帰還
レオナルドが自陣へと戻ってくると、身動きの取れない状態で木に繋がれていたプロストンが、慌てふためきながら話し出した。
「レ…レオナルド殿下…これは一体、どういうことでしょうか…?
この縄を解いていただくことは…」
「ああん?解くわけねぇだろうが。
どういうことなのかは、てめぇが一番よく分かってんだろ?
……いや、分かってねぇか」
そこへブレーズもやってきて言った。
「レオナルド、僕も言われるがまま進軍したけれど…ベランジェ殿下のあの焦り様、一体何が起こっているんだ?」
「立て続けに起きている民の拉致事件、そして今回の王太子の婚約者拉致事件、これらの侵略行為を報告し、リヴィエ王国、エヴラール王国の賛同のもとスカレント王国は友好国協定から除名されることになった。
これ以上好き勝手に侵略行為を続けるようなら、バラデュール、リヴィエ、エヴラールの連合軍が攻め入る可能性もある…との忠告文も添えて、先程王宮には除名通知が届いたはずだ。
周辺の大国がいきなり味方ではなく全て敵になったんだ、奴らにとってはとんでもない脅威だろうなぁ…!ははっ!」
レオナルドが勝ち誇りながらそう言い放つと、プロストンは目を見開き唇を震わせながら仰天していた。
ブレーズが感心しつつも不思議な様子で尋ねる。
「そんな凄い規模のことが…
でも、どうやってこんなに早くリヴィエ王国やエヴラール王国の賛同を得ることが出来たんだ?
いや、そもそも我が国には他国を動かす程の力なんて無いはずなのに…それをどうやって…」
「俺様には信頼できる優秀な仲間達がいたんでな。
ノエルとロゼールが寝る間も惜しんで駆け巡り、王太子達の協力を得て各国の王を動かしてくれた。
こんなこと、信用されているアイツらにしか出来ねぇことだ」
「食事会の時の彼らが…そうだったんだね。
良い仲間にも恵まれて、やっぱりレオナルドは凄いな…」
ブレーズは少し寂しげに呟いた。
すると東門に1台の馬車と先程の上級兵が現れ、馬車の中からミレーヌが降りてきた。
「ミレーヌ!!」
「ブレーズ様っ…!」
その姿を見たブレーズは思わず叫んで駆け寄り、それに気づいたミレーヌもまたブレーズの胸へと飛び込んだ。
ブレーズとミレーヌが熱い抱擁を交わす横で、レオナルドは上級兵にそっと近づくと厳しく忠告をした。
「この件はこれで終わりだが、民の拉致事件に関してはまだ終わっちゃいない。
引き続き調査を行うが、治安維持に協力する姿勢を見せなければ…それ相応の罰を背負ってもらうことになるだろうな」
「…その様に報告しておきます。
では、これで失礼いたします」
上級兵は短く言葉を返すと、馬車を連れて去っていった。
ブレーズがミレーヌを連れて戻ると、プロストンは憎しみのこもった目で睨みつけながら言った。
「エリザぁ…!
私に黙って婚約していただと…?ふざけるな!
バカな女よ…!私がお前の正体をバラせば、ブレーズ殿下のお側になど居られるはずがないであろう!
殿下、この女は貴族などではありません!
醜い孤児で、王妃様の毒殺に加担していた女ですぞ!?」
ブレーズが冷たい眼差しでプロストンを見つめて言った。
「そうか。
お前はなぜその様なことを知っていながら、報告しなかった?
それに、私にエリザという貴族の女性を紹介したのはお前ではないか」
「そっ…それは」
プロストンが言葉を詰まらせていると、レオナルドが言った。
「いい加減シラを切るのは諦めろ。
てめぇがスカレントのバカ王子と内通してバラデュールを裏切っていたことも、孤児院の女達を利用して母さんを毒殺しようとしていたことも、こっちは全部知ってんだよ」
「なっ…なんのこと…だか」
ガンッ!!
冷や汗をかきながら目を逸らし、誤魔化し続けようとしたプロストンの顔の真横に、レオナルドは無言で剣を突き刺しながら睨みつけた。
「ひぃいっ!!もっ…申し訳ございませんでした!!
私が全て悪かったと反省しております!
どっ…どうか、命だけはお助けを…!!」
真横に剣を刺され怯えたプロストンは、いとも簡単に自白すると必死に命乞いをした。
「本当はてめぇなんか今すぐにでも殺してやりたいくらいだが…それじゃ俺様が満足するだけだ。
死ぬより辛い目に遭ってでも、てめぇにはちゃんと罪を償ってもらわねぇとなぁ…!」
「ひっ…!!」
無事にミレーヌを連れ戻したレオナルド達は、王宮へと帰還した。
読んでくださりありがとうございます。
続きが気になる、面白そうと思っていただけた方はブックマーク、いいねをよろしくお願いします。
広告の下の評価も「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援いただけると嬉しいです。




