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プロローグ
白いカーテンがなびいた。
なんでもない休日に、小さなケーキを家族分だけ購入し、小さなお茶会を楽しんだ。
「何ぼーっとしてるの?」
「え?あ、いや。高校時代のことを思い出してたの」
「そっか、高校時代の莉々も見てみたかったな」
「そう?ま、今と負けず劣らず可愛いわよ」
「いいね」
夫は私の口周りに着いたクリームを親指で拭った。
結婚して3年。
大型連休に旅行に行ったり、毎日の夕食を共にしたり、そんなパートナーが私にはできた。
乱暴じゃないし、年上で余裕もあるし、貯金もある。
私のこれからは、これから始まる。
たくさんの私と何かで構成されている世界に満たされながら、命尽きるまで。