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『プレスマンの束』

作者: 成城速記部

 子供たちがいつもけんかばかりしているので、父親が、言い聞かせようと思って、プレスマンを一箱買ってきました。大人買いです。十本入りです。

 この十本のプレスマンを束にして、長男に手渡し、折ってみるように言いましたが、長男は、プレスマンの束を折ることができませんでした。次男も三男も、プレスマンの束を折ることはできませんでした。

 父親は、プレスマンの束をほどいて、一本一本にし、子供たちに渡し、もう一度、折ってみるように言いました。

 父親は、一本のプレスマンは折れてしまうが、束になると折れない。だから、お前たちも、兄弟仲よくしなければならない的なことを言おうと思っていたのですが、当てが外れました。子供たちは、誰一人、プレスマンを折ることができないのです。

 父親は、首をかしげながら、自分でも一本のプレスマンを手に取り、力いっぱい折ってみました。折れました。簡単じゃないですか。何でしょう、うちの子たち。

 するとどうでしょう。子供たちが、父親を糾弾し始めました。どうせお父さんは、兄弟仲よくみたいなことを言うために、プレスマンを使ったのでしょう。しかし、食べ物で遊んではいけないように、プレスマンを折ってはいけません。それは、人としてやってはならないことです。とはいえ、私たちのお父さんですから、追放はできません。本日をもって隠居していただきます。

 父親は、誰か一人くらい、自分の味方をしてくれる子がいないか尋ねましたが、全員一致でした。父親は、プレスマンの束の強さを、身をもって知ったのでした。



教訓:プレスマンを折るという重大な罪を犯して、命を長らえただけでも、幸せというものです。

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