表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私が呪ったのは……

作者: こうじ

『公爵令嬢は誰を呪ったのか?』の公爵令嬢によるひとり語りです。

 お久しぶりでございます、殿下。


 えぇ、貴女の元婚約者のレイチェルです。


 夢を見てるんじゃないか、て? えぇ、これは殿下の夢の中です。


 何も言わずに殿下の前から姿を消してしまい申し訳ありませんでした。


 殿下の事はずっと見ておりました、私の事を想い自ら王家の道を捨て修道士となられたのは殿下らしいな、と思いました。


 ある程度の決着がついたのでこうして殿下の前に馳せ参じました。


 あの雷は私の仕業なのか?ですか……。


 その事をお話する前に私の実の母親についてお話いたします。


 私の実母は私を産んでからすぐに亡くなってしまいましたが実母の実家というのが魔女の血を引く一族でしてお母様も当然ですが莫大な魔力と秘法と呼ばれる魔女しか扱えない術を習得していました。


 お父様はそれを狙ってお母様と結婚したのですから、愛は元々無かったんでしょう。


 それに元々愛人がいてお母様が亡くなったと同時に家に連れ込んで来たんですから面の皮が厚い方です。


 その頃から私の冷遇が始まりまして、我が家には居場所なんてありませんでした。


 私の部屋を見ていただいたと思いますが見ての通り私の私物なんてこれっぽっちもありませんでした。


 唯一の私物と言えばあの日記帳と実母の日記でした。


 え? 実母の日記は無かった?


 それはそうでしょう、実母の日記には秘法が書かれていましたから悪用されたらマズいですからね。


 そんな時に殿下の婚約者になれたのは私の唯一の救いでした。


 殿下は心優しい方で殿下と過ごす日々は幸せでした。


 でも、それも一瞬だけの事でした。


 殿下の弟君が私にしつこく声をかけてくるようになったのです。


 しかも好意ではなく明らかに悪意を込めて。


 弟君は明らかに殿下の地位を狙っていて私も狙っていたのです。


 そして、いつからか私の悪い噂が流れるようになりました。


 どうやら私の義妹とお父様も一枚噛んでいた事は亡くなってから気がつきました。


 そして、あの日、殿下に注意された後私は王妃教育を受けた帰りに弟君に襲われかけたのです。


 なんとか貞操は守りましたがもう全てが嫌になりました。


 周りには味方なんていない、こんな辛い日々が続くのであればこの世から去りたい。


 気がついた時は既に私は首を吊っており幽霊になっていました。


 そこからはフワフワと彷徨っておりました。


 勿論、私の葬儀も見ておりましたが元家族の嘘泣きには本当憤りを感じました。


 あの人達は私の事なんて家族として1度も見てくれなかったくせに周囲にはああしてパフォーマンスをする。


 この時に一矢報いてやりたい、と思うようになりました。


 その時をずっと待ってついにその時がやって来ました。


 そう、事もあろうに私の命日に弟君と義妹の結婚式をしたのです。


 魔女の秘法というのは恨みや憎しみをエネルギーにして発動するのである意味グッドタイミングだったかもしれません。


 式には有力な貴族達も出席していましたが、生前私の悪い噂を信じ込み影で嫌がらせをしていました、こいつらも同罪です。


 私は結婚式場に姿を現してやりました。


 そりゃあ驚きますよね、死んだ私がいきなり現れたんですから。


 驚く彼等に私はこう言ってやりました。


『私を死に追いやったお前達が幸せになるなんて許せない』


 私はありったけの呪いを会場にぶつけてやりました。


 それがあの惨状に繋がったのです。


 余りにも私の呪いが効きすぎたのが、弟君と義妹は一瞬にして命を奪ってしまったのは反省でした。


 ホントはもっと苦しませてやりたかったんですが、まぁその代わりお父様達はそうとう苦しんで死んでいったのでヨシとしました。


 それに彼等は地獄堕ちが決まっているので永久に苦しむ事になるでしょう。


 もしかしたら私が呪ったのはこの国自体かもしれませんね。


 あぁ、私の事ならご心配なくお母様が黄泉の世界の管理者を脅し……話し合いをして私はお咎めなしになりました。


 え? 生前の時と違う? もしかしたら今の方が本来の私かもしれませんね。


 あぁ、そろそろ夢から覚める時が来ました。


 殿下、私は貴方と出会えて幸せでした。


 自分を責めずにこれからは生きてください。


 私は陰ながら殿下を見守っております。


 そして、殿下の幸せを願っております……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ