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ブラックリスト勇者を殺してくれ  作者: 七條こよみ
5章 エブリバディ・プレイザフール
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5-22話 ニノマエ


「……お前、まさか俺に剣で勝てると思ってるのか?」


「馬鹿が、そりゃ剣しか使えないテメェの話だろうが。俺にとって攻撃手段の一つでしかないんだよ」


「分かってないな、お前は何も出来ない」


 界刀──振れば空間をまるごと切り取ることが可能なカイトの最強の攻撃手段。


 防御、回避、魔法、全て無意味。全て切り取られて消滅する。


「食らったらやばそうだが……当てられるかそれ? 『ケリュネイア』」


 突如、カイトの視界からニノマエの姿が消える。尋常ではない動体視力を持つはずのカイトが、見失うことなどこれまで殆どなかった。


「何ッ!?」


「後ろだよ、『デュオメデス』ッ!」


 ニノマエは背後に回り込んでカイトの肩をポンと叩く。シルバが食らった、引きずり回してされる攻撃だ。


「グッ……なんだこれは……!」


 首に鎖が繋がり後方に引っ張られる。


「『ケリュネイア』……」


「クソッまたッ!」


 ニノマエはカイトの視界から消え失せる。


「なんだか……その剣、危なそうだからなあ俺も避難するぜ」


「ニノマエッ!?」


「いつの間にッ!」


 カナデを背負ったヤヒコと、シズクのすぐ近くにニノマエは移動していた。


「そいつに触れさせるなッ……カハァッ! なんだ!?」


 次は手足に鎖が繋がれて動けないことにカイトは気がついた。そしてヒヒィーンとなく馬が現れる。


「『界刀』ッ!」


「うわ、マジかよ『デュオメデス』の鎖は破壊不能なはずなんだが……破壊するんじゃなくて消滅させたのか? こりゃ近づかなくて正解だったな……で、それいつまでも使える訳じゃあないんだろ? 息が上がってるぜ」


 ニノマエは破壊出来ないはずの鎖が消滅し、目を丸くしながらも楽しそうに笑う。


 カイトは数度剣を振っただけだが、肩で息をするほど消耗を隠せないでいた。


「……ヤヒコ、降ろして」


「カナデ、気がついたか」


「うん、大丈夫だから……こいつはカイト一人じゃ……いや、私たちがこいつから逃げられない以上協力して戦わないとダメっぽいじゃん?」


 ヤヒコが目が覚めたカナデを降ろした。


「カナデ、貴様は特に俺を愚弄した言葉を使ったのを覚えているか? 女だからと言って容赦はしない。お前ら全員殺してカナデは頂く」


「知るかッ! 勝手に言ってろってのッ!」


「ッ! 危ねえ危ねえ、気が短い女は怖いねえ」


「テメェが怒らせてんだろッ!」


 カナデは作り出した結界をニノマエに向かってぶつけようとした。不意打ちだったが、それをニノマエは軽々と回避する。


「カイトッ! 一旦立て直して陣形を組むぞ」


 ヤヒコが叫ぶとカイトがすぐに反応して走り出してくる。


「『従魔召喚』ッ! どれだけ速くても動けば消耗するはずッ!」


 シズクが時間を稼ぐ為に大量のハチドリに似たモンスターを召喚してニノマエを襲うように命令を出した。


 ニノマエはすぐに距離を取り、防御姿勢に入る。その間にパーティとしての陣形を組み直した。


「へえ、レアなモンスター持ってんじゃん。こいつは確か近付いたら針みたいな羽を飛ばしてくるんだよな……『アウゲイアス』ッ!」


 アウゲイアス──それを使用すると対象としたものの軌道を変化させることが出来る。


 手をかざしたニノマエの足元に鋭い羽は突き刺さる。


「そろそろフィナーレと行こうぜ」


 ***


 武器攻撃無効、遠距離攻撃無効、超高速移動、分身、物体転換、飛行、遠距離攻撃手段、これらの能力を駆使して、最強のパーティであるナオイソードと五分に渡り合うニノマエ。


 そして、それを可能にした要因である原初の実。


 その原初の実を守っていたはずのヒカルからの連絡の途絶。


 彼らの戦いを遠くから観察していたアウルムもまた、焦りを感じていた。


(シルバ……連絡しろ、さっきから何故応答がないっ!)


 何度、念話を使ってもシルバと連絡が取れない。勝負を見届ける必要がある以上、この場を離脱することも出来ず、音沙汰のないシルバに何かあったであろう現状に苛立ちを募らせていた。


 死亡すれば、分かる。念話を使うことが出来るということはシルバは死亡していない。


 ただ、何かしらの事情で応答出来ないという、『分からない』状態が非常にストレスを与えていた。


「原初の実をニノマエが手にしたと言っている以上、警備は失敗した……ここに来る前に一戦交えたなら、それに関してシルバから報告があっていいはずだ。

 ラーダンもついている。原初の実でパワーアップする前のニノマエにやられることはまず考えられない……」


 または、ニノマエとヒカルが裏で手を組み、単に原初の実を渡すことで何らかの利益があったのか……などと様々なシナリオが考えられる。


 しかし、それもまた問題をややこしくさせる。


 一体何のメリットがあってするのか。これに尽きる。


 ヒカル・フセ──シャイナ王国にて勇者だけでなく、あらゆる方面に顔が効き指示も厚い絶大な影響力を持つ男。

 現在の地位も膨大な努力の積み重ねにより築き上げてきたものであり、国賊と認定されるニノマエと協力をする必要性というものが、想像出来ない。


 ある意味、手に入れられるものは全て手にすることが出来る立場にある。これ以上何が欲しいのか。


 ともかく、カイトたちには一刻も早く決着をつけてもらいたいと願うしかない。


 ***


「捕ったッ!」


「ッ! 糸かっ!」


 ニノマエの足にはヤヒコの『闇糸』が絡みついていた。非常に強靭な見えにくい糸は攻撃、行動阻害など応用が効き、糸電話のようにして遠くの音を拾うことも出来る。


 地面に張り巡らせて、ニノマエに察知されずにジワジワと糸を足に集めていった。


 ヤヒコはパーティにおいて斥候の役割を持つ。糸により安全に罠を解除したり、索敵をしたり、パーティの中ではオールラウンダーとしてあらゆる役目を持つ。


 加えて、闇属性が付与されていることにより魔力を吸収することが可能。ニノマエの足からズルルと魔力が引っ張られる不快感を与えることに成功し、僅かな隙が生まれた。


「デカしたッ!」


「動けないなら……ハイヴェノムスパイダーッ!」


 猛毒を持つ蜘蛛、人サイズのタランチュラのようなハイヴェノムスパイダーをシズクは召喚してニノマエにけしかける。


 シズクの『従魔召喚』は状況に応じて100種以上のモンスターを使い分けることが出来、毒耐性のスキルが8以上は必要な猛毒によって、ニノマエの完全な行動不能を狙う。


 通常攻撃が効かない敵と戦うのは今回が初めてではない。であれば、こういったデバフ効果を駆使した戦いが必要になると即座に戦い方を変更する柔軟さがある。


「『ステュムパロス』ッ! 『ケリュネイア』ッ!」


「逃さねえよ!」


「チクショオオオッ!」


 カナデは『結界生成』によってニノマエの周囲をドーム状の結界で囲み、更に逃げ場を限定させる。


 魔王を討伐した実力、連携は伊達ではない。


 その間、ニノマエの攻撃を全て弾くタンクの役割をカイトが担う。ユニークスキルに加えて魔法、マジックアイテム、何でも使って攻撃を繰り返すニノマエに臨機応変に対応して仲間の攻撃を邪魔させない。


 火力に能力を振ったカイトに対してニノマエは相性が悪い。エースであるが、勝つ為には地味な脇役に徹することも厭わないという謙虚な性格があったからこそ、ここまで生き残ることが出来た。


「クソッ汚ねえぞお前らッ! 寄ってたかって連携攻撃しやがって!」


「はあ? 今更文句言ってんなよテメェがかかってこいっつったんだろうがこのボケッ!」


 先ほどと言ったことが矛盾しているニノマエに対してヤヒコは罵声を浴びせた。


「ネメア……長時間、そして常時発動は出来ないみたいだなニノマエェッ!」


「クッ!? ネメアッ!」


 そして、ニノマエの隙が生まれたタイミングで斬撃を入れる。戦いながらニノマエの弱点を洗い出していき少しずつ追い詰めていく。


 剣においては圧倒的にカイトに分がある。腕が6本生えてようが、手数が多いだけでその一つ一つに計算された動きはない。


 ニノマエのケリュネイアによる高速ほどではないにしろ、普通ならば反応出来ないほどの速さで移動しながら、チクチクと攻撃を繰り返していく。


「クソッ……ここまでかッ……!」


「死ね、ニノマエ」


「……なんて言うわけないだろうがああああああッ! 『アマゾン』ッ! 『クレタ』ッ!」


 ニノマエは叫びながら二つの能力を使用した。


「そんだけ強い仲間ならよお、仲間同士で殺しあえやッ!」


「ぐっ……カイトォォアアアアアッ!」


「身体が勝手にッ!?」


「カイトを殺したい感情が湧いてくるッ!?」


『アマゾン』──感情を操り、一時的に思いのままに扇動することが出来る能力。


『クレタ』──凶暴化して理性を失うことでステータスが3倍にアップする能力。


 これら二つの能力をカイト以外の仲間に重ねがけを行った。


「ハハハハッ! 俺の相手してる場合がじゃなくなったぜぇ!?」


「相当余裕がないんだな……それは悪手だ──『解刀』」


 軽く三人を斬りつけると状態異常が全て解除される。


「何ッ!?」


「能力を見せびらかすことに集中し過ぎだな。俺はこの能力、さっきお前に見せたんだから状態異常系の攻撃は無意味だと分かるはずだ……ゲリュオンだったか? それも解けたってことはガス欠か。終わりだニノマエ」


 カイトは息を荒げて立つのもやっとなほど消耗するニノマエの首に剣を当てた。


「ま、待てよッ! 元パーティメンバーの俺を殺すってのか!? この恩知らずがっ! 裏切りやがって!」


「俺たちはむしろ、パーティを組んでもらえないお前を一時的にでも受け入れてやっただろうが。何故感謝という発想が出てこないんだよお前は」


 ヤヒコが呆れながらカイトに近づいてくる。


「まあ、下手に助けた人間に何もしてないやつより不満待つってあるあるじゃん? そういうやつめっちゃいたっしょ? もっと早く助けに来いとか言ってさ」


 カナデがヤヒコにこれまでの旅を思い出してみたら、と提案すると、ヤヒコは「ああ」と納得を見せた。


「それに私を自分のものにって……選ぶ方にも権利はあるんだけど?」


「俺にモーションかけてきただろうがっ! 俺たち良い感じだっただろシズクゥッ!」


「それはストーカーの一方的な勘違いの常套句だね。あなたに対しては何の関心もないし、街で俺の女になれって言われて困惑しかなかった。

 そもそも、仲良くなるほど会話もしてないし、あなたのことは、どう考えても嘘だと分かる幼稚な自分語りしか聞いたことがない」


「名前すら呼んでくれねえのかよ」


「名前すら呼ぶ価値を感じないから」


 シズクはゴミでも見るような視線をニノマエに真っ直ぐに向けた。


「もう良い……それより最後に一つだけ聞きたいことがある。会長たちはどうした」


「へっ……まあ見てのお楽しみだが、地獄とだけ教えといてやるよ」


「まともに答える気がないなら死ね」


「おっと……! 待てよッ! 俺を殺して良いのか!? 俺の殺さないことにメリットならあるぜ?」


 剣を振りかぶったカイトがそこで動きを止めた。


「お前ら三人が死んで、シズクを俺のものにしてくれたらエリを生き返らせてやれるぜ?

 俺の最後の能力の発現条件はお前ら三人を殺してシズクを俺のものにすることだ!

 なっ! どうだ! エリのこと好きだったよな、カイト!

 お前が犠牲になれば愛する女を復活させられ────るぜ!?」


「もう喋るな。エリの名をそれ以上口にすることは許さん」


(会長、ありがとう……あなたの事前の予測が無ければ、今のニノマエの発言に一瞬でも揺らいだかも知れない……あなたは本当に凄い人だ。

 人を生き返らせる能力か……冥界にいった逸話から考えられるとは言っていたが、ドンピシャだ)


 ニノマエが最後まで言い切る前にカイトは剣を振り抜いた。首から上を綺麗にスライスされたニノマエは、首が刎ねられた後も僅かに喋った。


 そして、目からは生気が消えていき、力を失った身体の方が崩れ落ちる。


 ニノマエは死亡した。


「カイト……」


 ヤヒコはカイトの肩を叩こうとするが、触れるのを躊躇う程の怒りを感じて、手を引っ込める。


「……こいつは良い、早く会長たちのところに向かうぞ!」


 その後は何も言わずに四人はその場を後にした。


 完全に姿が見えなくなった頃、アウルムはニノマエの死体に近付き死亡を改めて確認する。


「終盤はかなり精神の破綻が進んでいたな。カイトという英雄を殺す事で自身が英雄となる。……精神欲求を満たす為の殺人者にありがちな『同化』ってやつか。


 生まれ持ったサイコパスの性質、仲間だと思っていた相手からの拒絶によるストレス要因、カイトの婚姻による引き金。

 シズクに対する膨れ上がった妄想の答えがカイトを殺して自分がカイトのようになる……そんなところかな。


 戦い方自体はそれなりに経験から来た熟練があるが、大局をまるで見ていない無秩序、支離滅裂な発言……やはり、こいつ一人で全部やり切るのは到底不可能だろう」


 犯罪に関する証拠品など、不明な点が多いニノマエの死体を放置することは出来なかった。

 死体をまるごとアイテムボックスに回収して、すぐに墓地の方へ『虚空の城』を使い向かう。


 カイトたちが到着する前に現場の状況を把握しておく必要があった。


 ***


 事前に作成していた墓地付近の茂みの中にあるゲートからアウルムは出てくる。


 周囲の索敵をするが、気配がまるでない。


「変だな……嫌な予感がする」


 音を立てずに墓地の方に近づくと匂いがした。


 これは強烈な肉体……死体から発せられる死臭だ。甘ったるい、むせかえるような粘り気のある鼻の中に残る肉や血の匂い。


「なんだこれは…………」


 そこには死屍累々と表現するほかないほどの、死体が点在する戦場跡の様相を呈していた。


 現地の者、数人の勇者と思われる日本人の死体。


 一つ一つの死体を見てシルバではないと、安心しては、他の死体がそうではないかと心臓が破裂するかというほどの緊張とともに探索をした。


 幸か不幸か、シルバそしてラーダンの死体はない。


 中には身元の確認が不可能なほど損壊した酷い状態の死体もある。


「爆発……それに近い何かがここを中心に発生したのか?」


 同心円状に膨大なエネルギーが地面を駆け巡った形跡から何が起こったのかの考察をする。


(アウルム……聞こえるか)


(ッ! シルバッ! お前どこにいるんだッ! 墓地に来たが何があったんだッ!? 何回も念話したんだぞ!?)


(気がつかんかったわ……心配かけてすまんな……そっちにいるってことはニノマエとの戦いは決着ついたんか)


(ああ、原初の実を食っためちゃくちゃパワーアップしたニノマエに思いの外手こずってはいたが最終的には殺された)


(へえ、やっぱりそうか……想定外の事態が発生してこっちもゴタゴタしてた。取り敢えず無事やが、現在地に関しては分からんねん。カッサ大砂漠ってところのどこか、らしいんやが)


(はぁ? カッサ大砂漠だと? あのクソデカい東側の砂漠地帯の話か……? よく分からん、事情を説明しろ)


(いや、今は優先度の高い話からする。その場にヒカルはおるか? おるなら絶対に戦わずに逃げろ)


(……ここには死体しかない。すぐに『虚空の城』の中に入って安全を確保した大丈夫だ)


(いいか、結論から話すとヒカルとその仲間の一部がいきなり警備してたやつら含めてぶっ飛ばしやがった。目的は知らんけどな。でも俺らは不意打ちを防いだ。

 それに関しては想定外やったんやろうな……攻撃されたから反撃に出たんや俺とラーダンでな……。


 そしたらや、勇者の一人のユニークスキルやろうな。それを食らったっていうか……踏んでしもうた。転移系の能力やろうな。気がついたら俺とラーダンはどデカい砂漠の中に飛ばされてしもうてな)


 軽く笑いながら言うが、何故笑っていられるのだとアウルムは眉間に皺を寄せた。


(まさかとは思うが……そいつの能力でニノマエは王都に……?)


(可能性はあるやろうな……やから、ここがどこかは厳密には分からん。これから移動開始して近くの街を探すつもりや。場所が分かればまた連絡するから、ミアにも無事やって伝えたってくれ。あ、水とか食い物アイテムボックスに補充してくれるか。しばらくは街にたどり着け無さそうな雰囲気やからな)


(それは……まあ構わないが)


(でな、攻撃される前にヒカルが仲間と話してるのが聞こえたんや。「貴重な原初の実をあんなやつにあげて良いんですか?」ってな。やっぱりグルやったな。仲間ではないみたいやが手引きはしてたんやろう。


 それで「いくらでも増やせる」って言ってたのが聞こえた。そっからすぐに転移してもうたから詳しくは分からんけどコピーみたいな能力使えるんかもやわ。注意しとけ……あっ、そうそう失踪したクリタもその一団にいたわ)


(クリタだと? 生徒会メンバーをパーティにしていると聞いたが、クリタは違ったはずだ。何かしらのビジョンに共鳴して仲間になったってところか……俺は街の方に行って異変がないか確認する。

 そっちも詳しい現在地が分かり次第連絡してくれ。俺は一度行ったことある場所しか行けんからな……近くなら迎えに行けるが……)


(いや〜、太陽の位置的に王都とは時差あるっぽいから、かなり遠い気がするねんな。てか、時刻確認したらラグがあるな。転移中は時間が吹き飛んでたんかも知れん)


(マジか……しばらくは別行動だな。気をつけろよ)


(まあ、最強のボディガードみたいな男もいるし大丈夫やろ。翻訳があるから外国でも言葉も通じるしな。んじゃそっちも気をつけて)


 そこで念話を終えた。


「畜生……どうなってやがる、ヒカルはどこに行った……まさか王都に戻ってるなんてことはないよな……クーデター……いや、国外に向かったか……? 外交大使だから亡命先はいくらでもあるだろう。

 旅先で密約でも結んでいたか……とにかく、最重要の要注意人物だったかやっぱり」


 支配人グゥグゥ──ジングウジが言っていたことは正しかった。思ってるような善人ではない。どんな事情があるにしろ自ら募集をかけた警備の志願者を虐殺している事実は変わらない。


 すぐに合流は出来ないシルバ、今後の行動について頭を悩ませながら、まずはミアとの合流、そして情報交換が必要だろうと待ち合わせのポイントに移動を開始した。


 ブラックリスト勇者──残り16人。


 1名、カイト及びその仲間によって討伐成功。

 ファイルナンバー0『追放者ゼロ──一・零十(レイト・ニノマエ)

 被害者数:1007人


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