始まりの邂逅
「いくぞ! 必殺!!」
レッドの掛け声と共に、超獣王の全身は真紅に輝き、力を圧縮するように超獣王の胸元に存在するライオンの顔に集結されて行く。力が全て集まると、ライオンの目が輝き、口が開く。
そして、巨大な真紅の玉が出現する。
「「「「「獣王砲!!!」」」」」
ライオンが吠えると、真紅の玉は真っ直ぐに目の前の怪物へと飛んで行く。
「ギャァァァァアアアァァァァアアア!!!!」
ドッガァァァァアアアアンンンン!!
最後の断末魔を上げ怪物は爆発する。
「ふぅ〜。終わった……」
「お疲れ様レッド! 後は街を戻して終わりだな」
レッドが呟くと、背後からグリーンが肩を叩きサムズアップする。
「帰ったら祝杯ですね! 腕によりをかけて作らせて頂きます!」
「え! ホント? やったー!! ピンクのご飯は美味しいのよね!」
「イエローもピンクも落ち着け。まだ街の修復が残ってるだろ」
「そんなの何時も通り直ぐにーー」
「『緊急よ!! 先程の怪人が消滅した真上に未確認反応!! しかも結構でかいわ!』」
突如博士からの通信が入り、皆が視線を上に向けると、上空には、直径5キロにも及ぶであろう超巨大な黒い楕円形の球体が空に浮かんでいた。
「なんだ……あれは!!」
ゆっくりと球体は降下し、超獣王の前で静止する。
「どうするレッド。攻撃してみるか?」
「いや…ここは様子をーー」
「『球体の内部から高濃度なエネルギー反応!! 何よこれ! こんな、こんなエネルギー知らない! 何よこれ!!』」
機材の向こうで博士が頭を抱える中、黒い球体は卵の殻が剥がれるように崩れて行き、その中から、漆黒の艦船(良くアニメなどで見る空を飛ぶヤツ)が現れる。
「『みんな注意! 決して早まらないで!!』」
◆
「ん〜…………生きてる……せいこう……したの? ……はっ!! 皆大丈夫!!」
「うぅ……一乃ちゃん……五月蝿いよ…って…あれ?……生きてる? 成功したの? ハッ!! 三森起きて!! バルドラドを動かさなきゃ!!」
「五月蝿いのよ二葉。もう少し寝かせて……」
「寝ぼける場合じゃないよ!! そこの二人も起きてよ!!」
「「…………」」
「四季に五和もいい加減起きなさい! マスターの無事を確認してくる!!」
一乃が叫ぶと、眠っていた二人も、瞼をこすりながら目を覚まし、互いに顔を見合わせると頷き、操舵室から出て行く。
「二葉! 保護魔法陣の解除! 六花達のバルドラドとの接続及び緊急防壁の解除も忘れないで! 三森! いい加減起きてあたりの索敵!」
「今やってる……って、ここ何処? 何か真下に未知のエネルギー反応あるんだけど……」
「!! モニターに写して!」
「無理。防壁のせいで見えない」
「二葉!!」
「ちょちょ!! 一乃ちゃん! 今六花達を起こしてるから待って!!」
慌てて二葉は緊急防壁を解除する。
そして、モニターに映し出されたのは、何やら凄まじいエネルギー砲を魔物みたいな怪物に撃ち込んでいるカラフルな機械だった。
「スキャン開始……データ参照……該当データ無し! 完全な正体不明!!」
「ッ!! 艦を急上昇! 光学迷彩起動! 全力でこの場をーー」
「いや、『アイギス』とバルドラドの同調解除。艦を降下させろ」
一乃の指示を遮り、操舵室に四季と五和を引き連れ入って来た男は、新たに指示を出す。
「一乃は『アイギス』の方に集中。二葉は防壁解除に専念。三森、お前は他に反応が無いか探知に専念しろ。四季は六花達を起こせ。五和は万が一に備え艦を戦闘モードに移行させろ」
「「「「「了解。マスター」」」」」
指示を出すと男は身を翻し操舵室から出ていこうとする。
「マスターどちらへ?」
「船首でアレを間近で見てくる」
足を止め振り返り、男は一乃に微笑ながらそう言うと、操舵室から出て行ってしまう。
「へ? ……ちょ!! 待ってください!! マスターー!!」
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