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君に××をかけられて  作者: 山田 ミキヒサ
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第4話

俺の読書的スローな日常は続いていた。


久能さんと一緒に本を読むのも、おやつを共にするものいつの間にか慣れていた。


「ちょっと暑いかも、セーター脱いじゃおっかな」


学校指定の袖のない白いセーターを脱ごうと、久能さんは裾に手をかけ、一気にたくし上げた。


「んん゛!?」


「わ、どうしよ! 脱ぎ方間違えたかも!んーー!」


顎で引っかかったのか頭で引っかかったのは分からないが、襟元が詰まって中々脱げない。


時折、臀を浮かせて勢いをつけるも中々脱げない。

ポンポン弾んでいる彼女を呆然と見るしかない俺は、正直目のやり場に困った。


すごい勢いで、乳が上下に揺れていたからだ。


教えてあげた方がいいだろうか、いや、そんなこと言わなくて全然いいはず。



すると、次の瞬間。



ッパパン


胸のボタンが2つ飛んだ。


カッターシャツの隙間から垣間見える下着と胸の谷間に、俺は目を泳がせたり、逸らしたりすることが出来ず、思わずガン見してしまった。


弾けたボタンは見える位置にあるので、落ち着いたら拾いに行くとして......。


この状況、どう打破する?

いや、逆にずっとこのままでもいいけど。


久能さんはまだポンポン弾んでいる。


「ちょ、それじゃあ破れるから!」


我慢ならないと、久能さんの肩を掴んで、弾むのをやめさせ、停止させた。


「ええ〜〜!でも去年も着れてたのに!」


「逆にもう脱がなくていいんじゃね」


「確かにそうかも、って、こんなことしてたら余計暑っ...」


そう言いながらも、久能さんはゆっくりとセーターを気直した。


「私、進級してからセーター初めて着るかも......。今日は少し風が冷たいってテレビで言ってたから」


「そ、そうなんだ。ちょっとまた去年より成長したからきつくなったんじゃね?着れたのに脱げないってたまに俺でもあるし」


「んー?それって、私が少し太ったって言いたいわけ?」


「あ、いや、そういう訳じゃなくてだ! 」


「じゃあなに!」


「普通に、まだ成長期だし、な」


目のやり場に困ったこととか、ボタンが弾けたことは今は黙っておこう。

久能さんをそっとなだめて、クッキーを口にした。



***


ある時、久能さんから相談を受けた。


「うちの部を見学したいっていう子がいるみたいなの」


わざわざ違うクラスの俺の所まで、昼食の時間を使って来てくれた久能さんにクラス全員の視線が集まる。


「そうなんだ。いいんじゃない?」


「女の子なんだよね、一宮くん、ハーレムになっちゃうじゃん」


ムッと頬を膨らまして話す久能さんに、机でだらけていた俺はパッと起き上がった。


「別にそんなことねえだろ!普通に一緒に本読める仲間ができるし、いいことが多い!.....と思う」


「ふーん、ま、私も一度彼女には会ったし、いい子そうだからいいけど。浮気しないでよね」


「だ!?!!」


クラスの男どもの視線が痛い。痛すぎる。

久能さんはまたねとひらりと手を振って、自分の教室に戻って行った。


付き合ってもいないが、あんな久能さんの不意打ち発言に悶えながら、次の教科の準備をするさ中、


「一宮ああああ!!! 全部聞いてたぞ!! どうなってんだよ罪な男め!!」

「女子がもう1人増えるってまじかよ!?」

「ハーレムって単語が聞こえたぞ!!」


「ふ、一宮はな、この前、俺と遊びに行った時も、女の子ナンパしてたんだぜ!」


「えええええ!!!!」


「ちが、あれは!! 」


「一宮くん、今ナンパしたって聞こえたんだけど......」


「く、久能さん! 違うって! さっき教室に戻ったんじゃ」


「こいつ久能さんの存在がありながらな〜」


「まだ物足りないってか?」


「だから、お前らいい加減にしろーーー!!」



***


一人一人に全て丁寧に説明し、事なきを得た一宮は、久能よりも先に部室に来ていた。


「あれ、鍵空いてねえな」


何度か戸を開ける動作を繰り返し、仕方がないなと久能の到着を待つことにした。


「あ!一宮くん! この子だよ!」


「お〜」


久能は、青いリボンネクタイをつけた、トイプードルのような茶髪でふかふかの短いウェーブ髪での女の子を連れてきた。


青いリボンネクタイということは、彼女は1年生だ。


身長が低く、一宮は少し屈んで挨拶をした。


「はじめまして、一宮真央です。君、1年生だよね」


「 ! 」


「まあ!」


1年生は久能の後ろにパッと隠れた。


「一宮くん、背が大きいから怖いんだよ、きっと」


「ええ? そうか...?」


久能の後ろからそっと一宮を見上げる彼女は、初めて家にやってきたような子犬そのものだった。


「名前は?」


一宮が名を聞いても、彼女は答えず、口を噤んだ。

その様子が、なんとも言えぬ可愛らしさで、一宮の口角は緩んだ。


「え! 一宮くん、そんなに怒らなくても!」


「ん! 怒ってるように見えた!?」


「......うん」


彼女の名は、霧島 月美といった。

もし誤字脱字してたら優しく教えて下さい

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