初めての対談(戦隊Side)
「誰か出てきましたわ!!」
超獣王の中でピンクがそう言うと、残りの四人もその人物を見る。
それは、黒色の外套に身を包んだ黒髪で吊り目の男性。
「……日本人?」
「油断するなレッド!! あんなものに乗ってるんだ! ただの人間なわけねぇ!」
「グリーンの言う通りだ、クフィルの後に現れたんだ油断するな」
出てきた人物を見て呆然としていたレッドを、グリーンとブルーが叱責する。
「あ……あぁ、わかってる」
叱責された事によりレッドは、気を引き締め頷く。
「博士! 彼の解析結果をください!」
「『もうやってます! もう結果が……え!? 嘘でしょ……』」
「博士?」
「『解析不能! いえ、正確に弾かれた!! この私の技術が!?』」
「「「「「なっ!!」」」」」
博士のまさかの発言に、レッド達は驚愕する。
博士こと橘 可憐(28歳)は、この世界の五本の指に入る技術者である。その若さで様々な国からスカウトを受ける天才技術者である。
その専門は解析系の技術で、超獣王から送られるデータを元に『クフェル』達の生体などを解析する事や、レッド達の体調管理が主な仕事である。
「『気をつけて! 彼普通じゃないわ!』」
「「「「「りょうかーー」」」」」
「『へぇ……普通じゃ無いとは、随分失礼だな』」
「……え?」
突如聞こえた見知らぬ男性の声。何より不思議なのは、その声の発生源が、博士との通信機器だということだった。
「『そんな……嘘……嘘だ!! 私の通信システムは、超獣同士の意思疎通手段である超エネルギーを利用して作ってある! そのシステムをハッキングするなんて!!』」
困惑する博士の声。しかし、通信機器からは、再度男の声が聞こえてくる。
「『へぇ……超獣って言うのか、その魔導機人。なる程、それでか、何時もよりハッキングがやり難かったのは、お陰で少し手こずったな』」
ブルー達は、只ジッと。モニターに映る男と、通信機器から聞こえてくる男の声を聞くしかなかった。
「お前は誰だ!」
そんな中、レッドが声を荒げる。
「『さぁな。何とでも呼べ。俺はお前らに名を名乗る必要性を感じない。ただ俺はこの世界の事を知る為、少し話し合いをーー』」
男の話の途中で、通信器から、砂嵐が聞こえる。
「『よっしゃあーー!! ざまぁみろ! 私の技術力なめんなこの野郎!! あっ……コホン。聞こえてるかしら!? 何とかハッキングをブロックしたわ! でも、少ししか持たないからよく聞いて! 彼の体内から先程計測したエネルギー反応を確認したわ! 結論から言うと彼は人間じゃない! そういう事だから後はーー』」
博士は一息でそこまで言うが、最後の方は聞き取れず、通信が終わる。
「『なるほど……案外やるな。まぁ、このくらいなら直ぐにーー』」
「黙れ! 名乗らない奴にこちらから教える事なんて無い!」
「『そう噛み付くな。俺に争う気は無い』」
画面の男は首を横に振り、両手を上げていた。
「信じられるわけ無いだろ。お前は『クフェル』消滅後にいきなり現れたんだ。争う気が無いなら大人しく捕まってもらおうか」
男を睨みつけながらブルーは、そう言った。
「『お断りだ。話し合いに応じる気が無いなら、俺達は別の場所で調べるだけだ』」
そう言って男は、艦内に戻る為身を翻す。
「残念ですが、ここであなたを捕らえさせてもらいます」
ピンクがそう言うと、男の船を取り囲む様に複数機のミサイルを搭載したヘリが、ホバリングしていた。
「『ふ……ふはははははははは!! この程度で俺を捕らえられると思っているなら大間違いだ! 五和やれ』」
男の笑い声が聞こえると同時に、男の船から謎の真紅の光線が放出され、全てのヘリを撃ち落としていく。
一瞬の出来事に、ブルー達に動揺が走る。
「『じゃあな。もう合うことはないだろう』」
その声が聞こえると男の乗る船が上昇を始め、その姿が消えて行く。
「させるかぁ!!」
完全に消える瞬間。超獣王は跳躍し、手に持つ剣を男が居ると予想される場所に振り下ろす。
ガッキィィン!! と、紫色の不思議な模様が現れ、超獣王の剣を止める。
すると、消えていた船が姿を表し、男はこちらを向いて、やれやれ。と、首を横に振る。
「『クフェル』の可能性がある以上。お前は逃さない!」
レッドがそう言うと、ブルー達も頷き、超獣王は、剣を構えるのだった。