二人の未来
授業が終わり放課後になると、ロゼールは一目散に教室を飛び出し、ノエルの教室へと向かった。
ロゼールが教室の入り口から声を掛けると、ノエルは驚いたように振り向き慌てた様子で出てきて言った。
「どうしたんだ?」
「少しお話する時間はありますか?ダンスのことと、それから…別の話も」
「あ、ああ…大丈夫だ。僕もちょうどロゼールと話がしたかった。静かに話せる場所へと移動しよう」
いい場所があると言って、ノエルは図書館の裏手にある小さな庭へと案内をした。
「図書館の裏にこんな空間があったんですね…!知らなかった…」
「何だか落ち着くだろう?僕の秘密の場所なんだ。
誰にも邪魔されず、のんびり過ごしたい時によくここへ来る」
「そうだったんですね…それなら人に教えちゃダメじゃないですか」
「ロゼールだから教えたんだ」
「えっ…それ…は………あ、ありがとうございます」
ノエルの言葉の意図が気になって仕方がなかったが、まずは自分の気持ちを伝えてからじゃないと言うタイミングを逃しそうで、ロゼールは聞くのをやめた。
二人でベンチに腰をかけると、ロゼールが話を切り出した。
「あの…ダンスのパートナーを務める話ですが……私、」
「…っ待ってくれ!答えを聞く前に、僕から先に話をしてもいいだろうか?」
「……?では…お先にどうぞ…?」
勇気を振り絞って話し始めようとしたところを止められたロゼールは、少し戸惑いながらもノエルが話し出すのを静かに待った。
ノエルは立ち上がって一息整えるとロゼールの前で跪き、真剣な表情で見上げて言った。
「本当は…ダンスのパートナーになって欲しいだけじゃないんだ。
僕はロゼールのことが好きだ。
特別な存在として、ずっと隣にいて欲しい。
僕の婚約者になってくれないか?」
「…っ…私も、ノエル様のことが好きです…!
実は先程、そう伝えようとしていました。
先のことは分からないけれど、この気持ちだけはいま伝えておきたい…そう思ったんです。
私でよければ、ノエル様のお側に居させてください」
「同じ気持ちでいてくれることが、こんなにも嬉しいとはな…
レオナルドからも婚約者になってほしいと言われていたんだろう?」
「……?いえ、それは私じゃなくてカリーヌですよ」
「!?そうだったのか…アイツめ。……安心した」
緊張が解けたのか、ノエルがホッとしたように自分の膝に顔を埋めて呟いた。
ロゼールは隣にしゃがみ込むと、そのノエルの頭を愛おしそうに撫でながら言った。
「勇気を出して想いを伝えてくださり、ありがとうございます。…ふふっ……すみません、ちょっとだけ可愛く思ってしまいました」
ロゼールが嬉しそうに笑いながら頭を撫でていると、ノエルが少しむくれた表情で腕を掴んで引き寄せ、ロゼールを抱きしめた。
「っ…うふぇ!?」
「…可愛いじゃ嫌だ」
「ふ…ふふふっ…やっぱり可愛いです」
◇◇◇◇◇
三年後…
「ロゼール、行こうか」
「はい、ノエル様」
二人は互いを確認するように見つめ合い、幸せそうな笑みを浮かべるとノエルのエスコートで歩き出した。
ロゼールとノエルが入場すると、会場中が祝福の声に包まれた。
「今ここにノエル・リヴィエとロゼール・ディディエの婚姻が成立したことを宣言する!」
国王の声に合わせて拍手喝采が起こり、二人は暖かく見守られながら生涯を共にする誓いの日を迎えた。
fin.
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ドキドキしながら初めて投稿した作品でしたが、皆さんからの反応をいただけることがとても嬉しく、ここまで続けてこられました。
本編はこれにて完結となりますが、書きたかったけれど省いてしまった小ネタなどは番外編としてもう少し投稿していければな…と思います(^^)
これまで読み進めてくださった全ての読者の方々、ブックマーク、リアクション、評価で応援してくださった心優しい皆さん…本当に本当にありがとうございました!




