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モブに転生した私は、ヒロインの取り巻きやめて悪役令嬢を応援します!  作者: 葵ゆきこ


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石ころ大作戦

次の日、朝一番にレアンドルに会わせてもらえるようエクトルに頼み、私達はいつもより早く登校することにした。


学園へと到着すると、驚くことに令嬢たちは既にスタンバイしており、エクトルが下車すると同時に黄色い悲鳴が上がった。


その後に続き、なるべく注目されぬようササッと降りるつもりだったのだが…


ロゼを守る!と気合い十分のエクトルに素早く手を差し出され、本日も大注目を浴びながら馬車を降りることになった。


いつも他の生徒よりもかなり早めに登校をしているレアンドルは、この時間には既に生徒会室にいるようだ。



(もしかして先程の令嬢達はレアンドルに合わせて…?

朝早くからお勤めご苦労様です!)



校舎へと向かう道の途中で私はふと思いつき、足元に落ちていた石ころを一つ拾ってハンカチに包んでおいた。



コンコン…



生徒会室の扉をノックをすると、中にいたレアンドルが答えた。



「は〜い…?」



「おはようございます、レアンドル様。

ロゼールでございます。

少々、お話したいことがあるのですが…よろしいでしょうか?」



「ん、何かな…?どうぞ〜」



扉を開けて中に入ると、昨日同様にニコニコと微笑むレアンドルが座っていた。



「おはよう、こんな朝早くにどうしたの?

昨日はなんだかゴメンね…ってなんだ、エクトルも一緒じゃないか」



私の後ろに立つエクトルの姿に気づいたレアンドルが、急に気の抜けた様子になって言った。


エクトルが不服そうに反応をする。



「なんだとはなんだ。

ロゼールにどうしても朝一でお前に会いに行きたいと頼まれてな。

理由は俺も聞いていないのだが…」



二人の注目が私に向く中、王太子の身分であるレアンドルに少しでも自然に触れるため、私は先程思いついた作戦を実行することにした。



「朝早くから突然すみません。

昨日のことが心配になり、これをレアンドル様にお渡ししたいと思いお持ちしました。

…お手を出していただけますでしょうか?」



不思議そうな顔をしながらも、レアンドルは私の方へと手を伸ばした。


私は差し出された手をガッチリと掴み、先程ハンカチに包んでおいた石をいかにも大事そうに取り出しながら、レアンドルの掌の上へと乗せた。


手渡された石をじっくりと見つめた後、レアンドルはますます不思議そうな顔をしながら私に質問した。



「ん…?これは、石…かな?

どうしてこれを僕に?」



どう見てもそこら辺にあるただの石を渡された真意を、真剣に考えようとしてくれているレアンドルには人として好意が持てた。



(とりあえず触れることは出来たけど…これで本当に大丈夫なのかな?)



目に見える変化は何も起こらず心配が残ったが、レアンドルに触れるという目的は無事に達成出来たので、石についてはそれっぽい理由をつけて説明しておくことにした。



「それは、昔から私が大事にしてきた願いの叶う不思議な石です。

レアンドル様と皆様が早く仲直り出来ますように…と願いを込めておきました」



「そうなんだ…ロゼールは優しいね、僕の為にありがとう。

でも、そんな特別な石を貰ってしまう訳にはいかないよ。

だから、これは君にお返しするね。

大丈夫!みんなには許してもらえるよう、きちんと謝罪をするよ」



そう言ってレアンドルは、私の掌の上に丁寧に石を戻した。



「分かりました。早く仲直り出来るといいですね」



「うん。そうだね」



レアンドルは笑顔で頷くと、勢いよくエクトルの方を向いて言った。



「エクトル、昨日はゴメンね!

僕としたことが、全然頭が働かなかったんだよね〜あはは」



(ずいぶんとフランクな謝罪だなぁ)



レアンドルの謝罪に、エクトルは呆れた顔で返事をした。



「……俺達のことはいいから、まずはレティシアに謝ってこい」



「…うん。そうだね」



レアンドルは申し訳なさそうに、暗い表現をして呟いた。


これでレアンドルのシナリオ解除とやらが無事に出来たのかは分からないが、もしも解除されていればこれ以上の失態は避けられるだろう。


あとはリディアーヌの汚名を晴らすことが出来れば一件落着だ。


再び話をする場を設けてもらうため、私はレアンドルとエクトルに提案をした。



「あの、今いちど皆様にお集まりいただくことは出来ますでしょうか?

新たにお話したいことがあるのですが…」



私の提案にレアンドルが賛同して言った。



「うん、僕にもその必要がある。

問題は早めに解決しないとね!…ってことで、エクトル〜っ!」



レアンドルはエクトルの方を向くと、お願い…と可愛い仕草でおねだりをした。



「はぁ〜…皆に声を掛けに行ってくる。

早速だが、今日の放課後でいいか?」



「うん、ありがとう。助かるよ」



長いため息をつきながらもエクトルが仲介役として動いてくれることになり、レアンドルはご満悦そうだった。


生徒会室を出てエクトルと別れた後、始業時間まではまだかなり時間があったため、私は教室に向かうのをやめて気になっていた女神の泉へと向かってみることにした。



読んでくださりありがとうございます。


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