楽しい放課後
「………!?あなた…」
突然の味方する声に驚いたリディアーヌがこちらを振り向く。
「ロゼール…またリディアーヌ様の味方をするのね?
この子は泣かされているのよ?
か弱い子が泣いているのに、放っておくなんて…私はできない!」
(……なんなんだ、その歪んだ正義感は…)
「泣けば何をしても許されるんですか?
泣いた人が擁護され、泣かせた人が悪く思われる…そんなの間違っているわ!
泣くかどうかと、どちらが悪いことをしたのかは別問題でしょ!?」
「な、なによぉ…私が悪いって言ってるの…?グスッ
私はただ、この子が可哀想だと思って…助けに入っただけなのにぃ…グスッ…グスッ」
シャルロットも泣き始め、何事かと周りはさらにザワついた。
「おい、女子同士のケンカか?怖ぇ〜」
「仲裁に入ったシャルロット嬢まで泣かされてるぞ?何が起こったんだ?」
「あの子ってエクトル様の…いつもシャルロット様と一緒にいなかったっけ?」
「でも、言ってること正しくね?」
「最初から見てたけど…あの子の言う通り、向こうの女の子からぶつかってたよ?」
リディアーヌが事態を収束させようと言った。
「そちらからの謝罪は結構です。
その代わり、わたくしも謝りません。
誰が悪いのか…そんなもの決めたところで、何も良いことはありませんわ。
皆に責任があった、それでいいじゃないの。
この話はおしまいよ!
さあ、始業時間に間に合わなくなるわ。
全員教室へ戻りなさい」
(………!?リディアーヌ…カッコよすぎるなぁ〜!!)
「リディアーヌ様の言う通りですね…
誰か一人に責任を押し付けるのも間違っていました。
さあ…シャルロット様、立ち上がってください。
教室に急ぎましょう!」
私はシャルロットに手を伸ばして立ち上がらせ、その手を引っ張って急いで教室へと向かった。
大人しく手を握られたまま教室に連れてこられたシャルロットは、手を離すと同時にボソボソとこう言って席へと着いた。
「……ロゼールのくせに…私に反抗するなんて…私を引っ張っていくなんて…いつの間にそんなに強くなったの?
本当に、もう前までのロゼールではないのね…」
放課後、私は教室をすぐに出てリディアーヌの元へと急いだ。
先程話せなかった、明日の生徒総会でレアンドルが事故について説明してくれることを、リディアーヌには事前に伝えておきたかった。
(カリーヌに聞いた話だと『1-F』クラスらしいんだけど……あっ、いた!!)
教室の入り口で、支度を終えたリディアーヌが出てくるのを待った。
………中々出てこない。
もしかして見逃してしまったのかと、再度教室の中を覗き込みリディアーヌの姿を探すと…
広々とした教室にリディアーヌがひとりポツンと席に座って、黙々と何かを書いていた。
集中している中、話しかけるのも迷惑かと迷っていると、リディアーヌの方から声をかけてきてくれた。
「先程から、何故ずっとそこで覗いているの?
用があるなら来ればいいじゃない」
「……失礼します」
側まで行くと、リディアーヌがノートから顔を上げてこちらを見た。
「先程は庇ってくれてありがとう。
いつもならそんな人なんていないから、ちょっと驚いたわ。
あなた、随分変わったのね」
「お礼を言われる程のことじゃありません。
ただ…理不尽な出来事を黙って見過ごせなかっただけですから。
自分の正しいと思うことを貫いて、私らしく生きようと決めたんです」
「そう…いいんじゃない?
今のあなた、堂々としていて結構好きよ。
それで?わたくしに何か用があったんでしょう?」
「ありがとうございます。
リディアーヌ様のおかげでもあるんですよ。
実は…」
私は転落事故の真相や、明日の生徒総会のことなど、事故からここ数日までの出来事をリディアーヌに話した。
「いつものことだから、犯人扱いされても気にしていなかったのだけれど…対処しようと動いてくれていたのね。ありがとう」
「いえ、巻き込んでしまった責任があるので…
ところで、どうして放課後の教室にひとりで座っていたのですか?
何かを書いているように見えたのですが…」
「ああ、これかしら?今日の授業の復習よ。
家でやるよりも、ここの方が集中出来るから…」
「………!!?偉すぎますね!!
私なんて…周りも出来てなさそうだからいいか〜とか思っちゃってました!!
正直、授業の内容もさっっぱりで…何から手を付けていいのかも分かりません」
「あなた1-Aクラスだものね。
でも、あなたは優秀な成績を残していたわよ?
お兄様もとても優秀な方じゃない。
それもきっと、記憶喪失の影響なのね…」
「そうだったんですね…知りませんでした。
1-Aクラスって特別なクラスなんですか?」
「この学園はA〜Fまで6つのクラスに分かれているのだけれど、EとFが特進クラス、A〜Dが普通クラスとなっているわ。
Fに近づくほど、入学時のテストで優秀な成績だった人が振り分けられていくの。
でも正直、AクラスとBクラスには比べられない程の差があるのよ…
運悪くテストに参加出来なかった人や、なぜか当日だけ成績が悪かった人なんかがAクラスに振り分けられることもあるわ。
きっと、あなたもその内の一人ね」
「そんな仕組みになっていたんですね…
ってことは、リディアーヌ様は一番優秀なクラスじゃないですか!
それなのに居残りで復習してるだなんて…努力家なんですね」
「こんなの…当たり前のことですわっ」
褒められることに慣れていないのか、リディアーヌは顔を真っ赤にして照れていた。
たくさん話ができ、リディアーヌとの距離が近くなったような気がした。
これ以上手を止めさせてしまうのも悪いので、私は帰ることにした。
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