表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/20

第11話:英雄の帰還

 白いスモークが炊かれた空間に、俺は戻ってきた。

「お帰りなさい。お疲れ様でした」

「おう」

 それだけ言って、俺は大きく溜息を吐いた。


「凄い活躍でしたね。今度も数ヶ月であの魔王を倒して世界に平和を取り戻すなんて」

「ああ」

「あの異世界の人達もとても喜んでいましたよ。感謝しているって言ってました」

「おう」

 今回もそれ、俺は直接聞いてないいんだけどな? まあ、仕方ないけど。


「でも、大変でしたよね?」

「まあな」

「特に、魔王のテンプテーション攻撃。ドスケベなU沢さんには効果覿面だったみたいですし」

「あれは、禁欲生活が長かったからだって言ってるだろがっ!」

「え~?」


 「またまたご冗談を」みたいにひらひらと白花那姫神が手招きする。

 こいつ、本当に人の話を聞かないよな。

 ちなみに言っておくが、俺はマジで何もしてない。


 確かに、魔王は手強かった。あの世界で久しぶりに見たまともな(?)女性型の敵だった。角が生えていることや耳が尖っていることを除けばかなり人間に近い姿だった。しかも美人。ちょっとケバめだったけどすっげえ美人。巨乳で美乳。おっぱいっ! おっぱいっ!

 そんなのが、俺の発情魔法や服従魔法ほどでは無いにしろ、テンプテーションを初手から使ってくるのだ。そんじょそこらのサキュバスとは桁違いの魔力で。そりゃ、シールドも少しは突破されて、こっちかて屈しそうになるわと。


 で? どうなったかって?

 機体が俺の精神状態的にヤバいと判断したのか、自動モードに切り替わった。んで、後は血も涙も無く淡々と愛機が魔王を片付けてくれた。

 木っ端微塵に、ミンチよりひでぇやという状態にまでしてくれた。わー助かる。

 いや、決して残念だとは思ってないよ? 思ってないからな? どうせあれも病気持ちみたいな感じだったんだよ。期待なんてしてなかったもん。あれ? どうして俺? 涙が零れてるんだろ? 違うよ。これは心の汗だよ?


「まあ、それはともかくとして、今回の異世界転生は小説のネタにも使えるんじゃないですか? あんまり、服従魔法も使わなかったみたいですし。スリリングな戦いを繰り広げていたじゃないですか」

「んー。微妙かなあ」

「ええ? どうしてですか?」


「確かに前回は流石にチート過ぎたから、もう少し見せ場の参考になる経験出来るかなって服従魔法を制限して挑んだよ? 実際、前回よりは歯応えがある感じで魔王討伐していたと思うよ?」

「じゃあ、何が問題なんです?」

「パターンがなあ、少ないかなあって」

「パターンですか?」

 俺は頷いた。


「そりゃあさ、大昔の……何というか、ダイナミックな感じのロボットアニメは難しいこと考えなくて力と力のぶつかり合いで、最後に必殺技を使って逆転勝利とか。取りあえずビームぶっ放しまくって、適当な台詞言い合っている間にどこかのタイミングで攻撃当たればよかったけど」

 あくまでもU沢の個人的な感想です。独断と偏見が大いに混じっている可能性あります。と、心の中で断っておくが。


「今はもう、そんな時代じゃないんだよね。敵の特殊武装とか性能とか作戦とか、そういうのを見極め、駆け引きの上で倒すっていう時代なんだよね。戦闘に中身が求められるというか。そもそも、ロボットものが廃れているというのもあるけど」

「はあ」

 あくまでもU沢の個人的な感想です。独断と偏見が大いに混じっている可能性あります。と、もう一度心の中で断っておくが。


「それで考えると、ちょっと攻略パターンが少なすぎるかなあって。基本的に、まずは遠距離攻撃で雑魚を蹴散らして、そういうのに耐性ありそうなのは近接戦闘で片付ければよかったし。そのまんま書いても、またこのパターンかって飽きられるかなあと」

 中には、色々と装備した魔物もいたけど。そいつらも衣服消滅魔法を使ったら、文字通り丸裸に出来たし。


「じゃあ、それこそ作戦が必要な敵とか考えたらどうです?」

「生憎と、その手のネタがポンポンと思い浮かぶほどこっち方面の引き出しが無いのよね俺。結構勉強しないと、すぐにネタに詰まりそう。逆に、そういう意味では、一度勉強したら補えるものはあるかも知れんけど」

 どっちみち、この経験をすぐにネタにするのは難しそうだなあと。


「というわけでさ。俺、さっさと帰りたいんだけど。生き返らせてくれない?」

「そうですね。では、お疲れ様でした」

 白花那姫神が言い終わるや否や、俺の視界は暗転した。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 気がつくと。俺は自分の住む部屋に戻っていた。

 目の前のモニターには、見覚えのあるブラウザゲーのえっちなシーンが映し出されていた。

 俺は無言でその画面を閉じる。


 そして、ドライブの最上位から、一見すると何て事の無いフォルダの奥へと移動していく。目的地は「幻想」フォルダだ。

 そこにナニが保存されていて、俺がナニをしようとしているのかは、説明しないが。

 もう、マジで限界なんだよっ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ