第1話 「始まり」
いつもと同じようにゲームを起動し、「SILLA ALTER」を始めたはずだった…なのに、何故、こんなことになったんだろうか。
皆は無事なのだろうか。
「ん……、ここは」
そう言いながら私は目を開けた、見た事の無い程綺麗な空、見知らぬ場所、だけど一つだけ分かったことがあった。
「え…手が骨になってる…」
目を擦っても、もう一度寝ても醒めない夢、ついに私の頭が可笑しくなったのかと思うほどの衝撃だった。
「え〜と…なんでこんなことになったんだっけ…?」
と、こうなる前の事を思い出していた。
私は学生だ、私と言っているが女ではない、少し大人びた男子高校生である、私はいつもと同じようにゲームの電源を付け、ヘルムギアを頭に付けそして、「SEELA ALTER」の世界に飛び込んだ…。
はずだったんだが…。
「……ステータス((ボソッ…」
ブウォン
聞いた事のある効果音とともにステータスが、表示された。
「…種族、Overlord……まぁ、そりゃそうだな…(苦笑い」
種族、Overlord(不死の王)、これは下級種族スケルトンで進化をを繰り返し、いくつもの魔法を取得すると進化出来る特別な種族。
SEELA ALTERの世界では、私しか持っていない種族だ、全属性の魔法を使え、魔法耐性がとてつもなく高い種族。
「こうなってるって事は、外見はアンデッドなんだろうな…。」
少しの不安を心に入れて、歩き出した。
「あまり、違和感無いな、逆に凄い馴染んでる、やっぱり身体は覚えてるんだな…。」
そうして、歩いていたら道を見つけた、しっかりと石畳で舗装されている、その道の端に座り込んでいる人影を見つけた。
「ん?…おぉ!ディスペラード!」
そいつは聴いた事のある声で叫んだ。
「フューリー…か?お前もココに来ちまったんだな。」
そう、私が作ったギルド、「エルトネア」の1人、フューリー・ドラゴニア、こいつの種族は、ドラゴニュート・古代種 種類︰バハムート
最強の神龍であるバハムートの竜人。
「ディスペラード、お前は相変わらず変わらねぇな笑」
「そりゃ、当たり前だろ、この世界に飛ばされちまったんだから」
「俺はどうだ?カッコイイだろ!ニヤニヤ」
「ハイハイ、カッコイイデスヨ…」
と、会話した後に、2人で道順に歩き出した。
「そういえば、フューリー、フィアーは一緒じゃないのか?
さっきは一緒にいるって言ってただろ?」
「アイツか?アイツは、お前を探しに行ったぞ」
「は?」
気の抜けた声が私の口から吐きでたのを聞いた、フィアーとは会っていないことをフューリーに話した。
「そうか…なら。アレしかねぇな」
「アレ?」
「まぁ、俺に任せとけ!」
嫌な予感しかしない、こいつが任せろ、と言った時は嫌なことが起こるからあまり頼み事をしないのだ。
「ふんっ!!」
と、フューリーは、拳を掲げた。
「龍拳 ドラコショット!!」
フューリーは、スキルを発動させ、地面を殴った。
「ちょ、おま…?!何してるんだ!」
「これで、良いんだよ笑」
と、誇らしげにしているフューリーを少し殴ってやった。
「お、来たぞ」
と、フューリーは言い指を、指した。
その方向から、何かがすごい速さでやってくるのを見つけた。
「フューリーーー!!!!」
そう叫びながら来た奴はフューリーを殴り飛ばした。
ドゴッ
「ヒデブッ!!」
「ふぅ…」
息をついた人影は霧に囲まれたかと思うと、とても大きな髑髏になった。
「ディスペラ様お久しぶりです。」
「ああ、久々だねフィアー」
そう、こいつがフィアー・ハート、ギルド「エルトネア」の作戦参謀。
種族はスピリットキング 魂の王と呼ばれるゴーストの最高位種族である。
「おーい、大丈夫か?笑」
少しは心配してやるが、あまり心配する事は無いと分かっているためか、私は少し笑いながら呼んだ。
「ぶっはぁ!」
と、訳の分からない息の吸い方をした。
「まぁ、とりあえずお前らに会えて安心した、まずは街があれば、街に行きたいな」
私の提案に2人は、
「そうですね、一息つける場所を探さないと、と思っていましたので」
「お、俺もそう思ってたぜ…!」
そう言い同意してくれた。
広い草原、舗装された道を異種族3人のまったり旅、久々に外を歩いてる感じがした、そうして時々休憩を挟みつつ歩いていたら、近くから何かの声が聞こえてきた、その方向を見たら、この世界の人達だろうか、数人がゴブリンとオークに襲われているのが見えた。
「フューリー!フィアー!あれ!」
私は2人に呼びかけた、2人も同じ事を考えていたらしい。
「助けるんですね、分かっていましたよ。」
「この世界での初めての初陣だな!ギルマス!」
私たちは、襲われている人達の元まで行った。
「男はコロセ!女はトラエロ!!」
「いやぁー!!」「助けて…」
「うわぁぁあ」
「魂の讃歌 スピリットコンサート!!」
ヒュォォォォ…!!
「グワァ!」「イギィ!」
ゴブリン達がフィアーの魔法でどんどん倒されていく、範囲魔法に特価しているフィアーの魔法は、こういう時には結構役に立つ。
今の魔法「魂の讃歌 スピリットコンサート」は広範囲の敵に即死の効果をあたえるスピリットキングの中級魔法である。
「龍化 バハムート!!!!」
「龍ノ戦槍 ドラゴンランス!!」
ドドドドド…!!
「何故…コンナトコロニ……ドラゴンガ……」
「グオォ…」
フューリーの龍化時のみのスキル、「龍ノ戦槍 ドラゴンランス」は空から戦槍を大量に降らせる広範囲攻撃のスキルだ。
これで、残っていたオークも全て殲滅出来ただろう、と、一息ついた、その時。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
掛け声と共に切りつけてきた、存在がいた。
だが、私には効かない。
ザシュッ!!
ガシッ!
「!?」
「私には、そんな攻撃は効かないぞ、少年」
「くっ…!」
少年、では無いだろう外見からして青年があっているはずだ、だが私達はアンデッドや龍、ならばこの言い方が1番であると私は思ったのだ。
「僕は…」
少年は名乗った。
「僕は!
シースル王国、王立騎士隊 隊長、リベルト・アルトニス!
我が国の民を助ける為にここに来た!」
私は嬉しく思った、近くに王都があるということに、そして、私は彼に自己紹介をした。
「ご紹介痛み入る、私は、ギルド「エルトネア」のギルドマスターにして、神話の3属性、鮮血属性、黄金属性、煉獄属性を持つ存在。
ディスペラード・ブラッド・ヴェッセル・クラウンだ」
私の持つ神話の3属性、鮮血属性、黄金属性、煉獄属性とは、公式チートと呼ばれる程の強さを誇る属性だ、大まかに話すと、鮮血属性は全ての属性を無効化(物理も、魔法も)する、黄金属性は純金を生み出し操る力を持つ(黄金の硬さはオリハルコン以上の硬さを持つ)、煉獄属性は触れた物全てを溶かし、塵と返す属性である。
「神話の3属性……!?」
リベルトが剣を持つ力を一層強めた。
「この方達は…私達を助けて下さったのです!」
先程助けた人達がそう、叫んだ。
リベルトが驚いた表情でこちらを見る、そりゃそうだ、アンデッドやドラゴンが人間を助ける訳が無いからだ、だが、助けられた人達の説得によってどうにかこの、話は落ち着いた。
「申し訳ありませんでした!」
そう、リベルトは謝罪してきた。
「別に気にしないでくれないか、私達を見て、剣を向けるのは当然の反応だよ」
「ですが…!」
私は、3つのお願いを聞いてくれないかと言った。
「3つお願いを聞いてくれ。
まず1つ、王都まで案内して欲しい、一息つける場所を見つけたいのでな、2つ目、王に謁見を申し込みたい、私達のような強大な存在が君のいる国に力を貸せば、良い戦力になるとは思うんだ、3つ目、ある程度の報酬を貰う、それだけだ」
この程度ならば、お願いの範疇に入るのではと思った、しかも、私達が戦力になるというおまけ付きだ。
「は、はい!わかりました、王に話してみます。」
「ありがとう」
そうして私達は王都へと、歩き出した。