ロゼール・ディディエの人物像③
「えっと、その…転落した際に、どうやら記憶喪失になってしまったようですの。
ここがどこなのか、自分が誰なのかも分からなくなってしまって…先程までナディに色々と教えていただいていたところでしたの」
私はリシャールとエクトルの反応に緊張しながら説明をした。
(もしも全くの別人が入り込んでいることがバレたら…私はどうなってしまうんだろう)
リシャールが神妙な面持ちで口を開いた。
「そうか…私のことも思い出せないのか?
いつも、パパ大好き〜!って笑顔で抱きついてきてくれたじゃないか…」
(………?この年頃の娘が?
それに、お父様と呼んでいたって聞いたけど…もしかして、人前では恥ずかしいから…ってやつ?
それなら、パパと呼んであげた方がいいのかなぁ?)
悲しそうに呟くリシャールの様子を見て、人には見せないファザコンな一面もあったんだなぁと思った瞬間、エクトルが呆れた顔で切り込んできた。
「……父上、捏造するのはやめてください。
もしかして、本当はパパと呼ばれたかったのですか?」
「いやぁ〜ちょっとだけ…ね?」
私はリシャールにニコリと微笑みながら強調して言った。
「そうだったのですね、"お父様"?」
ハハハ…!とリシャールは笑いながら誤魔化した。
(ナイスお兄様!
あやうくパパと呼んでしまうところだったよ…
でも、抱きつくのは絶対におかしいと思ったけどね!)
私は心の中でエクトルにグッジョブを送り、これからの生活についてのことを二人に相談した。
「あの…ずっとお屋敷にいるという訳にもいかないですし、明日から学園に行ってみようと思うのですが…」
「おお、それはいい考えだ!
エクトルと一緒に行って案内してもらうといい」
「ああ、もちろん……一緒に行こう」
(ん…?これは何か問題がある感じ…?)
エクトルが気まずそうに言葉を濁したのが、少しだけ気になった。
読んでくださりありがとうございます。
続きが気になる、面白そうだと思っていただけたら
ブックマーク、いいねをよろしくお願いします(^^)
評価、感想もいただけると嬉しいです…!




