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いざ!セントブリューヌ学園へ

「んん〜…よく寝たぁ」



今の状況についていこうと必死に頭を働かせていたせいか、私はベッドに入ってすぐに寝てしまったようだった。


ぐっすり眠れたおかげで頭もスッキリし、初登校に相応わしい清々しい朝を迎えることが出来た。


カーテンを開けて気持ちよく朝日を浴びていると、ドアをノックする音が聞こえ、ナディーヌが部屋へと入ってきた。



「おはようございます、ロゼール様。

本日はエクトル様とご一緒に登校されるとのことですので、少し急いでお仕度をさせていただきますね」



「おはよう、ナディ。よろしく頼むわね。

ところで、昨日から気になっていたのだけれど…私はいつもお兄様とは別々に登校していたのかしら?」



「はい。入学したばかりの頃は、エクトル様に合わせてご一緒に登校されていたのですが…いつからか時間をずらしてお一人で登校されるようになりました」



(昨日エクトルがちょっと気まずそうにしていたのは、もしかしてそのせい?

二人の間に何かがあった…?)



「そうだったのね…どうしてわざわざ別々に登校するようになったのかしら?

お兄様と仲が悪かったわけではないのよね?」



「もちろんです!

お二人とも互いを思いやる気持ちを持った、仲睦まじい素敵なご兄妹ですから。

ですが…理由は分かりません」



(確かにエクトルはロゼールのことを本気で心配している様子だったし、仲が悪いようには見えなかったなぁ)



するとナディーヌが何かを思い出したかのように付け加えた。



「そういえば…できる限り目立ちたくないからとおっしゃっていたことはありましたけれど、どういう意味なのかまでは詳しくお話いただけませんでした」



(目立ちたくない…?

確かにいつまでも兄と一緒に登校している妹って、ブラコンみたいで目立って嫌だったのかも…?

そもそもいくら行き先が同じでも、兄妹で仲良く一緒に登校するなんて、通学に慣れるまでの一時的なものというのが普通だよね)



同じく兄がいた私は、何となくロゼールの気持ちが分かったような気になり納得した。



「きっといろいろと思うところがあったのね」



話をしている間に、テキパキと身支度を整えてくれていたナディーヌの手が止まった。



「さぁ、ご準備が出来ましたよ!

旦那様とエクトル様はすでに朝食を済まされたようですが、ロゼール様はいかがなさいますか?

もし召し上がれそうなら、何かご用意致しますが…」



「もちろん食べるわ!

腹が減っては戦はできぬ、だものね」



私の言葉に、ナディーヌが本気で慌てたように返事を返してきた。



「ロゼール様っ!?

学園とは戦を教わる場所ではございませんよ…!?」



「も、もちろん分かっているわ…!」



(そっか、この世界じゃ通じないのか…!?)



用意してもらった朝食をもちろん全て残さずに食べ、エクトルがすでに乗って待っているという送迎用の馬車に急いで向かった。



(それにしても、自家製パンもキッシュもコンソメスープも美味しかったなぁ…幸せ〜!)



まだ会ったこともない料理人の腕に感激しつつ、私はナディーヌに案内してもらいながら玄関ホールへと向かった。



(このお屋敷の地図、果たして覚えられるのかなぁ…)



前世でも方向音痴として名高かった自分の地理力に不安を覚えたところで、ようやく私達は玄関ホールへと到着し、ナディーヌが笑顔で手を振りながら私を送り出してくれた。



「いってらっしゃいませ!

ロゼール様のお帰りを心よりお待ち申し上げております」



「ありがとう、ナディ。行ってくるわね」



ナディーヌに見送られながら玄関ホールの外へと出ると、一台の馬車が目の前に待機をしていた。


私は先に中で待っていたエクトルに挨拶をしながら、馬車へと乗り込んだ。



「おはようございます、お兄様。

お待たせしてしまい申し訳ありません」



私が声を掛けると、肘をついて窓の外を眺めていたエクトルの肩がビクッと強張ったのが分かった。


そしてエクトルはこちらを振り向くと気まずそうに言った。



「あ…ああ、おはようロゼ。それじゃあ…行こうか」



読んでくださりありがとうございます。


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