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ジェラール・ブノワ

「ぅわっ…!?」



「ロゼっ!?危なっ…」



「ぅおっと…!ごめんごめん〜ロゼちゃん大丈夫?」



いきなり肩にのしかかられたせいでバランスを崩して転びそうになった私を、エクトルの手が支えようとするが一歩届かず、間一髪のところで割り込んできた人物が受け止めた。


私をとっさに抱きかかえた人物は、体格の良い高身長でプラチナブランドの長い髪をなびかせ、カッコいいというよりは美しいという表現の方がしっくりくる中性的なビジュアルをもった男子生徒だった。


着崩した制服の胸元からは、男性らしい程よく引き締まった筋肉がのぞいている。



「おい、ジェラールお前っ…!」



「あ〜悪かったって!

なーんかいつもと違う雰囲気の仲良さげな二人を見たら、嬉しくなっちまってさ」



(それにしたって、その体格でロゼールみたいな華奢な女の子にのしかかってくるのは無理があるでしょ…

ん…?ジェラールって……もしかしてあのチャラい奴!?)



ジェラール・ブノワはヒロインに恋する主要な登場人物の内の一人で、モンブロワ公爵家の長男として学園の中でもトップの方に君臨する良い家柄の生徒という設定だった。


そういったごく一部の超上流階級の生徒たちは周囲からも一目置かれる存在であり、他の生徒を自分の意のままに動かすことなど容易く出来る程の影響力を持っていた。


もしもそんな相手を敵に回せば、この学園での居場所などあっという間に無くなってしまうだろう。


それなのに…



「…おい、いつまで触れているつもりだ?

その手を早く離せ。気安くロゼに触るな」



怒りを露わにするエクトルを宥めるようにジェラールが言った。



「まぁまぁ、そんなに怒るなよ〜おにいさま♡」



そう言ったジェラールの茶目っ気ある笑顔とは真逆のエクトルの冷え切った眼差しを見てしまった私は、慌ててジェラールに離れるよう言葉をかけた。



「あ、あの…ジェラール様?

助けていただきありがとうございます。

私はもう大丈夫ですので、お手を離していただけますでしょうか?」



「……ええっ〜と…あれ?…本当にロゼちゃん?」



私が発した言葉に違和感を覚えたのか、見るからにジェラールは戸惑っている様子だった。



(え…?そんなに変なこと言った…かな?)



私とジェラールが互いに戸惑い合っていると、エクトルが私の腰に添えたままだったジェラールの手を引き剥がしながら冷たく告げた。



「ロゼにまで手を出す気なら…容赦しないぞ」



「…悪かったよ、ロゼちゃんの様子が気になってな。

見る限り元気そうで安心したよ。

けど、あのロゼちゃんがこんなに饒舌に喋れたとはね…ちょっと驚いたよ」



「ご心配してくださり、ありがとうございます」



気にかけていてくれたことに笑顔で感謝を述べると、ジェラールは一瞬嬉しそうに反応したものの、急に心配そうな表情でエクトルに問いかけた。



「……!?ロゼちゃんが俺に笑いかけてくれた!?

……なぁ、やっぱりおかしくないか?」



(この程度で驚かれるなんて、一体ロゼールは今までどんな対応を…?

何だかジェラールとエクトルって、ただの知り合いって訳でもなさそうだな〜むしろ仲良さげ?)



エクトルは言いにくそうにジェラールに答えた。



「大丈夫…というわけでもないんだが、詳しい話は放課後、レアンドルとレジスも同席している場で報告させてくれ。

一人で待たせておく訳にもいかないから、ロゼも一緒に参加して欲しい」



「分かりました」



私は軽く返事をした後で、一瞬聞き覚えのある名前が横切ったのに気づき驚愕した。



(……?レアンドル…レジス………レアンドル!!?

それってこの国の王太子の名前じゃ…!

ジェラールといい、レアンドルといい、エクトルって一体何者なの!?)



どうやら王太子も参加するらしい放課後の集まりに、私も強制参加することが決まった。



「オーケー、放課後に詳しく聞かせてもらうわ。

…って、集まりの日って今日だっけ!?

うわ〜デートの予定入れちゃったよ。

キャンセルしとかないと…レアンドルの奴、生徒会サボるとマジで怖いんだよ」



ジェラールはガッカリしながらそう呟いた。



読んでくださりありがとうございます。


続きが気になる、面白そうだと思っていただけたら

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