表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

19.学園3

 いつの間にか戻ってきていたアマネが俺たちに声をかける。


 「カンジさん、ヒミカさん、そろそろ時間なので移動してください」


 俺たちはただ学園に遊びに来たわけじゃない。イベントに出演しに来たのだ。といっても大したことをするわけじゃない。ただヒミカと戦うだけのことだ。


 俺とヒミカはイベント会場へと移動する。そこは石畳でできたステージで、ここで戦うらしい。別に石畳から場外に出ても負けにはならないが、まあ出ることはないだろう。


 「カンジ、いよいよだよ、楽しみだね」

 「そうだな、でも俺じゃヒミカとは勝負にならないと思うんだが、いいのか?」

 「とにかくカンジは全力を出してくれればいいよ」

 「わかった、そうするよ」


 そうして、俺とヒミカの試合が始まった。



 俺は思い出す。

 そういえば前にもヒミカと戦ったことがあった。

 あれは、宙藤(そらふじ)莞爾(かんじ)たちが11歳の時だ。

 さっきの少年たちのように、派手なスキルが使える試合だった。

 でも宙藤莞爾は、頑なにスキルは使わずに、槍斧(ハルバード)を振るい続けた。

 かなり粘った試合だったが、ヒミカの放った派手なエフェクトを伴う攻撃を捌ききれず、宙藤莞爾は敗北した。

 試合の後、ヒミカは宙藤莞爾にこう告げた。


 『カンジ、次は絶対に負けない。必ずわたしが勝つからね』


 宙藤莞爾は言葉を返さず、ただ去っていくヒミカを見ていた。



 俺の意識が現在に戻る。

 俺は、かつての宙藤莞爾に追いついただろうか。

 いや、そんなことはどうでもいい、ただ槍斧を振るうだけだ。

 ヒミカの攻撃は速い。俺の攻撃は全て弾き返される。だが、それに何を思うこともない。槍斧を振るえばいい。


 どれだけの時間が経ったのかは分からないが、終わりは必ず来る。

 攻撃の出鼻をくじかれ、俺は体勢を少し崩す。

 気付けば、俺の胸元にヒミカの大剣が突きつけられていた。


 「参った、ヒミカ、俺の負けだ」


 そう俺が告げると、ヒミカは俺に微笑んだ。

 よく見慣れているはずのヒミカの笑顔。そのはずなのに、俺はヒミカの笑顔に目を奪われていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ