ロゼール御一行
校舎の中は学年別のフロアに別れており、1階が教師、2階が1年、3階が2年、4階が3年、5階が共有フロア、6階が現在は生徒会専用フロアという造りになっているらしい。
学園全体の行事に使用する大講堂やダンスホール、図書館など、敷地内には他にも多くの構造物があるようだった。
共有フロア以外では、基本的には他学年の生徒同士がすれ違うことは滅多にない。
私はロゼールのクラスである『1-A』の教室に向かうため2階のフロアを歩き出したのだが、本来ならば4階へ行くはずのエクトルとジェラールがついてきた。
左にジェラール、右にエクトルと、まるで護衛でも付けているかのような仰々しいロゼール御一行を見て、フロア全体がちょっとした騒ぎになっていた。
「あ、あの〜お兄様方…ご自分達の教室に行ってくれて構いませんよ?
歩きながら順に確認して行けば、私一人でも教室までたどり着けると思いますので…」
「いや、無事に教室まで見届けさせてくれ」
「だってさ〜?お兄様は心配性だねぇ」
(いや、すっっごい目立ってるから!
あの子何者…!?ってみんなの目が怖いんだけど…
というか、なんでジェラールまでついてくる!?)
「事故後のこともありますので、なるべく目立たずに過ごしたかったのですが…これでは逆に目立ってしまいます」
そう言った私の言葉に、ジェラールが反応した。
「いや、逆に目立っておいた方がいいかもよ〜?
これで下手に手出ししてくる奴はいなくなるだろうからさ」
「ロゼに危害を加える奴は誰であろうと許さない」
(実はロゼールって誰かから狙われてるとか…?
いやいや、学園内でそんなこと……起きたのか)
教室に向かう程度のことで心配しすぎな気もするが、ここはエクトルの気持ちも尊重して素直に折れることにした。
「では、今日だけ…お願いいたしますわ」
教室へと続く無駄に広くて長い道のりにも、やっと終わりが見えてきた。
どうやら『1-A』の教室は一番奥だったらしい。
私達が通り過ぎて行く途中、たくさんの生徒達が緊張した様子でジェラールとエクトルに挨拶をしていた。
生徒会のメンバーということもあって、どうやら二人は学園の中でもかなり有名人なようだった。
(エクトルも十分すぎるくらいだけど…ジェラールはさすが主要キャラ!って感じの圧倒的存在感だよなぁ)
その小説のヒロインともあれば、シャルロットとは一体どんな女の子なのだろう…と期待が高まった。
無事に?教室へとたどり着いた私達だったが、入り口に立つエクトルとジェラールの姿に気づいた教室内は、早くもざわつき始めていた。
二人にお礼を言ってさっさと中へ入ろうとしたその時、教室の中から勢いよく飛び出してきた人物が、私に抱きつきながら言った。
「ロゼールっ!!大丈夫だったぁ!?
もうっ、すっっごく心配したんだからね!」
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