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転生ライフオンライン〜ネタ枠種族の『ハードエルフ』はチュートリアルからハードモード。  作者: 末廣刈 冨士一
第二章 チュートリアルと愉快な仲間たち
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第13話…の前に。 NPC達の独り言〜アズミの場合〜

今回の視点は、ジン君のものではありません。




 「ぅ……ぬぅ……ぅうう〜ん。…もうすぐ昼か……あいつが来る。そろそろ、起きねばな。」



 私は夜型人間だ。朝起きるのが苦手だ。この時間に起きるのでさえ結構辛い。


 逃亡生活を余儀なくされた時期があったからだろうか……いや、そのせいに違いない。


 通常は危険とされる闇夜こそが、我が活動の時。


 『人目に付かぬ』という安心を得て初めて活動出来る。

 そういう(さが)が今もこの身に染み付いている。


 …未だ遭遇したことはないが、吸血鬼とかいう連中ももしかしたらこんな心境でいるのだろうか。……だとしたら哀れな。



「むう。少し片付けておくか……あいつが来る前に。」



 『あいつ』というのは『ジン』という名の子供のことだ。


 我が従兄弟(いとこ)にして憧れの君、スネル=ヒーン…『スネ様』の一粒種でもある。


 物好きにもこんな、森の奥にある不便な家に毎日通ってくる。通ってきては家政夫の真似事をして、私を『師匠』と呼んで機嫌を伺い、魔法知識の教授をせがむ。


 その時の目がスネ様の『正妻』、パッピーナのあの忌々しいほどあざといじらしい目と重なってイラッとするのだが、品のある鼻の尖り具合がスネ様に似てなくもないので断りきれず、こんな(ただ)れた関係が今も続いているという次第。…いや、爛れてはいないけども。


 まったく、惚れた弱みにつけ込みおって…母親(パッピーナ)と同じだ。油断ならぬヤツ…。父親(スネ様)と同じだ。ああ、罪な人…。いや、惚れてない。相手は子供だし、というより子供に罪はない。とゆーか私は今何か言ったか?……言ってないよな?


 実際あいつは、子供ながらも侮れない。剣聖の国、『アズマノコク』出身の私から見ても剣や体術の技だけを見れば一流に近い。


 まだ子供。おそらくだがレベルはまだ低いままだ。成人してレベルも相応になればどうなるんだアレ……想像するとなんだか濡れてくる。いや、汗でな。


 ハーフエルフであるので身体能力が乏しく、魔法に頼らざるをえなかった『エセ侍』の私だが、見る目には自信がある。


 奴はすでに純粋な剣の技なら私を超えているのだろう。もしかしたら『魔法や武技を使わぬ』という縛りがあったなら、あの、スネ様にさえ……


 ……あ。……そうだった。【()()()()()()()()()()()()()()あの強さなのだった。


 ぬう。なんたる恐ろしいガキか。あいつを見てると剣の才に思い悩んでいたあの頃の自分がなんだか馬鹿馬鹿しくなってくる…。


 …そうだ。今私が忙しく片付けているこの行動にしたっておかしな話だ。こんなこと、あの家政夫志願の天才にでも任せておけばいいのだっ。少しくらいは凡人の苦労を知ればいいのだっ。


 ……だが任せられない。私は魔法研究をする上で危険物を取り扱うことも多いからな。今はその危険物を片付けている。だがこれは相手が子供であることを考慮しての行動ではない。


 これは、相手が『特異なほど油断ならない子供』であることに留意しての行動なのだ。実際、あいつは危険物であればあるほど大胆不敵にくすねていくからな。全く太いやつだ……惚れ惚れとするほどに……イヤだから惚れてはいない。



「ふふ……本当にとんでもないガキ……」



 ……まあそういうわけだ。……だから決して『馬鹿みたいに実力が伴ってて将来有望な見目麗しい殿方の来訪を前に乙女の如くモンモンソワソワしている。』とか、そういうわけではない……だからそんな訳あるかッッ!ないと言ったらないんだッ!



 「……と、そろそろ来る時間か。」



 ……ヤツが、来る。私の魔法(からだ)目当ての(…?なんだか、我ながら不穏なるルビが……気の所為か。)なんとも不埒な子供だが、アレはスネ様の息子……まあ、歓待してやらんでもない。



 「…ぬ……。」



 歓待するならこの格好からしてなんとかせねばな。下着の上に大きめのYシャツ一枚だけというのは、子供には刺激が強すぎ……



 「……………ふん」



 な、何故、この、私が、あんな子供に、気を使わねばならないっ。うん、そうだな。相手は子供。であるなら、恥ずかしくもない。意識するまでもない。このまま正々堂々と誘惑……ゲフンゲフン……とにかく虎視眈々と待ち伏せ……ゲフン!ゲフンゴフンゴッヒュ…ッガハッゴホゴホゴハァァ……ッッ!……あ〜もう、気管に唾が入ってしまっ……もとい、正々堂々と待っていればいいのだ。…妖艷に…じゃない!泰然としてだっ……そう。大人の魅力、じゃなくて!大人の余裕をこれでもかと魅せつけ、いや、だから、見せて…その、ともかくだ!なんやかんやと見せつけてやればいいアレだっ!そう、魔法とかっ!しっかりしろ!頑張れ私ッッ!!





どれ、茶でも啜って取り敢えず落ち着こうか私。






   ズッ………








   ………………………























     …っブホゥッ!?








 っ誰だ今『ショタもイケるクチ』とか『青田買い』とか正鵠を射……もとい無礼を吐いたヤツ!出てこいっっ!











 ……いや『青髭ぼうぼう女男爵』とかはさすがに酷いな。言葉の意味はわからんがとにかくすごいやめてほしい。





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