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ロゼール・ディディエの人物像②

全員がテーブルに揃い夕食が始まると、心配そうにリシャールとエクトルが順に声をかけてきた。



「ロゼール、もう動いても大丈夫なのかい?」



「ロゼ、体調はどうだ?」



「ご心配をおかけしてすみませんでした…体調はこの通りもう大丈夫ですわ。

身体の方もすり傷程度で済んだので問題はなかったのですが、中身の方に少しだけ問題がありまして…」



変に違和感を持たせておくのも悪い気がしたので、私は本題を先にハッキリと伝えておく事にした。


私の言葉を聞いてすぐに、リシャールが慌てた様子で言った。



「何!?すり傷でも充分問題じゃないか!

ロゼールは女の子なんだから…!」



リシャールの様子とは真逆に、冷静さを保ったままのエクトルも口を開いた。



「父上、問題はそこではないでしょう。

明らかにロゼの様子が変です。

こんなにハキハキと喋っているところは、今までに見たことがありません。

口調も変わっていますし、まるで別人ですよ」



どこがズレているようなリシャールの反応とは違って的確なエクトルの指摘に、私は思わずギクッと身体を強張らせた。



(お兄様、なかなか出来る男だな…?)



エクトルの言葉を聞いたリシャールが不思議そうな顔になって答えた。



「確かにロゼールはもっとこう…物静かというか、いつも一言二言しか喋らないおとなしい子だなぁとは思っていたが……

きっとマリアーヌに似て、クールな性格なのかな〜と思っていたよ!ははははは」



(お父様、なんとまぁのんきな…)



ナディーヌに聞いた話では、ロゼールがまだ5歳の時に母のマリアーヌは若くして病気で亡くなったらしい。


それ以降もずっとリシャールは新しい妻を迎えることなく、エクトルとロゼールの3人で暮らしてきたそうだ。


ナディーヌはマリアーヌの侍女だったが、ロゼールが産まれてからはロゼールの侍女として、ずっと側で支えてきたようだった。


早くに母を亡くしたロゼールにとって、もしかしたらナディーヌは第二の母のような存在だったのかもしれない。



「どちらかというと父上似ですよ……」



「おっと、食事が冷めてしまうね。

さぁ食べようじゃないか」



リシャールに促され、私達は一皿ずつ丁寧に盛り付けされた料理に手をつけた。


ボソっとエクトルがつっこんでいたが、リシャールには聞こえていなかったらしい。



(記憶喪失のこと、言い損ねちゃったな…)



先に伝えるべきことを言えなかったことが気がかりだったが、まるでコース料理のように順に運ばれてくる料理に、すっかり私の目は釘付けになった。


前菜には鮮やかな彩り野菜とスモークサーモンのサラダ

スープはオニオングラタンスープ

メインに真鯛のポワレ、ステーキのフォアグラ添え

デザートにはクレームブリュレ


前世では結婚式にでも呼ばれなければ、あまりお目にかかる機会のなかった豪華な料理が次々と目の前に現れ、その美味しさに感激した私は、全てをあっという間に平らげてしまった。



(ん〜っ!どれもすごく美味しいっ!

貴族って…最高っ!!

もしかして、毎晩こんなに美味しいフルコースを食べてるの!?

今だけは転生して良かったかもしれない…!)



のんきに料理の余韻に浸っていたのも束の間…エクトルとリシャールの驚いた表情に気づいた時には、もう遅かった。



(私、また何かやらかした……!?)



「ロゼが残さず食べ切った…」



「ロゼール、今日はたくさん食べて偉いな…!

全部食べられたのなんて初めてじゃないか!?

まだ足りないようなら、料理長に言って何か作らせよう」



(完食しただけなのに、そんなに驚く…!?

でも、確かにこの華奢な身体は少食だろうなぁ。

こんなに美味しい料理を残していただなんて…ロゼールの贅沢者っ!)



「お父様、もう充分お腹いっぱいになりましたわ。

しばらく眠っていたせいか、今日はすごくお腹が空いていて…ついつい食べすぎてしまいました」



無駄な抵抗かもしれないが、後付けで理由を説明する私にエクトルが言った。



「ロゼの身体は細すぎる。

毎日そのくらいちゃんと食べた方が良い」



「そうだぞ〜エクトルの言うとおり!

…ところで、さっき言っていた中身がどうのこうのという話は、何だったのかな?」



(……!?ちゃんと聞いてたんかーい!

もしかして、お父様も意外と抜け目ないタイプ…?)



読んでくださりありがとうございます。


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