「?こうちゃ「綺麗だ……」っ……!!」
こうちゃんに話しかけようとするとこうちゃんの口からそう聞こえた。私じゃ無いかも知れないけど心臓が五月蝿く鳴り顔が赤くなる事が解り、こんな顔を、こうちゃんに見せたく無いから歩き出すと、こうちゃんも後から歩いてきた。
この心臓の音は家に帰った後も五月蝿く鳴っていた