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第4話:エロの権化

 白花那姫神の目には涙が浮かんでいた。

「お願い。嫌……こっち来ないで」

 いや? 別に俺、近寄ってないんだけどな?

 色々と頭の残念な子だとは思っていたけど、こうも露骨に美少女に嫌悪感をぶつけられると、流石に心が痛い。


 と、俺達の目の前に浮かんでいた【服従させる魔法】【発情させる魔法】【絶倫になる魔法】【衣服消滅魔法】【衣服変更魔法】それぞれの文字が俺の体に吸い込まれていった。

「ああっ!? スキルがU沢さんに定着しちゃいましたっ!」


 うわ? 何この感覚? こんなの俺知らない。

 例えるなら、新しい感覚が目覚め、拡張されたような。そんな感覚。

 いや、決して新しい性癖を知ってしまったときのような経験とは違う代物だよ?


「先輩っ! 先輩っ! お願いです。助けて下さい~っ!」

 半狂乱になりながら、白花那姫神はスーツからスマホを取り出し、電話をかけた。

 あー。そっかあ。ここでもスマホとかあるんだ。とか思う。


「どうしました? 白花那姫神さん? 何かトラブルでも?」

 白花那姫神は、突如として現れたスーツ姿で眼鏡のお姉さんに抱きついた。

「先輩っ! 助けて! このおじさんが私にえっちなことをしようとしてくるんですっ!」

「なっ!?」

「なぁっ!?」


 とんでもない事言いやがったこの少女。

 きっ、と眼鏡のお姉さんが俺を睨んでくる。

 違う違うと、俺は大慌てで手を横に振った。


「どういうことですか?」

「どうもこうも? 俺はただ、何『も』しようと――」

 してないんだけど? と、続けようとしたのだが。


「『ナニをしようと』っ!? 何て破廉恥なっ! しかもこんな小さな女の子に。この変態っ! ロリコンっ! 変質者っ! 恥を知りなさいっ! それでも大人ですかっ!」

「うえ~ん。先輩~っ!」

 もうやだ。こいつら。

 俺は大きく溜息を吐いた。


「だから、思いっきり誤解ですって。ただのその子の被害妄想です」

「誤解? どういうことですか?」

「ああ、さっき異世界転生で使うスキルとかいうのを与えられたんですけどね? そこから急にその子、こんな感じになっちゃって」


「スキル? どういうことですか? 白花那姫神さん? 私に説明して下さい」

「はい。これを見て下さい」

 白花那姫神は手にしたスマホを操作し、その盤面を映した。

 何が映っているのかは知らないが、察するにおそらくは俺のスキルとかそういった管理情報が載っているんだろう。


「【服従させる魔法】に【発情させる魔法】に【絶倫になる魔法】に【衣服消滅魔法】に【衣服変更魔法】っ!?」

 ぎゅうっと眼鏡のお姉さんは白花那姫神をより強く抱き締めた。

「この。変態っ! 変態っ! 変態っ! 変態っ! 変態っ!」

「勝手にそんなスキル与えておいて、人を変態呼ばわりするんじゃねえっ!」


 「くっ」と唸り声を上げ、眼鏡のお姉さんは何かを決意したような表情をこちらに向け、白花那姫神から腕を離した。

「わ、分かりました。あなたの薄汚れた汚らしい欲望は、すべて私が受け止めます。ですから、お願いします。この子、白花那姫神は見逃してあげて下さい」

高美蔓姫神(タカミツルヒメ)先輩。それって――」

 高美蔓姫神と呼ばれた眼鏡のお姉さんは、優しげな微笑みを白花那姫神に向けた。


「先輩。だもんね。仕方ないわ。後輩のフォローは、先輩がするものだもの。頼りない先輩だったかも知れないけど」

「そんなっ! そんなことありません。私、ここに来たばっかりだけれど、先輩にはいつも優しく仕事を教えて貰って。だから、だから――」

「うふふ。そう? ありがとう。そう言って貰えると、嬉しい」

「おいお前ら? 何勝手に微妙にいい話っぽい空気を作ってんだよっ!?」


「先輩、一体何をする気なんですか?」

「ナニをする気なのよ」

「うん、でもその台詞で完全にぶち壊しだよっ!? 滅茶苦茶シリアスな顔と口調で言ってもダメだからな?」


「さあ、早く逃げなさい。白花那姫神。今からこの彼女いない歴〇〇年のおっさんは、長年溜め込んだ鬱屈した性欲で私を汚そうとするの。手始めに『服従させる魔法』で身動きが取れないようにして、それから『発情させる魔法』を使うわ。そんな魔法を使われたら、私はきっと『あうんっ❤』とか悩ましげな悲鳴を上げて、お腹の底が熱くなる未知の感覚に困惑するの。そして『こんな魔法なんかに絶対負けない』『体は許しても、心だけは』『耐えなきゃ、耐えるのよ』と言い聞かせる私を見下ろしながら、おっさんは粘っこい好色な視線を向け、私を視姦するの。それから『ぐっへっへ』と笑いながら、抵抗の出来ない私の敏感な場所へと手を伸ばして――」

「いや止めて? そういう話は股間に効くから?」

 聞かされると、変に意識しちゃうじゃないかと。


 というか、この高美蔓姫神とかいう眼鏡のお姉さんも美人だし。見た目の年齢は二十代半ばくらいだろうか?

 スタイルも悪くない。全体的にほっそりとしているくせに出るところは出て、括れるところは括れているという。


 俺もなあ、あと〇年若ければなあ。あと、社交性とか度胸とかあればなあ。心密かに想って、思いあまって告白とかしていたかも知れんけど。

 でも、最初は知的な雰囲気を感じたけど、中身は痴的かもしれんなこれ。

 つか、頼んでも止めてくれねえし。


「――そうやって、全身を撫で回し、私は全身が性感帯になった様な錯覚を覚え始めた頃に言ってくるの。『どうした? 大分、発情しているのが隠しきれないようだなあ』『吐息が随分と艶っぽいじゃないか』『発情したその顔、そそるぜ』って」

「そんなっ!? もっと気を強く持って下さいっ!」

 白花那姫神の声に、高美蔓姫神は弱々し首を横に振る。


「いいえ、もう無理。そこが限界なの。全身の淫らな疼きが止められなくって、心が折れそうになってる。そんな私の心の中を見透かしたように、おっさんは言うの。『どうした? そろそろ欲しくなってきたんじゃないか?』って。私はもう、思わず『はい』って言いそうになる衝動をぎりぎりで踏み止まりながら、ただ無言になるしかなくて。そんな私の様子に、おっさんはにやりと笑うの。『そろそろ、頃合いだな』って」

「まさか?」


「ええ。今度は衣服消滅魔法を使って、私の服を消すのよ。私は羞恥心で、益々顔を赤くするわ。けれどもう、抵抗は無駄だって分かりきっているから、顔を背けながらも、生まれたままの姿を隠すことはしないの」

 個人的には、この手で脱がす方がよりエロスを感じると思う。


「そんなあ」

「おっさんはわざと私の敏感になった箇所を避けるように、つぅっと腹や背中を指でなぞって、愛撫して。そんなもどかしい刺激にすら、私の興奮は益々高まっていって――」

「ああっ!?」

「私は『お願い。せめて、神々しい演出用のスモークをもっと濃くさせて下さい』って懇願してみるものの――」


 あー、この白いもやもや。演出用のスモークだったのか。

 というか、マジでいい加減止めてもらえんかなこいつら?

 延々と、時折色っぽい喘ぎ声も交えてそんな話聞かされると、本気で息子が反応しそうになるんだけど? 適当に素数を数えながら、誤魔化しているけどさ。


 正直言って、こいつらの方がよっぽど頭ピンク色しているんじゃなかろうか? さっきから何なのその官能小説もびっくりな展開と描写。

 話も大分進んで、とうとう「濡れぼそった肉襞」とか「こじ開けるように」とか「肉と肉がぶつかり合う乾いた音」だとか「ぐっちょりと粘り気のある淫らな水音」だとか「乱暴に抉り突かれる度に、全身を電流が駆け巡るような」だとか「一匹の雌に落ちた嬌声」だとかいう表現が出てくるようになったんだけど。

 うん。マジで股間に悪い。


 俺そっちのけで、随分と余裕かましてエロ妄想を繰り広げる二人に半眼を向けながら。

 俺はいい加減、「もういいかな」という気になってきた。

 犯っちゃおうかなあ? この高美蔓姫神とかいう眼鏡のお姉さん。つーかさ。これもう誘ってるよね? 思いっきり誘っているよね?


 男のえっちな本能をこれだけ煽っておいて、誘っていないとかもう許されねえぞ?

 一度「分からせる」必要、あるよなあ。

 そんなにもお望みなら、延々と聞かせてきたえっちな話を再現して、ひいひい鳴かせてやる。おっさんの性欲を舐めんなよ? 若い連中の青くて情熱溢れた行為とは違った、ネチっこくてしつこいスケベを見せてやるっ!


「あ~っ!? 先輩。U沢さん、私達の話を聞いて、今絶対にえっちなこと考えてますよっ!?」

「これだから、男っていうのはっ!」

 あーそうだよ。男っていうのはさあ。所詮こういうもんなんだよお。

 覚悟しろよお? げっへっへっへっ。


「あ、そうだ先輩?、取りあえず、さっさとU沢さんを転生させてしまうのってどうでしょうか?」

「食らえやあああぁぁっ! 服従――」

「それもそうね」

 その瞬間、目の前の光景が一変した。

【キャラ紹介?】

高美蔓姫神:漆沢刀也が昔書いて封印した小説の登場人物。久しぶりに掘り起こしたら何かやさぐれてた。

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