召喚された勇者たち
う、ぐぅ……。
なにがおきたんだ、?たしかクラスが光に飲まれてそれで……、
いまだに視界が回復しないまま、今の状況を理解しようと頭をまわす。とりあえず床に触れてみる。冷たい。学校の床とはおもえない冷たさがある。例えるなら大理石でできた床だな。大理石の上のったことないけど。てかやばいなほんとに異世界転生なんじゃね?いや、クラスごとだったら転移か、目は見えない、耳も聞こえないけど、俺はあまり焦っていなかった。ここが異世界なのだとしたら前世に未練があるなら碧ぐらいだ。妹も同じクラスだったからあの光に包まれてこっちにいるだろう。てかいつになったら目と耳戻るんだよちょっと不安になってきたぞ、。
[_____________]
ん?
なんか聞こえてきたぞ?
[_____________こそ]
耳が回復してきたのかな。だんだん周りの音が聞こえるようになってきた。
[______ようこそ異世界から召喚されし勇者たち!]
……!やっぱり異世界か!長年のオタ活のおかげでこーいった展開には覚えがあるぜ。俺みたいなさえないやつがこっちの世界で無双するんだ。楽しくなってきた。今まで見下してきたやつらに目に物見せてやる機会がやっと訪れた!
ただ、俺の目はまだなおらない。声も出せないな。妹は無事かな。妹と二人で冒険ってのもいいかもなぁ!
そんなふうに頭を妄想にフル活用していると、周りから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
[こ、ここは、異世界ってやつか、?]
[えー急になにぃ?てかなんもみえないー]
[な、なんだなんだなにがおきたってんだあ、ガハ、ハ]
っち、最初に聞こえるのはこいつらの声かよ。すると周りからどんどんクラスのやつの声が聞こえてきた。
[なにこれ、]
[映画の撮影かなんかか?、]
[なわけねーだろ、こんなことってあんのかよ、]
[怖いよお]
[いやいやありえないだろ]
[うんうんなんかのドッキリだよきっと!]
[てかなんも見えないんだけど、]
みんな困惑してる。そりゃそだよな。いきなり日常からひきずりだされたんだ。
[立香こわいよ、どこ、?]
[奈緒!大丈夫、場所はわかんないけどそばにいるわ]
妹と妹の友達の声がする。よかった安心だ。
[おいおいおいなんだなんだなにがおきた先生は責任取らないからな俺はなにもしらないからな!]
こんな時でもカスは保身にはしっている。ほんとにカスな教師だ。
[召喚されし勇者たちよ!じきに目は見えてくるだろう!安心したまえ!いやしかし、なかなかに面白いものが混じっていますなあ]
異世界側の人のが聞こえる。優しげな声だ。しかしどこか恐ろしいものがはいっている。すると体に何かが触れる感触があった。これは手か、?
[大賢者様、!おはなれください!そのものは明らかに人ではありません!]
[なに、恐れる必要はない。転移中になにか混じったのだろう。しかし、あまりにも異形、さしずめ蜥蜴男か?]
なんの話しをしてるんだ?異形?トカゲ?まったく話が分からない。
[ふむ……召喚する時、本人が大切に思うもの2つをともに異世界からもってくることができ、こちらの世界での能力を授かり、神器となるのだが……その力でこうなってしまったのか、?]
異世界、つまり現世から2つ大切なものを持ってこれているのか。俺は何を持ってきたのだろうか。
目の光が薄くなってきた。目が慣れてきたようだ。しかし、声がでない。出し方はわかっているのになぜか口から声がでてこない。
[あ、目が……!?ひっ!、?]
横から委員長の声がした。何かに怯えるような声だ。何を見たのだろうか。俺もみたい!
[っひ、か、怪物!?]
[バケモノだあ!!]
[こ、ここ殺される、]
なんだ?みんな怯えがすごい。目が見え始めてからみんながなにかを怖がっている。やばい。もしとんでもない化け物がいるとして、目が見えない状態で襲われでもしたら勝ち目は一切ない、てか俺の周りから悲鳴が聞こえるってことはそばに化け物がいるってことだ。早く治れ、俺の目、!
[聖女さまがまいられるぞ!!]
傭兵の声がする。あれ、化け物は?化け物がいるんじゃないのか、?クラスメイトは何をな怖がっているんだ?ていうか聖女!?異世界の聖女って言ったら、絶対かわいいじゃねーか!色々起こりすぎて感情がおいつかない。
[お出迎えが遅くなってしまい、申し訳ありません。私は聖女、アリシアです……勇者の皆様方、突然召喚してしまい申し訳ありません、しかし、この世界を救えるのは異世界から来た勇者、あなたたちだけなのです。どうかお力をかしてはくれないでしょうか……]
聖女の声がする。絶対かわいいじゃねーか!早くみたい!だんだん目が慣れてきたきがする、もう少しだ!
[かわいい……]
[ほんとに人、?]
[お人形さんみたい……]
余程の美人らしい。くっそ、化け物よりも聖女が見たい……!
[ど、どうも!こいつらを取り仕切ってるのが俺なんですが、!あ、俺ぁ和夫って言います!勇者を代表してこちらこそお願いします、!むしろ召喚されて光栄ですよぉ、へへへ、]
カスの声がする。早速擦り寄っているようだ。気持ち悪いなほんとあの教師。すると聖女が話し始めた。
[あら、あなたが勇者様がたの代表の方なのですね。しかし、勇者様がたの中に1人━━━━━━]
[━━━━━━異形の怪物がまじっているようですね]
聖女がそう言った時、俺の目が見え始めてきた。やっと見え始めた異世界。俺の周りで怯えているクラスメイトたち。妹の立香は少し距離をとって俺を見ている。聖女にすり寄るカス教師、あの白くて長いローブらしきものを着ている老人が大賢者だろうか、?
そしてこちらを見ている聖女と目が合った。なんで俺を見てるんだ?ていうか化け物はどこだ?どこにも見当たらない。
聖女が俺を見ながら言った。
[異形がめざめたようですね]
異形、?俺は自分の体を確認し始めた。腕や体を触ってみる。こんなゴツゴツしていただろうか?それに筋肉というより、これは碧のウロコににた感触がある。次に手を見た。見慣れた手、しかし俺の手ではない。この手は、碧の手だ。長い指鋭い爪。お世辞でも人の手とはいえない。そしてお尻の方に今までになかった感触がある。足が3本あるような感覚になる。俺には尻尾が生えていた。
[グァ……!?]
俺は驚いて声をだしたが、おかしい。俺の声では無い。そもそも声というより、これは鳴き声、?たしか、大賢者が異世界人が転移してくる時、本人が大切に思うもの2つがついてくると言っていた。たしかに碧は大切だ。俺が生きていられたのは碧のおかげと言っても過言でもない。つまり、俺は転移中に碧と混ざってしまったということか?意味がわからない。俺は前世ではいじめられ、こっちの世界では異形として生きなければならないのか?
[ひぃっ!?しゃ、しゃべったあ、!]
[う、うわあうごきだしたぞ!]
[きゃあああああああ!]
周りから悲鳴が聞こえる。
ち、違う!俺は怪物じゃない!くそ、しゃべれれば、!せめてしゃべれれば俺のことを伝えられるのに、!
[あらあら、勇者様方、こちらの異形は仲間では無いのですか?]
聖女が話し出した。
[ち、違う!こんな化け物しらない!]
[そうだ!クラスメイトは全員いるぞ!]
みんなが俺を否定シだした。は?全員?まってくれ俺がいないじゃないか。
[ふむ。ではせっかくですのでこの怪物を使って魔法を見せるのはどうでしょうか聖女様]
大賢者が言い出した。何を言っているんだ?お前らが召喚したんじゃないのか?怪物って俺のことか?
[そうですね。それがいいかもです。この世界の魔法を見せるにはちょうどいい機会でしょう]
おい。おい待ってくれ。ふざけるな。なんで召喚されて早々、実験台にされなきゃならないんだ。
[待っ、待ってお兄ちゃんがいない!]
妹の声がする。妹を見る。目が合った。
[お兄ちゃん、なの?、その眼鏡、お兄ちゃんの眼鏡だ!]
妹が言った。俺眼鏡かけてるのかトカゲの見た目で。俺は妹に手を伸ばした。
[リッヅガ、…オレダァ、ア]
[……ッ、ひっ]
妹が距離をとった。やはり、妹からみても、俺は異形だったようだ。
[尾切、なのか?]
[そういえば、いない、]
クラスメイト達もきずいたようだ。よかった、。
[おや?お仲間なのですか?]
[……]
[……、]
誰も喋らない。なぜだ?俺だとわかっただろ、?なんで、誰も肯定しない?
[……う]
[?何か言いましたか?]
[……違う]
[こいつは仲間なんかじゃない]
……は?
[そ、そうだ!しらない!]
[俺もしらないぞ、!]
[わ、私も!]
[こんな怪物が仲間なわけないだろ!?]
え、は?待ってくれ。え?なにをいってるんだ。
[あら、やはりそうなんですね!]
聖女が笑う。待ってくれ、あんたも今のやり取り見てたろ?ならわかるだろ!
[では私の取っておきの魔法、【転送魔法】をおみせしましょう!]
て、転送?
[あら、大賢者様。転送ということは、〈迷宮〉ですね?]
迷宮、?俺は今転移してきたばっかだそ!?
[そうなりますなあ!さらに今回はS級迷宮、〈廃棄迷宮〉にしようと思います]
[あら、それはまた非道なことをなさいますね大賢者様]
……
[た、頼む!そこでいい!]
[早くこの怪物をどうにかしてくれ!]
……。
こいつらは、もう俺をどう殺すかしか考えでいないみたいだ。声もだせない。もう何もできることは無い。生きれる可能性は、もうない。
〈━━━━━━━━━絶望、怒り、悲しみ、を感知〉
〈これにより初スキル【狂化】を習得します〉
〈スキル【狂化】を実行しますか?〉
、?なんだこれ、初スキル?
【狂化】
全ステータス10倍、巨大化、経験値3倍、知能低下、竜種の場合のみ知能低下の影響が1/8
説明
この世の不条理に怒りを示すモノ、立ち向かわんとしたモノ、狂うことに身を委ねたモノのみに与えられるスキル。
……そうか。これが俺の初スキルか。もちろん使うさ。
クソどもがっ!いまぐちゃくちゃにしてやる!!
[……ほう?]
大賢者が笑う。
[……あらあら]
聖女が微笑む。
[な、デカく!?]
[き、きゃあああああああ!]
[たすけてぇ!]
ゴミの悲鳴。
[グァ、グガアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!]
そして俺の叫び。
目線が高くなる。気持ちがいい。気分がいい。
[ふむ。面白いスキルだが、基礎力がたりない。]
[〈拘束魔法〉]
……!?
大賢者の魔法1発で、俺は動けなくなった。クソ、クソクソクソクソクソクソッ!!なんだよ!全然じゃねーか!俺は!なんのために、!
[グッ、ガアアああああああ]
叫んだところでだ。何も変わらない。
[は、っは!なんだ雑魚じゃないか!]
[ビビらせやがって、!ガハハ、ハ!]
やな奴の声がする。ムカつくムカつくムカつく。
[では、転送まで5、4、]
[待っ、待っておにいちゃ、!]
あぁ、立香。お前は幸せにいきろよ。
[3、2、]
立香以外の、ここにいる俺を否定したヤツら、ゼイ、インっ!
[1━━━━]
[死んジマえッッッ!!!!!!!!!!!!]
俺は異形を見る蔑んだ目に囲まれながら、地獄に叩き落とされた。